オリマーピクミン
おりまーぴくみん
「ああ、つかれた………」
残された最期の日誌はそう綴られていた……
多くの生命が生きる自然の惑星「PNF-404」。
その中でも一際か弱いが、集団になると屈強な原生生物すらも餌とする生物が確認された。
私は父の好物である「ピクピクニンジン」に容姿が似ている事から、彼らを「ピクミン」と呼称している。
その通称「ピクミン」の中にただ一匹見られる変異個体。
感情に乏しい細い目や、大きく膨れた鼻といった我々ホコタテ星人特有の特徴が似ている事から、かつてこの惑星より宇宙ムセンで救難信号を発していたホコタテ星の宇宙飛行士「キャプテン・オリマー」に準え、オリマーピクミンと呼称される。
同じピクミンでありながら高い知能を有し、単体や寄せ集めでは無力同然のピクミンをまとめ上げ、時としてデメマダラやマロイモガエルといった大型の原生生物を撃退するほどの指揮能力の高さを見せることもある。
ホコタテレスキュー隊:キャプテン・サジタリウスのメモより
かつて隕石との衝突事故により未開の惑星PNF-404に墜落したホコタテ星の宇宙飛行士キャプテン・オリマー。
辛うじて生命維持装置を起動するも、ホコタテ星人には猛毒となる酸素を含んだ劣悪な環境では30日しか装置を維持できず、脱出しようにもドルフィン号のパーツは30個も欠落しているという、まさに絶体絶命の状態であった。
その中で奇跡的に邂逅した未知の生物、ピクミン。
彼らの習性を利用してドルフィン号のパーツを生命維持装置の稼働期間内に回収するという目標を立てるも、凶暴な原生生物達の妨害の前に時間だけが無情に過ぎて行った。
迫り来るタイムリミット。
指示通りに事が進まず、悪戯に死んでいくピクミン。
焦燥から判断を誤り、意図せぬ犠牲に肩を落とし夜を迎える日々。
当初は故郷で待つ家族への想いや、若き頃の冒険魂を思い出して自身を奮い立たせていたオリマーも次第に憔悴し、脱出を絶望視し始める。
タイムリミット前日、最早日誌を書く気力すら残っていなかったオリマーはただ一言、
「ああ、つかれた……」
と綴るのが精一杯だった。
そして運命の日、オリマーは集めきれた僅かなパーツの力を信じて離陸を決心する。
だが現実は何処までも非情だった。
宇宙はおろか大気圏を突破する事も叶わず墜落するドルフィン号。
生命維持装置の切れた身体を猛毒の酸素が蝕む中、オリマーが目にしたのは、これまで心強い味方だったはずのピクミン達だった。
もはや虫の息のオリマーを、顔色一つ変えずにオニヨンへと運んでいくピクミンたち。
そう、彼らがオリマーに協力的だったのは、友愛の感情ではない。
自分達がこの生態系の頂点に立つために求めていた高い知能を持つリーダー、それがオリマーだっただけの話だったのだ。
死を待つのみとなった今のオリマーなど、ピクミン達にとっては一つのエサという認識でしかなかったのである。
そしてリーダーであった者の亡骸を吸い込んだオニヨンは、一つの芽を吹く。
そのタネから生まれたピクミンは、オリマーと瓜二つの容姿と知能を有していた。
初代ピクミンにおいて脱出条件となる30日の間にドルフィン号のパーツが集まらなかった場合のバッドエンディング。
コミカルなBGMで誤魔化されているが、死亡したオリマーをこれまで通りオニヨンに運び込むピクミンの姿はこれまでの可愛らしい協力者から一転して容赦ない捕食者に見えたプレイヤーは多かった事だろう。
それ以外の2つのエンディングではオリマーは無事に脱出したのち、勤務先の危機を救うためにこの星は蜻蛉返りする事になるのだが、この黒さ満点の容赦ないエンディングは今でも任天堂のダークな一面として話題に挙げられている。
また、ピクミン2ではヤドリピクミンという寄生型のピクミンがいることが判明しており、ハチャッピー同様にオリマーも寄生されたんではないかという説も浮上している。
一方で、オリマーを蘇らせ、再びピクミンのリーダーとして擁立しようとしている可能性も否定出来ない。
ピクミン4
PVでオリマーピクミンと思われる人物が登場している。
どうやら遭難者を拉致しては、主人公に挑戦状を突きつけているようで……?
なお、頭部分が毛むくじゃらになり、真っ赤になっているなど、容姿は微妙に違うが、鼻と糸目はオリマーそっくり。
プロローグではオリマーの遭難から1ヶ月経過したとされているため、脱出に失敗してピクミンとなったオリマーの可能性も指摘されているが……?(そもそも犬不在なので『2』『3』とは時間軸が違う物語となる)
この後の記述はピクミン4及びピクミンシリーズにおける重大なネタバレ要素を含んでいます
離陸に成功し、惑星から 離れようとしたとき
知らぬ間に、船内に潜り込んでいた モスが苦しんでいることに 気がついた
私は 急いで引き返して、着陸を試みたが——
そこで、生命維持装置が切れてしまった…
ドルフィン号のパーツを集め、惑星から離脱することに一度は成功したオリマーだが、知らぬ間にモスが船内に忍び込んでいることに気付く。しかもその体調は急激に悪化していた。
愛犬家のオリマーにとって、目前のモスの窮状は無視できないことだった。
やむなく惑星に引き返すが、このタイミングで生命維持装置のリミットが……
こうして力尽きたオリマーだったが、惑星に戻ったことで快復したモスとピクミン達によりオニヨンへと運ばれ、葉っぱ人となることで一命を取り留めたのだった。
そして主人公により救助隊のドクター・パピヨンが復帰し、ヒカリピクミンのミツによる葉っぱ人の治療法が確立されたことで、本気のダンドリバトルで打ち負かされた末に救助されたオリマーもまた元のホコタテ星人に戻ることができた。
治療に用いたミツの影響か、後遺症がないどころか肩こりなど元々の体調不良も解消されているという。
なお、後にシェパード号が惑星を離脱しようとした際、オッチンの体調悪化を見てオリマーはすぐさま惑星に引き返すよう進言するのだが、それは自身が葉っぱ人化した遠因であるモスによる症例を知っていたためである。
ちなみにオリマー遭難記モードで全てのパーツを期限内に集め終わらなかった場合、オリマーは不完全な状態のドルフィン号で離陸したものの、惑星から離脱することもできずに墜落。モスがいることを除き、完全に初代ピクミンのバッドエンドと同じ流れでオリマーは葉っぱ人になる。
4ではピクミンとモスたちがオリマーを死なせたくないため、葉っぱ人化を施したようにも見える。その後のオリマーが遭難者を葉っぱ人化して回ってたのも、延命処置のためであろうか。
初代のピクミン達がオリマーを助けたくて葉っぱ人化を施したのかどうかは不明だが、初代ピクミンのバッドエンド後のオリマーも、その後救助された可能性があると言えるだろう。