発見と命名
2005年7月、中国内モンゴル自治区二連盆地の白亜紀後期の地層にて内モンゴルの古生物学者「譚琳」と中国の古生物学者「徐星」の調査隊が、日本経済新聞社やNHKの取材チームも同行する中で発掘した。最初は付近で見つかっている小型竜脚類「ソニドサウルス」の化石と考えられたが、徐星は脛骨の形からすぐに獣脚類と見抜いた。発掘後、研究室で化石をクリーニングした結果、大型のオヴィラプトル類と判明し、2007年に「ギガントラプトル・エルリアンエンシス」と命名された。ギガントラプトルとは「巨大な泥棒」を意味する。
特徴
見つかっている唯一の化石は全長8メートル・体重1.4トン程とされているが、これはまだ成長途中の亜成体の化石であり、成体はさらに大きくなったと考えられる。また骨組織学の研究学から、この個体は11歳くらいだったと推測されている。成長速度はティラノサウルス類よりも速かったと考えられている。脊椎内部は体重を軽減するために、竜脚類のような海綿状構造となっていた。
生態
ギガントラプトルの化石には残念ながら羽毛が生えていた直接的な痕跡は残ってはいなかったが、近縁種に羽毛の痕跡が残っていたことから多くの学者が彼らにも腕などに羽毛が生えていたと考えている。とはいってもその巨体から体温調節ではなく、孔雀などの現生鳥類のようなディスプレイに用いていた可能性が高い。
食性についてはほとんど分かっていない。原始的なオヴィラプトル類が植物食だったことが分かっているが、ギガントラプトルの後肢の長さの比率は速く走るのに適しており、爪も植物食にしては大きかった。そのため彼らは新生代に現れるディアトリマなどの恐鳥類のように、ヴェロキラプトルやプロトケラトプスなどの小型恐竜を捕食していたと主張する研究者もいる。