「死ね、満腹ボクサーッ」
解説
CV:若本規夫(あしたのジョー2)
古川登志夫(劇場版)
『あしたのジョー』に登場する韓国出身のプロボクサー。バンタム級東洋太平洋チャンピオン。大韓民国空軍の玄大佐をセコンドに置いている。1945年生まれの27歳(漫画版)。
主人公・ジョーに勝るとも劣らないくせ毛が特徴的。
徹底してストイックな性格で、毎日完璧なスケジュールに基づいた規則正しい生活を送っている。36歳(アニメ版)にして現役のボクサーという恐るべき経歴は、彼の日々のトレーニングがどれだけ緻密であるかを物語っている。
しかし後述する過去の体験から極度の小食。また、そのトラウマ故に強迫観念(強迫性障害)を患い、夜中、手に血の付いた幻影から手を洗い続ける癖と血を見ると錯乱するPTSDを発症している。
必殺技は相手をロープ際に追い詰め、ダウンさせずに一方的に打ち据える舞々(チョムチョム)。
クールな視点で常に相手の状況を読み、優勢でも手を抜くことなく勝利を掴み取る。そのスタイルから「氷の男」、「闘うコンピュータ」の異名を恣にしている。
過去
1950年6月25日、当時5歳の頃、朝鮮戦争が勃発し内戦に巻き込まれてしまう。
この戦争で母を亡くし、金は地獄の如き空腹の中、湧水をがぶ飲みして無理矢理飢えを凌いでいたが、そこで南軍(韓国軍)の脱走兵と食料の取り合いになり、相手を岩で滅多撃ちにして殴り殺し奪い取ってしまう。しかも直後にその兵士が実の父親であった事を知り、身体が満足に食事を受け付けない体質になってしまった。
その後、現場に居合わせた玄少尉(当時)に拾われ、彼の下でボクシングを学んだ。
本編の活躍
試合前から20歳(推定)にして成長期が終わらず減量苦に喘いでいたジョーとタイトルマッチを行う際には、前述の体質と過去を曝け出し、ジョーに対し、「(本当の飢えも知らず)今時の日本に珍しい飢えた若者というお前の評判が気に食わない」、「胃袋を広げ過ぎた減量の下手糞な満腹ボクサー」と嘲笑った。
実際、金竜飛戦のジョーはサウナで倒れ、下剤を大量に服用、挙句に医者に頼んで血を抜くなどしてようやく、バンダム級の軽量をパスしている。しかも減量のためにスタミナが半減し、ズルズルとスリップで転びまくり、審判や金竜飛に掴みかかって体勢を保つのもやっとという有り様であった。
金竜飛はジョーに善戦するが、何度も立ち上がるジョーに調子を狂わされ、必殺の舞々で追い詰める。しかし白木葉子の掛けた言葉から更なる減量を行いジョーとの決闘で散っていった力石徹の事を思い出したジョーは、金に敢然と立ち向かっていく。
「金は確かに『食えなかった』」
「だが…力石は…自らの意思で『食わなかった』…」
「何のことはねえ…!! 人間の尊厳を! 男の紋章って奴を!」
「貫き通して死んでいった男を…」
「おれは身近に知ってたんじゃねえかっ!!!」
金は反撃するもジョーの出血に怯えてしまい、手を止めた所を強襲され逆転KO負けを喰らう。こうしてジョーは東洋太平洋のベルトを手にするのだった。
アニメ
アニメ『あしたのジョー2』はTVアニメ版の続き…ではなく1980年の劇場版の続編の為、36歳とかなり年配になっている。また、舞々は過去の試合で2度使用し、どちらでも対戦相手を搬送後死亡させると言うすさまじい設定が付属している。ジョーとの試合に負け、そのままボクサーを引退する。
韓国で放送された際には整合性の為ベトナム人ということになり、うまい具合に「南からの脱走兵が~」という原作設定を踏襲している。