ゼタ(デンドロ)
とうぞくおうぜた
「…………妬ましい」
「……こちらには……手の届かない世界に手を伸ばした人々はいなかったのでしょうね」
イリーガル・フロンティアのサブオーナーである超級のマスター。
かつてはグランバロアの討伐ランカーだったが、とある理由からグランバロアの国宝を盗み出して出奔、黄河やカルディナで窃盗を働いた後、イリーガルフロンティアに合流する。
マスターの中でもかなり訳ありな人物の一人。
アバターは褐色の肌に赤い目の十代半ばほどの美少女。
全身に黒と紫の包帯を巻いたミイラの様な独特の格好をしており、傍目では性別すらわからない。
包帯の下には宇宙服や潜水服の様な大気の変化に強い装備を着込んでいる。
ちなみにミイラの様な格好は『ミイラ取りがミイラになる』というジョークを意識しているが、ゼクスしか言及してくれなかった。
発言の前に単語を口にする喋り方が特徴。
オーナーであるゼクスの事は慕っており、他のメンバーが監獄でゼクスと一緒にコーヒーを飲める事に少しジェラシーを感じていた。彼女にとってデンドロは現実からの避難に過ぎず、同時に避難できるからこそただのゲームではありえないとも考えている。
聡明ではあるがその生い立ちから『価値を無駄遣いする人間』を何よりも嫌う。
出奔前はチェルシーと友人。ゼタが何を嫌うのか察して、食事中でも色々と気を使っていたらしく、ゼタ自身も気づかいを理解して関係は良好であった。
皇国所属時、自分の力の価値を無駄にしていたローガンに接触。自身のクランに勧誘しつつ、ジョブを見直し戦術を指導した為慕われ、彼の精神面での成長に少しだけ貢献している。
ドライフ皇国のアルター王国へのテロ計画に加担する等暗躍していた。
本名はゲーム内と同じゼタ。
人類初の地球外出産で誕生した火星在住の少女。
デンドロで本名そのままなのは『私は私』というスタンスから。
2020年代後半、某国が火星に人員を送り、拠点やプラントを建造する計画を発表し、2030年に他国の反対を押し切って六人の宇宙飛行士が片道切符の旅に出た。
その道中、スタッフの一人が妊娠している事が船内で判明。
出産は火星で行われ、その時に生まれたのが彼女である。
ゼタは生まれた場所を除けば至って普通に育ち、やがて教材データを用いて一人で学ぶようになる。ただ火星で生まれ、「地球」という星を体感したことがないゼタには地球を基準として生み出されたデータを理解できず、「いつか地球に帰れるといいわね」という母親の言葉も彼女にしてみればあやふやで不確かで、不安なものでしかなかった。
十歳になった頃、生活していた施設でトラブルが発生し、大人達は全滅、幼い身でありながら彼女は一人ぼっちになってしまう。それでも生きるために技術を覚え、精神をすり減らしながらも彼女は学び続け、地球からの援助や機能を維持していたプラントのおかげで彼女は生き続けていた。
ある時、地球からの支援物資に紛れて彼女のもとにインフィニット・デンドログラムが届けられる。最初はプレイできるわけがないと思いつつも自分を狙いすまし、星を越えて送られてきたハードに興味を持ち、試すようにデンドロを起動した。
ログインは成功し、これによってデンドロのログインは従来の通信設備を使っていないことが発覚した。
彼女にとっての現実は火星の環境であり、地球やデンドロ世界はどちらも異世界か異質な環境に映り、特に生きる為に必要な「水と空気」が『吐いて捨てる程ある』、または『その価値を理解しない』事に強い嫌悪感を示し、そこから価値を無駄にする場面を見聞きする度に妬みや殺意を抱く程のストレスを蓄積していた。
最初にログインしたグランバロアでリリアーナ・グランドリアの祖父であるバルタザールに拾われる。リアルでまだ幼かった彼女にとって親の様な存在であり、自分を抑えられなくなった彼女がグランバロアから出奔する際、彼に迷惑がなるべくかからない為に「とある国宝」を盗み出す。
その後ゼクス・ヴュルフェル達と出会いイリーガル・フロンティア所属となる。
またグランバロアの戦艦が沈没した場所を覚えていた為、初期の四人で海溝まで沈没船を回収しに行き、それが後の拠点【テトラ・グラマトン】になっている。
広域の大気を操作するエンブリオと、密かに近づき盗みを仕掛けるAGI型超級職【盗賊王】を組み合わせた万能型のビルド。
エンブリオによって空気弾・空気壁・真空・高濃度酸素・光学迷彩などなど多彩な手札を持ち、様々な攻撃で翻弄しつつ超音速のAGIで近づいて盗みを実行する。
ジョブとエンブリオ間のシナジーは特に無いが、エンブリオで中遠距離、ジョブで近接と役割を分担して万能性を高めている。
