概要
1955年8月20日生まれ。
出生当時イギリス領土であった香港の出身。英国籍を持つ。
カトリック教徒で、「アグネス」は洗礼名である。本名は陳美齡(チャン・メイリン)、結婚後の日本名は金子 陳美齡。
なお、日本で70年代から活動していた同名のグラビアモデルアグネス・ラムとは別人であるが、同じ渡辺プロダクション所属であったことや、芸能活動を行なっていた時期が重なっていること、共に中国系をルーツに持つことからたびたび混同され、「両アグネス」とまとめて呼ばれることもあった。
アイドル時代
1971年に香港で歌手デビューし、翌年に「ひなげしの花」で日本でデビューする。
可愛らしい容姿とたどたどしいながらも懸命に日本語で話そうとする姿が話題を呼び、一躍人気アイドルの仲間入りを果たした。
特にグラビア写真で披露した巨乳は当時としては同じ事務所のアグネス・ラムに引けを取らない衝撃的なものであった。もっとも自分からグラビアをやりたかったわけではなく歌手としてデビューしたつもりが偶々巨乳であったことから済し崩し的にグラビアをやらされたみたいで、当時本当に嫌だったとしばしば人権活動家の立場で語っている。マスコミもアグネスに配慮して当時披露した巨乳の話題は自主規制している。
その後も歌手として順調にキャリアを重ね、「草原の輝き」、「小さな恋の物語」といったヒット曲を生み出している。
1986年に元マネージャーの男性と結婚。のちに個人事務所「トマス・アンド・アグネス」を設立し、夫は社長としてサポートをしている。
歌手としての活動の傍ら、1998年には日本ユニセフ協会大使(初代)に就任するなど、貧困や世界平和のための社会奉仕活動も行う(日本ユニセフ協会は、国連ユニセフとは違うので注意)。
2016年からは国連ユニセフの東アジア太平洋地域大使に就任し、活動を続けている。
また、自身の乳がん経験から、ピンクリボン運動などの啓発活動も行っており、2008年からは日本対がん協会「ほほえみ大使」を務めている。
児童ポルノに対する姿勢
クリスチャン(カトリック)であることもあってか、児童ポルノ単純所持禁止(二次元含む)の激しい推進者であり、ネット上ではしばしばそのような『萌え漫画弾圧論者』の代名詞的存在として、元東京都知事の石原慎太郎などと共に槍玉に挙げられることがあった。
そうした一方で、彼女の出生地・香港が現在所属する中華人民共和国における女性への性的被害を含む人権侵害に関しては無反応を徹底しており、自身の関係する活動への募金を募りながら豪邸に住んでいる様子を公開するなど、彼女自身の発言や行動には矛盾が多いと指摘されている。
ただし、彼女は英国籍かつ日本在住であり、平和や児童の安全に関するさまざまな活動もあくまで「広報のためのキャラクター」としての側面が大きいため、具体的に中国の政治について言及することが立場上難しいと考えられる。
逸話
アグネス論争
1987年、仕事のオファーが続き、当時生まれて間もなかった長男を連れて収録現場へ赴いたことがマスコミに取り上げられ、評論家から「子供を大人の世界に巻き込むな」「まわりの迷惑も考えろ」「プロとして甘えている」等と批判された。
歌手の淡谷のり子は「芸人は夢を売る商売なのに、楽屋に子どもを連れて来たりすると芸が所帯じみてよくない」と当時のテレビ番組で発言している。
彼女の行動の是非はいつしか働く女性を巡る環境への議論へと発展していき、アグネス自身も参議院で参考人として呼ばれて意見を求められるまでになった。
そんな中、フェミニストで社会学者の上野千鶴子が「働く母親の背中には必ず子供がいるものだ」として彼女を擁護する意見を発表し、「一般女性の勤労に関する普遍的な問題である」と取り上げられたことで事態は一気にアグネス擁護派に傾いた。
さらに男女雇用機会均等法の施行など、当時、女性の社会進出機運がマスコミ等で注目されていたことなどもあって、結果としてアグネス擁護派の勝利となった。
一連の議論は「アグネス論争」と呼ばれ、1988年の流行語大賞・大衆賞を受賞した。
その他
2010年には自身の事務所が楽天市場で販売していた輸入食品・雑貨(霊芝エキスを利用したタブレットやパワーストーンなど)が食品として不適切な利用、値段であるとして大槻義彦らに指摘された。一時は薬事法違反の可能性があるとの見解が厚生労働省麻薬対策課から出され、謝罪。
その後商品の販売ページは削除、店舗も閉鎖されている。
自宅は日本ユニセフ協会の近隣にあり、内装は大理石とイタリア製の家具に飾られた、宮殿のようにきらびやかなもの。元首相である安倍晋三夫妻とは親しい友人で、安倍夫妻を自宅に招いて食事を共にすることもよくあるという。
「教育ママ」を自称し、3人の息子を「グローバルな世界で通用する教育を子どもに受けさせたい」としてインターナショナルスクールで教育を受けさせ、自身も通ったスタンフォード大に入学させている。
2017年には「スタンフォード大学に三人の息子を合格させた50の教育法」を上梓し、大きな話題となった。
息子たちに対しては過干渉であることを隠さず、恋愛にも口を出し、長男の結婚式には先述の安倍首相をはじめ、母の友人知人が多数出席した。