1940年代のハイブリッド戦車
ポルシェティーガー(Porsche Tiger)は、第二次世界大戦期のドイツ戦車「ティーガーI」、そのポルシェ開発案「VK45.01(P)」に基づく試作重戦車。
強力な8.8cm砲・最大10cm厚の重装甲という連合軍戦車を圧倒しうる高性能に加え、1940年代にしてガソリンエンジンで発電・電動モーターで駆動するハイブリッド駆動方式を採用。
その先進性はドイツ総統の目にも留まり、採用は確実かと思われたが...
制式呼称は「ティーガー(P)」だが、社内呼称は「ポルシェ101」(※1)。
現在では「ポルシェティーガー」の呼称が最も一般的だが、日本ではそれを省略したP虎と表記される場合もある。
(※1:この番号は有名スポーツカーのポルシェ356やポルシェ911と同列のものだったりする。)
開発
仏・B1bis重戦車 | 英・マチルダII歩兵戦車 |
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第二次世界大戦直前の1930年代末、ドイツ軍は敵の重戦車や防衛陣地と交戦、これを突破する車重30トン級の「突破戦車」として「VK30.01」を計画。
1939年にはこれを実現すべくポルシェ社とヘンシェル社に設計命令が下り、ポルシェ案には「VK30.01(P)」の計画呼称があてられた。
しかし、開発の経過でVK30.01(P)の車重は計画を大幅超過、機動力の不足が懸念されたことから、かつて電気自動車を開発したフェルディナント・ポルシェ博士は、戦車では当時ほとんど前例のない電動モーターによる駆動方式の採用を発案。
1941年5月、より強力な45トン級重突破戦車「VK45.01」の計画開始に伴い、ポルシェのVK30.01(P)も「VK45.01(P)」として拡大設計されることとなった。
ポルシェ案・VK45.01(P) | ヘンシェル案・VK45.01(H) |
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1941年7月には第三帝国屈指の天才技術者たるポルシェ博士を好んだ総統の意向により、開発中にもかかわらず100輌の量産指示が下された。
ただ、ヘンシェル社側の開発が比較的順調に進行した一方、ポルシェ社側は重量増加を主因に大苦戦。
結局、VK45.01(P)試作車の組み立ては完成期日とされた1942年4月20日の総統誕生日を目前とする4月18日に完了。翌々日に総統閣下の御前にて披露されることとなった。
没落、そして新生
ポルシェティーガー試運転の様子 | 車体が流用されたフェルディナント重突撃砲 |
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1942年4月20日、誕生日を迎えた総統の御前にて披露されたポルシェティーガーは、最新技術の詰まった特殊な駆動系に関して高評価を受けたが、その後の一連の試験によって駆動系の信頼性が劣悪ということが判明。
さらに、発電機・モーターの両方に貴重な戦略資源である銅が大量に必要、発電機とモーターから発生する電磁波により無線通信が困難、トルク不足により登坂能力が貧弱といった問題があり、さらには量産体制も一向に整わなかったことから、1942年10月には不採用が決定してしまう。
しかし、開発段階で下っていた量産指示の影響で、不採用決定の時点で車体が既に100輌分組み立て完了していたため、内10輌はポルシェティーガーとして完成。
実戦部隊に配備される車輌もあったが、特に戦果を挙げることなく戦禍の中に消えていった。
一方、残りの90輌は砲塔を載せずに新設計のフェルディナント重突撃砲として改装され、1943年のクルスクの戦いから実戦投入。
その戦闘能力はWW2最強戦車のティーガーIIにも匹敵し、交戦したソ連赤軍はあまりの高性能に大きな衝撃を受けたという。
余談
ポルシェ博士は正しかったのか?
1942年以来、ドイツ新型戦車の重量は増大の一途を辿り、最終的には70トン以上にまで膨れ上がった。
結果、構造上からして過大な重量に弱く消耗しやすい機械式駆動系は、その大重量を支え切れずに破損・故障を多発してしまう。
一方、ポルシェティーガーの電気式駆動系を受け継ぐフェルディナントは、車重65トンに達する割には良好な信頼性を発揮。
ポルシェの設計思想がある程度正しいものだったということがうかがえる。
夢の続き
計画車輌・VK45.02(P) | 第三帝国の最終兵器 |
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ポルシェの戦車開発はポルシェティーガーを以って一旦は頓挫したが、その後も総統の支持そのものは健在だったため、新型戦車の開発は継続された。
その結果は、戦争末期に車重180トン・最大装甲厚240mm・12.8cm砲搭載の怪物として完成することとなる...
登場作品
- 宮崎駿の雑想ノート「豚の虎」
開発者フェルディナント・ポルシェ博士が並々ならぬ情熱を注いで完成させた戦車として登場。
ドランシ大尉とハンス曹長が乗員として選ばれ、その特異な設計から運用に苦心する。
- コンバットチョロQシリーズ
初代PS「コンバットチョロQ」とPS2「新コンバットチョロQ」に登場。
「コンバットチョロQ」の解説にある「革新的な失敗作」は本車を象徴する一文といえるだろう。
「コンバットチョロQ」では中盤のステージに登場。長めの射程に高い耐久力、オマケに登場するステージは開けた市街地ということもあってうかつに突っ込むと大ダメージを受ける。
「新コンバットチョロQ」では後半のステージで敵タンクとして登場している。
大洗女子学園のレオポンさんチームが使用。