概要
上海アリス幻樂団の作品である東方Projectに登場する八雲紫と「ZUN's Music Collection」に登場する宇佐見蓮子のカップリング。
両者が登場する世界はそれぞれ異なるが、紫は両者の世界を自在に行き来し、蓮子はマエリベリー・ハーン(メリー)とともに様々な世界を訪れているなど、それぞれ交錯する可能性を持ち得る。
ただし蓮子などが生きる時間について紫と並行したものであるかどうかなどについては明示されていないため、2014年12月現在、二人の接触に関連した想像と展開は、主に二次創作的なアプローチによるものとなっている。
紫と蓮子
蓮子と紫は幻想を追いかける者と幻想へと至った者たちを包括する世界を形成した者であり、それぞれが登場する世界観において各々の形で一連のストーリーに関わる重要な位置づけにあるキャラクター達でもある。
その存在は「 夢と現 」の別々の場所に属しながらも異なる世界にも足を踏み入れ、時には関わり合う様子が描かれている。
ただし紫が自らの何らかの能力によって「夢と現」を渡るのに対し、蓮子はメリーの能力を通して様々な「 不思議 」を体験するものであるという違いもある(2014年12月現在)。
蓮子は「大空魔術」で語られた時点においては「 地上にはもう不思議が殆ど無い 」と感じており、「 不思議 」を臨む事が出来る「 メリーの眼 」を羨ましいと感じている。
それぞれの聡明さ
両者はその聡明さについてそれぞれの形で言及がある。
蓮子はメリーによれば「 超統一物理学 」を学び、「 ひも 」(一連の「ひも理論」に関連するものか)の研究をしている。メリーとの会話では「 私の専門 」である物理の話が止まらない様子も描かれている。
蓮子は自身について前後の文脈の影響下ではあるが「 プランク並みに頭が良いかもしれないけどね 」(※)とも語っている(「大空魔術」)。
また作中外のあとがきにおいて、原作者ZUNは蓮子及びメリーについて「 平均的な若者より、少しだけ頭が切れる見たい 」と表現している(「卯酉東海道」)。
一方の紫については稗田阿求がその一部を語っている他、紫の式神である八雲藍からもその格の違う聡明さが語られている。特に藍の語るところはその関係性の密接さもあってより詳細である(『東方文花帖』)。
式神は方程式によって形成される。数字によって形作られるそれは、「 数字に強い 」。
藍は計測が不可能とされていた三途の河の川幅を求める「 数千式の方程式 」と「 その証明 」とを、「 暇つぶし 」に見出した。
この他にも様々な変数と条件とを設定し、「暇つぶし」に世界にまつわる数式的な問いと解とを生み出している様子である。
極めて高度な演算能力を持つ藍であるが、一方で藍から見ても紫の方程式については「 解く事も理解する事もできない 」ものであり、自身とは比較にならないとその次元の違いについて語っている。
この会話のインタビュアーでもある射命丸文もまた、藍のように自発的に思考を生み出し、さらに自身もまた式神を使役出来るという高度な式神を成立させている紫については「 異次元の話 」とその驚愕を露わにしている。
※「プランク」が具体的に誰を指すものであるのかの明言はないが、同文脈は物理学者についてのものであり、実在した有名な物理学者としてはマックス・プランク(ドイツ、1856-1947)がある。プランクはプランク単位、プランク時間などを通して物理学的「最小単位」を見出した他、量子力学に影響を与える「プランクの法則」(プランク公式)と呼ばれることとなる学説を提唱した。1918年にはノーベル物理学賞を受賞している。
「博麗神社」
東方Projectにの世界観において「博麗神社」は世界観の根幹部分に関わる重要な場所である。
作中では紫は複数の作品で博麗神社の意味や重要性について時には紫自身の想いも込めて語っている。
博麗神社は「外の世界」との境界であり、その存在は「外の世界」にもある。
しかしそちらの博麗神社は紫の言葉によれば「 百年やそこらで名前さえ忘れられ 」、訪れる者も無い様子である(『東方三月精』)。
一方で蓮子は「蓮台野夜行」において、メリーに「 博麗神社にある入り口 」を見に行くことを提案しており、紫と蓮子は「博麗神社」という要素を通して繋がりを持っている。
ただし両者が意図している「博麗神社」が同一または意味的共通をもつものであるかなどの細かな点については厳密に確証づける様子は描かれていない。
なお、紫が「外の世界」の博麗神社と幻想郷の博麗神社に同時に想いを寄せる場面の一つである『三月精』のエピソードでは、紫は博麗神社裏手の大木の上から麓を見下ろしており、その瞳には幻想郷と「外の世界」が同時に映っている様子である。
