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概要編集

1907年から1909年にかけて建設され、1910年に開業。

合計110の客室を設けた3階建ての豪勢な外観であり、マリリン・モンローといったハリウッドスターも足を運んだことのある由緒正しきリゾートホテルである。特に3階の特等室「プレジデンシャル・スイート」では過去に4人の合衆国大統領が宿泊している。

更に、20世紀の百万長者ダーウェントがつくった広大なロークのコート、静寂で落ち着いた雰囲気の「コロラド・ラウンジ」、そしていずれの客室からも堪能できるロッキー山脈の絶景など、この格式ある歴史的ホテルの魅力を挙げていけばきりがない。

正体編集























    この非人間的な場所は、人間を怪物にする





華やかな御触れとは裏腹に、オーバールックには呪われた歴史が存在する。

初代支配人は、開業から僅か5年後にホテルを手放しており、世界恐慌などを挟んで多くの持ち主が入れ替わり、第二次世界大戦中はとうとう空き家となってしまった。

終戦から14日後、買い入れたのが上述の謎の大富豪ホレス・M・ダーウェントである。それまでに航空産業や映画産業など、幅広い分野に手を伸ばしていたダーウェントだが、世界恐慌の影響で不況に襲われた際、酒の密売売春の元締めなどに手を染めていた。彼はホテルに100万ドルを超える投資をし、オーバールックを新たな世界的名所にしてみせると豪語した。…が、すぐに経営不振に陥り、投資家グループに売り払う。後にグループ内での不祥事が発覚し、社長がピストル自殺を遂げている。

1950年代の終わりまでホテルは再び閉鎖され、1963年にラスベガスの「ハイ・カントリー」という会社に買収され、客層を富裕層に限定したキー・クラブとなった。だがこれはダーウェントの支配下にある会社であり、更にこの期間、麻薬殺人その他諸々の容疑をかけられたことのある面々が宿泊しており、殺人事件まで起きている。

一連の波乱が過ぎた1970年、アルバート・ショックリーを中心とした投資家グループに売収され、支配人のスチュアート・アルマンの経営下で初めてオーバールックに黒字がもたらされたのだという。…しかしその年の冬、休業中の冬季管理人として勤めていたデルバート・グレイディという男が、外界と隔離されたことによって精神異常を起こし、妻子を斧で殺害した後に猟銃自殺をする事件を引き起こしてしまう。

それから数年後、ショックリーの友人であるジャック・トランス一家が新たに管理人としてオーバールックホテルに移り住むことになる。

設備編集

原作では、自殺や殺人事件など、多くの血塗られた出来事が繰り返されてきたことが強調されているが、映画では大部分は省略されている。

また、映画におけるオーバールックホテルはインディアンの墓地を潰して建設され、何度か原住民の襲撃に遭ったという設定が追加されており、外観や内装も原作とは異なる。原作でもジャックとダニーがインディアンについて言及する場面が存在する。

コロラド・ラウンジ編集

ホテル内のバー。閉鎖中は酒類は一切置かれておらず、棚の中も空である。映画におけるコロラド・ラウンジは、待合室として設定されている。ジャックは劇中、そこにいないはずのバーテンダーと会話を繰り広げ、己の行いについて酒を飲みながら愚痴をたれる。

プレジデンシャル・スイート編集

3階の特別な客室。ロッキー山脈の峰々の間に夕陽が沈んでいく光景を一望できる。1966年にマフィアによる撃ちあいが勃発し、3人の死者を出している。現在は壁紙も綺麗に貼り直されているが、ダニーには客室の壁にある血潮がはっきり確認できた。映画では取り上げられていない。

217号室編集

ジャックがホテルを訪れた年の7月に老夫人がオーバードーズで死亡した2階の客室。浴室の浴槽の中には腐乱死体の老婆が凍った水の中に浮かんでおり、入ってきた者の首を締めようとする。映画版は番号が237号室に変更されている。

消火器編集

3階の廊下に設置されている旧式の消火用ホース。ひとりでに動き出し、のように素早く絨毯の上を這いながら追いかけて来る。原作のみの登場。

エレベーター編集

1926年に取り付けられた。乗り降りする度に大きな騒音を立てるため、アルマンに案内された時を除いてジャック達は利用しようとしなかった。扉や内部には綺麗な渦形装飾が見られる。作中では操作していないにもかかわらず、勝手に動き出し、誰も乗っていないはずの内部には紙吹雪や仮面が散乱していた。映画ではエレベーターが利用されることはなく、代わりに扉が開くと血の洪水が流れるという演出が繰り返されている。

舞踏室編集

東の棟にある舞踏室。「コロラド・ラウンジ」と繋がっている。映画での名称は「ゴールド・ルーム」。ダーウェントが1945年にホテルを開業した記念に仮面舞踏会が開かれた。それは今でも続いているようで、真夜中の12時になると客は各々の仮面を取り、ガラスドームの中の時計から人形が飛び出す。ジャックはこのありもしないはずの舞踏会に招かれ、酒とダンスに興じ、そしてある意外な人物と出会う。

