概要
所有者は伊集院圧政。
ケルベロスという名の通り、狼めいたシャープなデザインの頭部、漆黒のボディを持つ。
対照的に真紅のホールドパーツ「ブラッディクロウズ」は3つのツメが取り付けられている。
このブラッディクロウズには「パワーリング」というギミックが存在しており、回転させる事でドライブ・バックスピン・イングリッシュボールといった多彩な球種を使い分ける事ができる。後述する漫画内ではドライブショット時の威力は競技用ターゲットを粉砕するほどとされていた。
更にもう一つ「ダブルバースト」機構というギミックが搭載されており、通常のビーダマンが腹部に1発、頭部内に1発ずつストックして1発ずつ発射するのに対し、ケーニッヒケルベロスは前方に突き出たブラッディクロウズの中に1発、腹部に1発あるためストックしたビー玉を1度に2発同時に発射する事ができる。
ただでさえ強力なドライブショットが2発同時に撃ち込まれた場合、1発目を迎撃する事さえ難しい一般的なOSビーダマンで打ち勝つのは至難の業。
この2点同時発射の為にボディが若干前後方向に伸びており、後のシリーズで機体が前後にどんどん伸びていく転換点にあるモデルであるとも言える。
総合するとホビーアニメのお約束の「悪役が使う超強力だが持ち主にも負担を強いる機体」ポジションであり、このケーニッヒケルベロスも持ち主に相当の負担を強いる危険な機体である。
どれぐらい危険かというと、全力で締め撃ちし続けると指を骨折するぐらいの危険さである。
とはいえ、あくまでこの異常な強さはOSビーダマン世代としての話。
PIビーダマン世代とは覆しがたい性能差があり、初期量産品であるアイアンサイクロプスにダブルバーストを正面から破られる…と、PIビーダマンの強さを見せつけるための噛ませとして扱われた事もある。
劇中での活躍
全日本ビーダー選手権準決勝戦ではチームレックスをコールドゲームに追いやった。
続く決勝戦でもチームガッツのOSビーダマンを圧倒。ダブルバースト機構を活かし、一発目で相手の玉を迎撃しつつ二発目はイングリッシュボールを放ってシャドウボム(代理ターゲット)に当てるなど、伊集院の能力も合わさって驚異的な力を見せつけた。
ファイティングフェニックスとの撃ち合いではキャノンショットを迎撃しきれず相打ちになり、シャドウボムへのダメージを許してしまう。だが、キャノンショットの反動でファイティングフェニックスは自壊。更に戸坂玉悟の手から落ちたフェニックスを場外へと撃ち落し、完全に破壊してしまった。
勝敗は決したかに見えたが、玉悟の手に新型のPIビーダマン・バトルフェニックスが届けられたことで形勢逆転。ダブルバーストが一方的に撃ち負けるなど性能差を覆すことが出来ず、逆上した伊集院は自身の指の骨が折れる程の力を込めた締め撃ちで玉悟を迎え撃ったが、バトルフェニックスのパワーには及ばず、敗北した。
この死闘を通して伊集院は病的な勝利への執着や憎悪といった負の感情から解放され、憑き物が落ちたかのように以前の性格へ戻りサラーと和解。
贖罪の意味を込めてケーニッヒケルベロスを託した。
その後、サラーが一時的に使用していた他、伊集院は練習・研究パートナーとしてサラーに協力するようになり、復活した2人の友情はお互いの愛機を融合させたようなコンセプトの「スタッグケルベロス」を誕生させた。
立体物
タカラ(現:タカラトミー)より販売された。
上で述べた「パワーリング」「ダブルバースト」の両ギミックをきっちりと搭載している。
OSギア世代のビーダマンのため、OSパーツを使用してカスタマイズする事ができるが、特殊な形状の発射口になっている関係上ロングバレル系のパーツは付ける事ができない(そもそもスピン系のギミックとロングバレルの相性が悪いという事もあるが)。
そのためか、取り付けたままでもパワーリングを操作できる専用のショートバレルが付属しており、OSギアをつければ使用する事ができる。
バースト発射ギミック搭載はシリーズ初。
実際に締め撃ちしながらダブルバーストしようとするとそこそこ力が必要になるが、それもある意味原作再現…なのかもしれない。
また、ゴールデンビーダマン以降ずっと続いていた、スピン系ギミック機の弱点である「発射力が弱く、競技系の遊びに向かない」という点も締め撃ちとスピンの並立によりカバーしているなど、ライバル機らしい優遇されっぷりである。
ただ弾速が上がるにつれて左右スピンは実感しにくくなるという面があり、本機の場合は「跳弾」と表現されているようになにかにぶつかった後に跳ね返る方向が変わるという形に働く事が多い。
余談
ちなみに『ケーニッヒ』とはドイツ語で『王、王様』を意味する言葉でもあり『ビーダーの王』を意味するキングビーダーズのリーダーである伊集院にピッタリの名前である。
また、作中の決勝戦で伊集院はタマゴのファイティングフェニックスをにせスリークロウズ呼ばわりしていたが、左右のホールドパーツ+下部でTの字を描くような3本ツメだったスリークロウズに対してファイティングフェニックスは3本のツメが正逆三角形になるように配置された「デルタシステム」を採用している。
3本ツメという点では確かに模倣と言えなくもないのだが、ケーニッヒケルベロスはファイティングフェニックスよりも後発で正逆三角形の3本ツメとなっているため、逆にこちらがファイティングフェニックスを模倣しているとも取れる。
加えて、「発射するビー玉に回転をかける」「ホールドパーツを回転させる」という点に関してはスタッグスフィンクスのコンセプトを模倣していると取れる部分もある。
だが、これに関しては作者である今賀氏のツイート曰く「伊集院が技術的ブレークスルー(ギミックの元祖の発案者)なのでチームガッツは言い返せない」とのことらしい。
ちなみに作者の今賀俊氏によると「ケーニッヒケルベロスのホールドパーツ(ブラッディクロウズ)が赤いのはスリークロウズが倒したビーダーの血を吸って染まっているから」という裏設定があることをTwitterで明かしている。