概要
『オオカミの家(原題:La Casa Lobo)』とは、ヴィジュアルアーティストとして2007年から活動を始め、いくつもの短編映画で高い評価を受けていたチリ共和国出身の2人組監督クリストバル・レオンとホアキン・コシーニャが、ストップモーションアニメの技法で約3年の歳月をかけて制作し、2018年に公開された初の長編映画作品。
チリ初のストップモーション長編であるこの映画は、いくつもの国の美術館やギャラリー、文化センターを10ヶ所ほど巡りながら実物大のセットを設置し制作された。
ドローイングや人形アニメの手法を用いためくるめく映像で構成されたこの映画は、2018年の第68回ベルリン国際映画祭フォーラム部門でカリガリ映画賞を、第42回アヌシー国際アニメーション映画祭で審査員賞を受賞している。
不穏な雰囲気で始まる物語のモチーフは、ピノチェト軍事政権下のチリに存在したドイツ人移民を中心としたコミューン「コロニア・ディグニダ(尊厳のコロニー)」である。
この映画はドイツ敗戦後にチリに逃れてきた、元ヒトラーユーゲントでありコミューン指導者パウル・シェーハーが、実はアニメーション作家でもあり、活動を正当化するためのプロパガンダとして制作されたものを、両監督が修復したという設定で進行する。
日本においては2023年8月から、この映画に惚れ込んだ『ミッドサマー』のアリ・アスター監督製作総指揮の短編『骨』とともに全国各地のアートシアターで公開された。
あらすじ
美しい山に囲まれたチリ南部で、「助けあって幸せに」をモットーに掲げて暮らすドイツ人集落。
動物が大好きな少女マリアは、ブタを逃してしまったために厳しい罰を受け、耐えきれず集落から脱走する。
森の中の一軒家に逃げ込んだ彼女は、そこで出会った2匹の子ブタにペドロとアナと名づけて世話をするが、やがて森の奥からマリアを探すオオカミの声が聞こえてくる。
マリアがおびえていると子ブタは恐ろしい姿に変わり、家は悪夢のような世界と化す。
(公式サイトより抜粋)
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