概要
マウスもびっくり! E-100も真っ青! ティーガーIも腰抜かす!な、車重1000t級の超重戦車(の計画)。もはやここまで来ると戦車じゃねえ…もうアームズフォートでよくね?
その肩書きは「Landkreuzer(ラントクロイツァー)」、訳せば「陸上巡洋艦」である(つまり、陸上戦艦の部類に入る)。
どんだけの規模なのかについてはWikipediaの記事にマウス及びティーガーIとの比較図があるからこちらを参照されたし。
………。
あのマウスがまるで豆戦車である。
主砲はシャルンホルスト級巡洋戦艦から転用した283mm砲を搭載し、(ただしシャトンホルスト級に搭載されているのは三連装、ラーテのものは中央の砲を外す予定だった)装甲に至っては普通なら一番薄い部分となるであろう車体上部すら180mm厚、横に至っては350mm厚という脅威の装甲を想定していたらしい。
ここまで来るともはや戦車同士のどつきあいでは全く歯が立たず、それどころか固定式の火砲や飛行機での爆撃すら受け付けないという文字通りの怪物である。倒すには最低でも恐らく紳士の爆弾が必要になるだろう。
ちなみにラーテとは、クマネズミやドブネズミなどの大柄なネズミを意味する言葉である。
最大の敵は…
しかし1000t級という漫画の世界から抜け出してきたような戦車を現実で運用させるとなると様々な問題が立ちはだかる。
まず第一に、1000tという自重では走れるかどうかすらわからない。そもそも"先輩"に当たるマウス(188t)すら、自重で地面にめり込んで動けなくなってしまったという説がある。ラーテより遥かに軽いはずのマウスですらこれなので、1000tのラーテがどんなことになるかは想像に難くない。
また、1000t級という車体を支えられるような橋や道路など現実では存在しない。存在出来るわけがない。そもそもこんなビックリドッキリメカを走らせても多分平気であろう橋なんて、某大統領ゲーのゲーム中でのリバティー島に通じる橋くらいしか知らんぞ!?
……というわけで、ラーテに関しては「いちいち橋なんぞ律儀に渡ってられるか! 俺はそのまま行く!」とばかりに川底を直接通過する運用(潜水渡河)が想定されていた。…が、「万が一」ぬかるみなどに嵌ってしまったら、引き上げるのには多大な労力を要するであろう。というより恐らく「引き上げ不可能」だと思われる。
そうでなくてもこんなデカブツ、そこいらに居るだけで敵の航空機や戦車部隊に取ってはいい的である(まあこんなトンデモ規模になれば見つかったところで通常の攻撃ではまず倒せないだろうし、それに戦車の長所の一つである「来るだけで敵を威圧する」に関しては右に出るものなど居なかっただろうが)。
以上の弱点が発覚したため、結局は白紙撤回となった。
そう、ラーテの最大の敵は自分自身だったのだ。
これで終わりだと思ったか?
…実はこのラーテをも超えるビックリドッキリAFVの計画がドイツに存在していた。
そいつの名前はラントクロイツァー P.1500『モンスター』である。
かの80cm列車砲の砲撃は強力無比であったが、レールの上しか走れず、戦場まで専用鉄道を敷設しなければならない難点があった。そこで、レールに頼らず自走できるようにしようと計画されたのがP1500モンスターである。
全重量は1500t級。頭おかしいってレベルすら超越している。
尚この重量は、80cm列車砲を自走できるようにした最低限の装備での試算であり、兵員を保護するための装甲などは加味されていない。こんなの絶対おかしいよ。
余談
アニメ『ストライクウィッチーズ ROAD to BERLIN』11話にて、「オペレーション・サウスウィンド」の最終決戦兵器として登場する。大型ネウロイを一撃で撃破するほどの威力を持ち、ある程度のネウロイのビームも物ともせず、しかも超巨大にもかかわらず問題なく走行するほど高性能になっている。
ジェラルド・S・パットン大将が自ら搭乗して指揮を執り、ベルリン市街を囲む大量の大型ネウロイを全滅させたが、ネウロイの巣「ウォルフ」が構築した巨大シールドで味方と孤立し、その後は集中砲火を浴びて無残に撃破されてしまう。