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概要でござんす編集

 渡世人てェのは、江戸時代にいた流れの博徒の事を差しやす。早ェ話が、博打うちでござんすね。から町へ流れちゃあァ、丁半賭博に命ァ張る。ま、そういったしがねェ輩のことでござんす。

 勿論、良い事じゃァございやせん。ただでさえ日の本じゃ「定住が貴、漂泊ァ賤」てェ考えがありやす。だから渡世人てェなあ今でいうニートパチプロみてェなモンでござんす。要するに鼻つまみモンてェわけでござんす。

 おまけに、博打を生業とするってェと、当然裏社会とも関わりが出てきやす。早ェ話がヤクザと繋がりがあったんでさ。…全員じゃねェですよ、ええ。


 一度くらいは渡世人の

「お控えなすって、お控えなすって。手前生国と発しまするは江戸にござんす。江戸と申しても広うござんす。…」

 てな具合の名乗り口上を耳にした読者の方も多いかもしれやせん。こうした口上ァ「仁義を切る」ってェ奴でして、いわば渡世人の名刺にあたりやす。

 これァ当時、識字率が低かったのもあって、本人確認のために使われていた合言葉みてェなモンでござんす。名乗るにしても定型文ってのがありやして、そいつが操れるかどうかで素性を見極められるってェ寸法で。万が一騙りと思われた日にゃあ目もあてられねェ有り様になりやす。

 いわずもがな向こうさんと呼吸を合わせるのも肝でござんす。控えてくだすったのを見届けたらば口上を述べ、「面体お見知り置きの上、向後万端よろしくお頼申しやす」で締めるのが常套句ってェ奴でさァ。

 したらばあちらも「申し遅れまして失礼さんにござんす」と、今時の名刺交換みてェな返答が始まりやす。ちぃとまどろっこしいかもしれやせんが、これが渡世人同士のしきたりってェモンでござんす。ちゃあんと最後まで聞いておくんなせェ。

 仁義は渡世人に限った話じゃあなく、ヤクザや鉱山労働者などでも挨拶として使用していたんでさ。仁義を切るってのァ、お互いの格を測る目安でもありやした。

 ついでにも一つ豆知識って奴ですがね、渡世人が使う仁義ってのァ元は「辞儀」が語源なんでして。思いやりを示す「仁」だとか、正しさを意味する「義」だとか、実はァ端から関わりがねェモンなんです。

 そのくせ「仁義立て」となると、話は別物なんでさァ。義理を守るってェ本来の「仁義」の意味になっちまう。全くしきたりってェのは、どこの世界もしち面倒くせェモンですねェ。


 同義語としてァ以下のようなもんがごぜェやす。「極道」? そりゃ別ジャンルでござんす。

 一般的にァ渡世人といや、三度笠合羽姿の旅人をイメージしやすでしょうが、勿論旅人が全員渡世人てェわけじゃございやせんよ。

 てェのは帰る場所があるから旅なんでござんす。

 それが無ェのは、ただの放浪でございやす。


創作でございやす編集

 博徒、股旅は古来から演劇映画の題材に何度もされてきやしたが、最も有名なのァメイン画像の『木枯し紋次郎』でございやしょう。原作ァ笹沢左保による小説ですが、どちらかというとフジテレビ系列で放送されたドラマ版が大ブームを巻き起こしやした。

 この記事みてェな喋り方も、同作で有名になったといっていいでしょう。


架空の渡世人でございやす編集


渡世人をモチーフとしたキャラでござんす編集


関連イラストでござんす編集

侠客マントは正義


関連項目でござんす編集

江戸時代 時代劇

流浪 浪人 流れ者

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