概要
キョウチクトウ(夾竹桃、英:oleander(学名ネリウム、オレアンダーセージとも))は、キョウチクトウ科キョウチクトウ属の常緑低木で、夏に花を咲かせる花木である。タケに似た葉、モモに似た花を持つことからこの名がついたと言われる。原産地はインド。日本には、18世紀に中国から伝来した。
良くアメリカ原産と大きく誤解されるが、これはアメリカにも中国経由で分布しているから。
花は赤から白、黄色があり、八重の品種もある。
具体的に言うと、白と濃いピンクの花がよく見られ、白は一重、ピンクは八重咲きが多い。日本では基本的に挿し木で増やしているため結実することは殆どない。
猛毒のある植物であるが、公園や川原、小学校や保育園など子供と接する場にも普通に植えられている。
毒樹として
この植物は木全体に強力な毒性成分(強心配糖体のオレアンドリンなど)が含まれている事で有名で、ごく微量であっても吐き気やめまいを引き起こす。
樹液を割り箸などに塗る程度でも、ごく簡単に人や動物を殺す非常に致死性の高い武器が出来上がってしまう程。毒性は日本より国外の方が強いらしく、西南戦争の際に、政府軍がこの木を削り箸のかわりに使ってしまった結果、中毒した事例がある。
生息域の広さから入手難易度はトリカブトより簡単な為、過去にも日本でキョウチクトウを悪用した殺人犯や、ハンター気取りの悪ふざけをしていた連中が後を絶たなかった事はあまり知られていない。
『こんなマイナーな毒草誰も知らないだろう』とタカをくくって悪用した連中が余りに多かったのだ。このことからキョウチクトウの自生は現在警察や市の監視対象ともなっている。
燃やした煙も有毒で、加熱すると毒が気化して毒ガスとなるので、火災現場にこの木があると危険度が増える。
ローマ軍が遠征の際、肉を焼く串に用いた為に食中毒になったという逸話もある他、創作では漫画グレイプニルでも収集車軍団を一掃する為、群生地で火災を起こしマップ兵器として使用するエピソードがある。
また、生えていた周囲の土壌も汚染される。この為、学校周辺に植樹されていたキョウチクトウが撤去されるという動きがあった。
しかし、キョウチクトウの枯れ葉や枝を腐らせて作った腐葉土を野菜の栽培に用いても、毒素が野菜に吸収されることはないという報告もある。
一方でキョウチクトウ自身は乾燥や大気汚染に対して強いことから都市部に多く植えられている。公害で汚染された川崎市では他の樹木が枯れる中キョウチクトウだけはよく育ったとされ、また広島市でも原爆投下後の被爆焦土に最初に咲いた花がキョウチクトウだったと言われている。
花言葉
「危険」「注意」「用心」「油断」とその毒性に由来するであろう物騒な言葉や、「永遠の命」「心の平和」などといった強靭な生命力に由来する言葉が挙げられる(危険と平和は紙一重という事なのであろう)。また、他には「美しき善良」「友情」「恵まれた人」と言った花言葉が挙げられる。
市町村の花・木
関連タグ
マンチニール - 同じく、全体に猛毒を持つ樹木。
緋弾のアリアAA - 登場人物の一人、夾竹桃の名前は、このキョウチクトウの漢字名に由来するが、毒を駆使したスキルを持つなど、その由来に踏まえた特徴を持つ。
ルパン三世DEAD_OR_ALIVE - ヒロインのオーリエンダー(オーリ)の名前はこのキョウチクトウの英名に由来しており、上述の花言葉に因んだ会話が作中でも登場している。