概要
古くは江戸末期に書かれた『南島雑話』に記録されている奄美群島に伝わる妖怪で、漢字で水蝹と書かれておりケンモン、クィンムン、ケィンムンとも呼ばれる。
その他クンモン、クンム、ネブザワといった呼び名もあり、沖永良部島でのヒーヌムン、奄美大島の宇婆(うば)や徳之島の笠を被り尾があるイッシャも同類であると伝わる。
水の精、もしくは後述のガジュマルの木の精ともいわれる。
頭に皿を持つなど姿かたちは河童や山童に似ており、夜になると涎もしくは指先、頭の皿の油が光る。
沖縄のキジムナーと同じく魚が好物で特に目玉を好んで食べるが、蛸やシャコガイが大嫌いである。
樵の薪集めの手伝いをしてくれるなど害のない存在であったが、時代がたつにつれ人の魂を抜いたり、ガジュマルを切ると祟られるなどの恐ろしい面が強調されるようになったといわれている。
戦後にGHQの命令でガジュマルの伐採を命じられたときには、祟りを恐れた島民たちは「マッカーサーの命令だ!」と叫びながら作業を行った。
すると、ケンムンが姿を見せなくなったと感じたころに、ダグラス・マッカーサー死去の報が入ったという。
1990年代のUMA関連の書籍には、河童恐竜人間説と共に、未知の霊長類ではないかとして紹介されていた。