概要
アジア拳闘クラブ所属のボクサー。アジア拳は作品世界内において、日本の中では最も有力なボクシングジムであり、当時は世界王者を2人出していた(※1)。
初登場はバンタム級の新人王決定戦で、対戦相手を圧倒する。観客からは、当時フェザー級にいた力石徹と同格の有望選手とみなされていた。だが試合後に、プロとしての実力を持ちながら資格を得られない(※2)でいた矢吹丈の襲撃を受け、撃退しようとするもジョーのクロスカウンターで相打ちとなる。既に実績を得ていたウルフからすると未だプロ入りしていないジョーとの引き分けは屈辱でしかなかった。このためアジア拳の大高会長はジョーのプロ入りを認めた上でウルフに倒させる方針に転換し、ウルフもジョーへの復讐を目指した。
プロ入りして順調に連勝するジョーと、「勝った方が8回戦入り」という条件でついに試合が組まれる。序盤はジョーが優位に立ったが徐々にウルフが押し返し、しかもジョーの必殺技のクロスカウンターを破るためのダブルクロスカウンター(※3)を決めてジョーを追い詰める。だがジョーはその上をいくトリプルクロスカウンター(※3)によってウルフをノックアウトする。ウルフはこの時に顎を破壊されてしまい、現役を引退した。
ウルフの再登場は、ジョーが力石を死なせたショックで街をさまよっていた時のことである。ヤクザ同士の喧嘩があり、ウルフがその片方の用心棒となっていたのである。落ちぶれたとはいえかつてのボクシング新人王、その場は相手を軽く倒す。だが次に現れたゴロマキ権藤には惨敗してしまう。
原作ではその後の登場は少なく、ジョーがホセ・メンドーサと戦うときに観戦するのみである。
アニメ版ではヤクザから離れ、別のボクシングジムで(たまにしか現れないものの)指導をする。ジョーから金を騙し取って姿を消すが、後で改心したらしくジョーのホセ戦の前夜に金を封筒に入れて丹下ジムの隙間に差し込んだ。それをジョーに見つかり、2人は夜の街で語り合う。
「大事な試合の前にバーに入って大丈夫か?」と気遣うウルフに対してジョーは「 大事な試合の時はいつもこんなさ、どうせよく眠れねぇ。カーロスの時・・・力石の時もそうだった。ウルフよ、お前の時もそうだったぜ。」と答えた。
ジョーにとって自分も力石やカーロスと共に強敵の一人だったと告げられ、ウルフは「嘘でもそう言ってくれると嬉しい」と喜んだ。
(※1)資金力・設備だけなら白木ボクシングジムの方が上と思われる。
(※2)ジョーではなく、指導者の丹下段平が嫌われていたため。
(※3)試合の解説者が名付けたのが最初であり、ウルフやジョーの命名ではない
人物
短髪。ジョーにとって、プロ入りしてから初めての中ボスである。ジョーとの対戦の時には「精密機械」と評されており、正統派のテクニシャンだったことをうかがわせる。
ドヤ街の子供たちがジョーのためにウルフの秘密特訓を潜入してみようとしたときに彼らをボロボロに殴った状態でジョーたちに返したり、用心棒になったヤクザに延々と愚痴ったり、先述のアニメ版のエピソードを除きあまり良い人物には描かれていない。