エリカは不憫
えりかはふびん
逸見エリカは、『戦車道』名門である栄光の黒森峰女学園戦車隊の副隊長を務め、隊長の西住まほに付き従い支えている実力者。
…のはずなのだが、本編において、元副隊長の西住みほに対して去年のこともあってか、批判的で辛辣な態度を取っているため、視聴者からはまほの腰巾着的な存在に見られていた。
また、決勝戦の大洗女子学園との試合では、戦車の中では最強クラスのVI号戦車ティーガーⅡに搭乗し、みほとの新旧副隊長同士の対決が期待されていたが、西住姉妹による因縁の対決や超重戦車マウスの登場の方が目立ち、活躍が思いのほか少ない。これも不憫を誘う一つ。さらに活躍も強いて言うなら・・・
- 序盤の電撃戦で即決着をつけるために、フラッグ車のあんこうチームを狙うが、アリクイさんチームが操縦を誤って遮ったためフラッグ車の撃破に失敗。しかし、今試合では、最初の撃破。
- 山頂から逃走する大洗女子チームを単独で追撃、またフラッグ車を狙うもティーガーⅡの足回りが弱いため転輪が外れて追撃断念。修理の時の怒っている姿が地団太踏んでいる様に見える(メイン画像みたく)。
- 市街地の決戦の場への道をレオポンさんチームのポルシェティーガーに塞がれてこれを撃破するも、塞いでいる状態だったためすぐには通れなかった。無理矢理上を乗り越えてまほの元へ向かうもフラッグ車は撃破されて敗北する。
など、みほと直接戦うことも無く(西住みほが、というか大洗女子チームが、ティーガーⅡといったエリカらの搭乗している強力な戦車群と正面から撃ち合うことを極力避ける戦術を取り、それを遂行し切った、とも言えるが)、戦術や戦車指揮等での能力の高さをあまり見せないまま(見せる機会を大洗戦車隊に奪われたまま)決勝戦を終えたため良い活躍をしたとは言い難い。
本編だけ見ると、むしろサンダースやプラウダの副隊長の方が活躍してるのでは?いやむしろ大洗の副隊長に実は近いのでは?それはそれでおいしいと思えるが…。いや戦車乗りとしての実力は大洗の副隊長よりはるかに高いのは確実なのだろうが…扱いが、ね?仕方ないね?
しかし、まほへの尊敬は本物であり、ポルシェティーガーを無理矢理乗り越えてまほの元へ駆け付ける際は必死の形相を浮かべており、みほの忠犬と同じようにまほの忠犬のような存在感を表した。
『劇場版』でも、「こっつん作戦」という作戦名にケチを付けてはまほが作戦名を受け入れたため面食らった後に落ち込んだり、急造チームでチームワークを組むように提言したみほに対して「急造チームでチームワーク?」と冷笑してちょっかいをかけてはまほに「急造でもチームはチームだ」と窘められて押し黙ってしまうなど、若干不憫な目に遭う。
しかし、後半では遊園地跡地の南正門でまほに頼られた時は生き生きとした笑顔を浮かべ、M26パーシングに反撃を仕掛けて撃破する。終盤では、カチューシャとレオポンさんチームと連携してバミューダ三姉妹と交戦し、撃破されるもののルミを撃破する手柄を挙げるなど、TV版とは格段に扱いは良くなっている。
『最終章』では、まほがドイツの大学へ留学に行ったことで隊長に就任。だが、黒森峰の隊長という重責に加え、前任のまほと見比べてしまうことでネット通話でまほに思わず弱音を吐いていた。
だが、試合では落ち着いた指揮で一回戦のマジノ女学院を難なく撃破。二回戦のプラウダ戦では、黒森峰対策が万全だったプラウダの戦術に苦境に立たされるが、ネット通話でまほから聞かされた「勝ち負けに拘らず、貴方の戦車道を探せばいい」という言葉を思い出すと、自身が得意とする機動戦術に切り替えて強襲を仕掛けたことで見事敵フラッグ車の撃破に成功。