児童遊園編集

ブランコすべり台ミニチュアのオーバールックの模型などが設置された小さな公園。コンクリート製のトンネルが置いてあり、子どもの亡霊が中に潜んでいる。原作のみの登場。

ボイラー室編集

冬季管理中は、日毎にホテル内の別の場所を暖める必要があり、同時に地下のボイラーの圧力を下げなければならない。室内には何者かによって作られた、オーバールックの黒歴史をまとめたアルバムが置かれている。原作では重要な設備として描かれており、最終的に大爆発を起こすが、映画ではちらっと登場するのみ。

装飾庭園編集

イヌウサギライオンなどといった動物の形に刈り込まれた生け垣。これらは皆生きており、人の見ていない時に忍び寄り、襲い掛かろうと待ち構えている。ホテルの番を担っており、侵入者にも脱走者にも容赦なく牙を剥く。終盤、ホテルの爆発によって一匹残らず燃え尽きた。映画製作当時は技術的な問題により省略されたことがスタッフから語られている。

オーバールック・メイズ編集

映画オリジナルの要素。3メートル以上の高さの生け垣から成り立つ大迷路。ホテルのロビーには迷路を再現した小さな模型が展示されており、あたかも実際の迷路とリンクしているかのような描写がなされている。本作のクライマックスとなる舞台であり、雪の降りしきる中、ジャックとダニーの恐怖の追いかけっこが展開される。ダニーは命からがら逃げのび、ウェンディと共にオーバールックを去るが、ダニーを見失い、迷ってしまったジャックはその場に倒れこんで凍死する。

関連人物編集

ホレス・M・ダーウェント編集

20世紀前半から半ばにかけて名の知れた大富豪。戦時中、長い間空き家だったホテルを買い取り、終戦後まもなく開業した。数多くの事業に携わり、成功を収めた実業家だが、裏社会との繋がりも示唆されている。そんな彼もオーバールックを黒字に導くことはできず、程なくして売り払ってしまう。

仲間内での愛称は「ハリー」。バイセクシャルであり、一度付き合った相手には見向きもしないのだという。過去の相手だったゲイの愛人ロジャーに対し、関係を続けたければ犬の格好をしてパーティで芸を披露しろと要求し、無茶な注文をして怪我をさせた上に出席者全員で嘲笑うなど、その本質は邪悪でサディスティックな卑劣漢。

映画では存在について全く言及されていないものの、犬男と行為に及ぶ男性や、原作でのダーウェントの台詞を話す血塗れの紳士など、それと思しき人物が登場する。

スチュアート・アルマン編集

1970年より運営している支配人。小柄で太めの体格に、禿げあがった頭をしている。経営者としは敏腕らしく、開業から半世紀以上経った現在、ようやく安定した利益を出している。そのためか、非常に高慢で嫌味な人物であり、従業員のほぼ全員から嫌われている。本人もそれを自覚しているが、自身の愛するホテルの経営を維持するためとして、お構いなしに接している。当初はアルの紹介で面接に来たジャックの経歴を目ざとく追求して雇用に反対していた。ホテル休業中、その意趣返しとしてオーバールックの知られてはならない過去を暴露するとジャックから電話口で脅され、大焦りで怒鳴り散らす。

映画化の際、大幅に変更されたキャラクターの1人である。映画版のアルマンは原作とは打って変わって愛想の良い、毛髪の豊かな男性として描かれており、ジャック雇用の際も彼の経歴には特に触れず、敵対もしていない。彼が物語の謎に関わる重要な場面が幾つか撮影されたが、その多くがカットされたために序盤を除いて出番は少ない。

アルバート・ショックリー編集

通称「アル」。実家は裕福であり、本人も投資家としてあらゆる事業に貢献しており、成功を収めている。オーバールックもそのひとつである。ジャックとはかつての飲み仲間であり、親友。ジャック同様アルコール依存症に陥り、酒浸りの堕落した日々を過ごしていた。2人でドライブしていたある夜、路上の三輪車をはねてしまう事故を起こすが、子どもの遺体がどこにも見つからないという珍事に遭遇する。これを神からの警告ととって以来、禁酒を貫いている。

ジャックとはその後も連絡を取り合い、ホテルの管理人の仕事を推薦するなど、義理堅く、面倒見の良い人物であり、ウェンディやダニーとも面識がある。一方、ホテルの裏の顔についても以前から認知しており、それを知った上で経営に携わっている。ジャックがホテルの不祥事を暴こうとアルマンを脅迫した際は、親友とはいえ憤りを感じ、解雇はさせないが、ホテルの闇を口外しないように圧をかける。一連の事件が過ぎた後、遺されたウェンディに新たな仕事を紹介し、トランス家の援助をした。