個人戦闘、広域制圧、広域殲滅と三種どれもこなすことができ、勝ち筋に繋げる対応力が非常に高い。
盗みを狙わない場合は必殺スキルによる広域殲滅を実行し、その気になれば半径1キロを消し飛ばす核攻撃を行うことも可能。
メインジョブ | 【盗賊王】(盗賊系統大盗賊派生超級職) |
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前述の経緯から『価値を無駄にする人間』を嫌っているため、そういった愚者から『価値』を剥奪できる盗賊系統のジョブに就いた。
【盗賊王(キング・オブ・バンディット)】
盗賊系統の超級職。ゼタのメインジョブ。
ステータスはAGIとDEXがよく伸びる。
【強奪王】が力尽くでアイテム等を奪う直接的な戦闘力があるのに対し、盗賊王は音も無く盗む正統派の盗み特化なのが特徴。
エンブリオ名 | 【気哭啾啾 ウラノス】 |
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TYPE | テリトリー系列 |
能力特性 | 大気操作 |
到達形態 | Ⅶ |
ゼタの持つ超級エンブリオ。
能力特性は大気の操作で、空気の密度や組成、気圧等を自由に操り、空気に関することはほぼ何でもできる万能型。
その場の空気を操作するため毒ガス生成等無理な事もあるが、「真空化」、「光学迷彩」、「酸素濃度調整による腐蝕」等手の内を知られても手札の多さ故に問題にならない。
その本質は、ゼタが空気の重要性を誰よりも知るが故に、デンドロ世界をゼタにとっての故郷である火星環境に作り変えるマーズフォーミングを行うエンブリオ。
万能な反面、スキルの出力が超級エンブリオとしては低めなのが欠点。
- 【??? モビーディック・レフト】
【双胴白鯨 モビーディック・ツイン】を討伐して得た超級武具。
鯨を模した白いアクセサリーである事以外不明。
王都テロ時に迅羽と戦闘になった際、彼女の独白から使用するには場所を選ぶ模様。
ジョブ
- 《スティール》レベルEX:アクティブスキル
盗賊系統の基本スキル。
アイテムボックス内のアイテムや相手の装備品を確率で盗む。
成功率は使用者のDEXやスキルレベルで変化する。
【盗賊王】の場合スキルレベルがEXであり、盗難対策がなければ相手の装備やアイテムを100%盗める。
- 《アブソリュート・スティール》:アクティブスキル
【盗賊王】の奥義。
触れた物の『内側』にあるものを盗む。
アイテムボックスなら盗難対策に関係なく任意のアイテムを盗み出せ、生物ならば臓器すら容易に盗むことが可能。
エンブリオ
- 《コードⅠ:フォーミング》:アクティブスキル
【ウラノス】の固有スキル。
大気密度を操作して圧縮空気の砲弾を成形する。
威力は超級エンブリオとしては低め。
- 《コードⅡ:シェルター》:アクティブスキル
【ウラノス】の固有スキル。
真空と空気の層を何層にも重ねて防壁を生成する。
強度はそこまでだが、断熱壁や物理防御に特化した圧縮空気防壁等用途に合わせて生成できる。
- 《コードⅢ:ミラージュ》:アクティブスキル
【ウラノス】の固有スキル。
大気の屈折率を操作して光学迷彩を施す。
自身の隠蔽や虚像を写したり、コードⅡの空気壁を通常の空気のように偽装可能。
- 《コードⅣ:アーティラリィ》:アクティブスキル
【ウラノス】の固有スキル。
大気密度の操作により多方向から空気弾を打ち出す。
威力は超級エンブリオとしては低め。
- 《コードNull:ファラウェイ・ホーム》:アクティブスキル
【ウラノス】の固有スキル。
周辺の大気組成を操作し、水も空気もない無限の渇きに満ちた世界、すなわち火星と同一の環境を作り出す。
【ウラノス】、ひいてはゼタの本質とも言うべきスキルであり、基本形にして最終形。
最も省力にして広範囲。
ウ ラ ノ ス
- 《天空絶対統制圏》:アクティブスキル
必殺スキル。
一定時間大気操作の出力を大幅に上昇させる。
ただ出力を上昇させるだけでなく、通常時は大気に存在する分子の密度・量を操作するが、必殺スキル発動時は大気の組成を構成する原子を元に別の原子を生成することも可能となる。
これにより『大気成分から重水素と三重水素を生成し、核融合反応を誘発』、『海を塞き止める程の空気の堤防を構築』等凄まじい芸当を可能とする。
ただしマクロ登録である程度自動化されていた固有スキルと異なり、必殺スキル使用時はエンブリオの補助無しで思念によるマニュアル操作を行わなくてはならない。
そのため範囲の調整や発動タイミングなどをミスして自滅するリスクもある。