そして紫は「外の世界」の人間たちの精神性の変化について、紫の思うところを両方の世界を同時に眺めながら独白している。
月面戦争と月面ツアー
紫はかつて「 結界の裏側の月 」(『東方儚月抄』)へと赴いた事がありその際には何らかの騒乱をもたらした様子で、さらに『儚月抄』作中においても月へ挑むなど、月及び月の都とは因縁を持つ。
月の都の綿月豊姫によれば紫は月では名の知れた妖怪である模様である。
蓮子の生きる世界では月面旅行が一般向け事業としても展開され、蓮子はメリーとともにそれに興味を示している。蓮子は結界の向こうにある「 月の都 」について想像し、メリーとともにそこへ行く事を夢見ている。
そして蓮子はメリーによって人間の手による宇宙旅行とは「 別の方法 」による「 向こう側の月 」への訪問を考えてみようと提案されている(「大空魔術」)。
なお「大空魔術」作中において蓮子がメリーとともに月にまつわることを語り合うストーリーでは「ネクロファンタジア」(紫の主なテーマ曲)の楽曲と組み合わさったエピソードもある。
同エピソード中では蓮子の言葉の中などに紫にまつわる要素もいくつか散りばめられている。
二次創作では
二次創作においては紫はシリアス、コメディ、ほのぼのな日常など多方面でそのキャラクターが描かれており、そのトリッキーなキャラクター性も相まって蓮子との出会い方にもそれぞれのストーリーによって様々な方法が想像されている。
例えばいずれかが明確に両者の世界を跨いだ描写を起点に二人が出会う形もあれば、特段の前触れもなく紫が蓮子の時間、日常へと接触するという形もある。
前者の場合は紫が蓮子を幻想郷へと呼びこんだり、あるいはメリーの能力を通して幻想郷へと至った蓮子らの前に現れたり等の形がその一例である。紫が蓮子らの世界へと訪れるというアプローチもある。
後者の場合は紫が蓮子の日常風景の中に登場したり、あるいは蓮子とメリーの秘封倶楽部の活動中に実は出会っていた、等の形で、蓮子に違和感を感じさせず、同じ世界の存在、隣人であるかのごとく二人が出会い、自然にその視線の中に溶け込んでいるなどの形で二人の交錯が描かれるなどのアプローチがある。
または「 不思議 」を追い求める蓮子とメリーのふたりを「 幻想 」の立場からサポートし、二人の冒険をあたたかく見守る立場、あるいは逆に蓮子とメリーが幻想郷をはじめとした「 結界の向こう側 」に触れることを良しとせず、秘封倶楽部の活動に否定的、または警告的に関わる様子が描かれる事もあるなど、日常の延長に登場する場合に加えて蓮子とメリーの秘封倶楽部の活動の面でも関わりを持つ事がある。
そしてそれぞれの出会いを通して、シリアス・コメディ・日常など多様な紫と蓮子たちのストーリーが始まるのである。
「紫=メリー説」における蓮子
蓮子とともに様々な「 不思議 」を求めるもう一人の秘封倶楽部メンバーであるメリーは、その二次創作において紫との同一性が想像される事がある。
この考察をベースとしたストーリーにおいては蓮子もまた登場することも多いが、その登場の仕方は様々である。
例えば「メリーが紫になった」という構成ではメリーと蓮子は何らかの重大な離別的な状況にある事などが前提に置かれることがあり、あるいはその離別がメリーを紫へと変える起因になった、と展開するものもある。
あるいは紫へと至ったメリーを探して蓮子が行動を起こすというストーリーの展開の在り方もあり、いずれの場合でも蓮子は紫と何らかの形で出逢うこととなる。
これらのアプローチは蓮子と紫の出会い方の一つである「ゆかれんこ」の一つであるとともに、紫という存在が同時並行的に存在する「蓮メリ」(蓮子 × メリー)でもあるのである。
なお「紫=メリー説」に対比するように蓮子もまた幻想郷側に登場する人物などにその同一性があてはめられる事もあり、例えば東方Projectの主人公にして博麗の巫女である博麗霊夢などがその同一性を考察する文脈において登場する事がある。
「紫=メリー説」をベースとした二次創作には様々なストーリーが展開されるが、いずれの場合でもメリーと蓮子はそれぞれの形で互いを深く思い合っている様子が描かれることが多い。
二人のつながりは姿や形を変えてもなお強いものと捉えられるのである。
「ゆかれんこ」は、紫と蓮子の二人についてアプローチするものであるとともに、二次創作的考察を通してメリーと蓮子の繋がりについて語るものとして表現される事もある特殊なパターンをとり得るカップリング・コンビの一つでもある。
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