映画版には未登場。

ワトソン編集

通常時のホテルの管理人を務める男。ジャックからは「ポップコーンのようにふわふわした頭」と評される髪型の老人。おしゃべりでとても口が悪く、登場人物の中でもとりわけアルマンを毛嫌いしている。ホテルの創設者の孫にあたるが、ハロラン曰くホテルの経営難や先祖の事故により、現在の立場に身を置いているのだという。幼い頃からオーバールックで遊ぶなど、ホテルとは関係が深く、過去に起きた事件の数々を知っているが、幽霊を見たことはなかったという。劇中ではジャックにボイラーの調節について教えたり、ホテルのあらゆる出来事を語ったりしていた。

映画では台詞がほとんどない上に設定より若い容姿をしており、アルマンとの確執も特にはない様子。

ディック・ハロラン編集

ホテルの料理長を務める老人。容姿は長身でアフロの黒人。ダニー同様「シャイニング」の持ち主であり、予知やテレパシーを行使する際はオレンジの匂いがするのだという。ダニーと初めて会った日に通じ合い、彼の能力の強さに驚愕する。オーバールックには数年前から勤めており、以前は軍隊で料理長を担当していた。その当時、兄が列車事故で亡くなったことを「シャイニング」で認知する。度重なる怪奇現象を目の当たりにしてきため、近い内にオーバールックを辞めるつもりだった。

ダニー達のことを心配しつつも、217号室に近づかないように忠告してフロリダに渡る。だが、恐れていた事態が起こり、ダニーの交信を受けてコロラドに戻り、ジャックや生垣動物の襲撃を受けながらもダニー達を助けて生還し、その後は大黒柱を失った彼らを励ました。

映画ではダニーとの関係は冷淡に描かれており、彼らを助けるためにホテルに入った直後にジャックに殺されてしまうなど、原作とは扱いが大きく異なる。

ロイド編集

ウェンディからダニーを虐待したと誤解され、精神的に不安定になってしまったジャックが酒を渇望した際、独り言で話しかけていた空想上のバーテンダー。…の筈だが、後に本当にジャックの前に現れた。しかしジャックは当たり前のように彼と接し、次第に酒に溺れてしまう。ジャックに酒を勧める以外には目立った行動はないが、彼が酒を拒もうとした際、死人のように荒れ果てた姿となり、彼を驚愕させる。

映画版ではかなり原作に近い形で登場しており、原作のやり取りを細かく再現した上で独自の演出も加えられている。

デルバート・グレイディ編集

かつてジャックと全く同じ立場にあった男。ホテルの冬季管理中、孤独感と不安感に襲われて精神を病み、妻子を斧で惨殺した上に猟銃自殺を遂げた。高校を退学にされた飲んだくれであり、ワトソンからは「気味の悪いろくでなし」という印象を持たれていた。ジャック曰く「ゴリラ然とした凶悪な面構え」。また、休業中はホテル内に酒は一切置かれていないにもかかわらず、大量の安酒が発見されたという。

作中では既に故人だが、禁酒を破ったジャックの前に現れ、彼を困惑させる。そしてダニーが超能力を使って計画を阻もうとしていること、娘がオーバールックを嫌がって放火未遂を起こしたために妻子共々お仕置きをしたことを告げ、ジャックを殺意へと駆り立てる。ジャックがウェンディによって食料庫に監禁された際、彼をこの仕事に向いていないと突き放そうとするも、ジャックの懇願を受けて扉の鍵を開け、チャンスを与えた。

映画では、生前は真面目な従業員だったことが語られており、容姿もやや初老の域に近い。ジャックとグレイディの会話シーンは、恐らく劇中最も原作に忠実に映像化されたシーンである。

また、グレイディの娘は原作では2歳違いの可愛らしい姉妹であり、ワトソンの口からしか語られていないが、映画では双子に変更され、幾度となくダニーの前に現れるなど、原作にはない多くの出番が追加された。

ジャック・トランス編集

現在のホテルの冬季管理人。アルコール依存症家庭内暴力など、多くの問題を抱えており、その心の弱みを悪霊につけこまれ、狂気へと誘われていく。

オーバールックに来たのは初めてだが、原作映画共に不思議な親近感を抱いており、グレイディからも彼が昔からずっとここの管理人であったと伝えられている。

原作では最後の最後に正気を取り戻し、ダニーを助けようとするもボイラーの爆発によって息絶えるが、映画では狂気に身を任せてダニーを殺そうとした末に凍死する。そして翌朝、ホテル内に飾られた1921年7月の舞踏会の写真に映り込んだジャックを最後に、映画は幕引きとなる。

余談編集

オーバールックホテルは1974年にキングが滞在していたコロラド州の実在のホテル「スタンリーホテル」から着想を得ており、偶然にも後に映画で監督を務めたキューブリックと同じ名前である。

関連タグ編集

シャイニング(スティーブン・キング)

幽霊屋敷 ホテル 舞踏会

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