この活躍(とその時見せた笑顔)で今まで見せることがなかった実力を大いに発揮し、黒森峰の隊長として文句なしの存在を知らしめた。
公式でみほに対して挑発的な態度を取っているためか、pixivにおける二次創作では、隊長である西住まほへの熱っぽいアプローチっぷりと対照的な彼女からのクールな反応、それどころか制裁を受けたり、本編の仕返しとばかりにひどい扱いされてる等のイラストが多い。そんな二次創作でのまほお姉ちゃんはみほ一筋、というエリカの報われなさっぷりに、笑う段階を超えもはや涙ぐむレベルであった…。
メインスタッフの一人である野上武志氏は、いまいちエリカが報われていない理由として、「隊長に尽くしたい」エリカに対して「完成した存在である」まほは、さほど助けを必要としていないからである、と解説している。
そこを考えると、劇場版で「頼む」と命令されたエリカの喜びようも、頷けると言えるだろう。
(エリカの名誉のために言っておくと、決してまほが彼女に対して、全く興味を持っていないわけではない。エリカの望む形の期待ではないにせよ、来年彼女が隊長になることを見越して、つきっきりで鍛えていたりはしている)
このタグがついているイラストは多くない。しかし彼女が報われて欲しいと考えれば、多くない方が良いのだろう…いやむしろない方が良いのだろう…頑張れ副隊長。まほさんは3年生で卒業だから、頑張れ、栄光の黒森峰戦車隊次期隊長。
さらに『もっとらぶらぶ作戦です!』でも不憫さが描かれている場面もあり、バス移動(路線バス)で居眠りしていた際、誰にも気付かれずに置き去りにされてしまい、迷子になっている(さらに、携帯を誤って隣にいた赤星小梅のバッグに入れてしまい連絡できず)。
だが、偶然にも同じく迷子になっていたみほと出会い、危なっかしい彼女に呆れつつも、大洗で成長した姿に感心もしていた。しかし、後にみんなと合流した時に手を繋いでいた(みほがはぐれないように握っていた)ために、まほと小梅と優花里から嫉妬の眼差しを受ける羽目に。
ちなみに、幼少期にすでに西住姉妹と出会っていたという設定になっており(しかし、両者とも互いのことを覚えていない)、その頃はやんちゃだったみほに振り回されるという不憫な目にあっている。
こんな彼女だが、ドラマCDや『リボンの武者』など、アニメ以外の媒体ではTV本編の尖った態度が嘘のように普通にみほと接するなど、一転して掘り下げた描写をされることが多い。
これらの作品群を参考にした二次創作も、多く存在しているため、アニメでしかエリカを見たことがない人が目の当たりにした時には、見たことも聞いたこともないエリカ像に驚くこともあるのだとか。
そんな中、彼女を主役にしたスピンオフ漫画『ガールズ&パンツァー フェイズエリカ』の連載が予定されて注目を集めたのだが、その予告第01弾で作者である才谷屋龍一氏の些細な誤植のせいで、早くもネタ化されてしまった。ある意味注目度は上がったのだが……
本編におけるみほに対する暴言や大洗女子に対する見下した態度から、好き嫌いが極端に分かれるキャラクターである。放映当時は視聴者からも良い印象を抱かれておらず、本気で嫌っている人も少なくなかった。みほ役の渕上舞ですら、「最初はエリカが大嫌いだった」とインタビューで語っている。
エリカを演じた生天目仁美にも「怖い人」というイメージを抱いてしまい、ある番組で「苦手な人は?」と聞かれた際に名前を挙げたことも。だが、美少女アニメで共演したことで払拭されている。
本編での言動にさすがのまほさんもお怒りです。
元副隊長の人望の高さに涙目……
これは、なんとも言いようが無い……
コメント
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