愛娘の将来を案じる終焉帝(携帯持ってたんですね・・・)
曖昧さ回避
- 紀元前4世紀の古代ギリシャ植民地シラクサの人物。権力者の栄華は常に身の危険と紙一重のところにあるという意味の「ダモクレスの剣」の故事で知られる。
- クール教信者によるマンガ・アニメ『小林さんちのメイドラゴン』の登場キャラクター。本項で解説。
プロフィール
初登場 | 第16話(回想のみ)、第19話(ラストで登場)、第20話(正式登場) |
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種族 | ドラゴン |
所属 | 混沌勢 |
性別 | 男性 |
人間年齢 | 100才 |
身長 | 人間姿165cm ドラゴン姿30m |
好きな食べ物 | 寿司、天ぷら |
嫌いな食べ物 | グレープフルーツ |
趣味 | 読書 |
特技 | 料理 |
トールに伝えたいこと | 親としては健やかであってくれくらいかと |
CV | 菅生隆之 |
概要
トールの父親に当たる牡のドラゴン。混沌勢の代表格であり、他のドラゴンからは終焉帝と呼ばれ畏怖される存在。
人間としての姿は立派な髭を蓄えた白髪の老人で、襟を立てた茶色のマントで全身を包んでいる。
存在自体は第1話でトールの口から母親と共に明かされ、第16話の過去回想で一瞬だけ登場していたが、第19話の終盤でトールが買い物から帰宅した直後に小林さん宅を訪問する形で登場、続く第20話ではトールを説き伏せて元の世界に連れて帰ろうとした結果、トールの意志の重視と主人としての務めを自覚した小林さんと対立した。最終的に小林さんに手を出そうとした結果、トールの逆鱗に触れて反撃を食らってしまい、諦めて帰っていった。
初対面では必ずしも良好とは言えなかったものの、その後も定期的に娘の様子を知るために人間界を訪れており、小林さんとも幾度となく顔を合わせるようになる。
ドラゴン姿
原作に先駆けてアニメ1期第12話にて登場、原作の方では第57話で登場した。本来のドラゴンとしての姿はトールと似ているが、ウロコの色は茶色掛かった黄土色であり、翼の色は茶色(人間態のマントと同じ色)、角は左右に三対あり、鼻先の両側面から中国の竜のような髭が伸びている、等の差異がある。
人物像
基本的には思慮深く厳格であり、ドラゴンと人間は相容れない存在であると考えているが、むやみに人間の命を奪うことはしない。初登場時には実娘のトールをはじめとするドラゴンが次々と人間界に出没し住み着いていることに懐疑的で、いずれ侵略を試みようとするドラゴン達が現れるのではないかと危惧を見せていた。
第84話でのテルネの「気に入らんのじゃろ?枠組みにはめられることが?」、第132話でのジダの「・・・こいつ終焉帝の娘でのありながら人間社会への恭順を示せるのか・・・」というトールに対する発言や評価などから彼の人物像が描写されているが、何れにおいても他者の支配を許さぬ誇り高い存在と見なされているのが分かる。
と、ここまで書くと近寄りがたい存在のように思えてくるが、原作では回を追うごとにコミカルな描写や一面が増えていっている。というかエルマの実質的な初登場回である第22話の時点で、小林さんのイメージとしてであるが、デフォルメ化されて「ごめんねー」と呟いている姿が描かれるというように、割と早い段階で初登場時の威厳が凡そ感じられないものになっている。
特に第84話ではこうした一面が顕著に表れており、守護者として任命された小林さんに連絡手段を問われ「携帯で」と答え、娘共々ショックを与えるどころか、小林さんの持っていた機種を「それ古いぞ」と突っ込む、また、守護者としての仕事に当たってキムンカムイの暴走を小林さんが糾弾した際には彼の情けなさに対して「マジウケル」と若者言葉で評するように、彼の威厳を感じさせる雰囲気と茶目っ気のある言動と現代社会への順応ぶりが交互に描かれている。
趣味の内、読書については第57話にて真ヶ土専務の書いた本を若い頃から読んでいて、そこからトールの名を取った経緯が明かされており、料理については第80話ではダメ元でやって来たトールに大根の葉を使った料理(恐らく『メイドラ大全』にてトールの好きな食べ物として挙げられていた「大根の葉の胡麻醤油和え」)を教えている。なお、後に単行本に収録された際には終焉帝の作る光景を呆然と見ていたコマがオマケで追加されている。
過去
元々彼は、何者にも縛られずに生きるはずのドラゴンが世界を管理すべく干渉を始めた神や、神に従う人間達との戦いに明け暮れるようになり、やがてドラゴン同士による勢力争いにまで発展していく様子に疑問を抱いていた。しかし、それらの戦いに身を投じ続けていくうちに、いつしか混沌勢の筆頭格と称されるまでになっていた。
娘には自分と同じようなしがらみに囚われることなく自らの心のままに生きてほしいと願い、広い世界を巡り様々な知見を得られるようにとの思いから旅出たせたのだが、その結果彼女は単身神に戦いを挑み生死不明となる。幸い、トールは落ち延びた先の人間界で小林さんに救われたのだが、結果的に娘を危機に晒して深く傷つけてしまったことを深く後悔しており、後に小林さんと再会した時には「娘の心情を察することができなかった自分は駄目な親だ」と自嘲している。ダモクレス自身は父親として不器用ながらも娘の行く末を案じており、初登場時の一件もトールを思ってのものだった。
トールの方も父に愛情をもって育てられたことを理解し自覚しており、依然として彼に尊敬の念を寄せている。そのため、様々な出来事を経て価値観や人間に対する見方が変わった今の自分は父と理解し合えない立場になってしまったと寂しさを感じてもいる。
とはいえ、後述する本編やスピンオフでのエピソードを見る限り、関係自体は決して悪いわけではないらしい。
本編で語られた過去は以上の通りだが、作者の他作品では、彼の過去について更なる話が仄めかされている。(以下、余談を参照。)
能力
原作では第20話にて光線らしきものを放つ魔法、第54話にて世界同士を繋ぐゲートを生成する魔法をそれぞれ披露した程度だが、後述するアニメ1期の最終回では彼の能力についてもう少し深く掘り下げが行われた。
人間態では宙に浮いた状態で羽織ったマントを操り、相手を拘束し、そのまま元の世界へと戻る能力を披露している一方で、ドラゴン姿ではトールが使用していた魔法陣から光線発射や、魔力を全身に纏わせる能力を披露しているが、どちらも魔法陣の色が紫色になっている。加えて血筋からして自力でマナを生成可能と思われるが、その放出量はトールの比ではないらしく、出現するや否や晴れ渡っていた空が一面雲に覆われる、動物たちは元より朧塚に住む他のドラゴンたちもその気配を察知する等、力の凄まじさが描写されている。長年の神との戦いで培われた経験を考えてみても、その実力は他のドラゴンと一線を画しており、同話ではカンナから「終焉帝には逆らえない。」と評される、2期6話ではファフニールが小林さんやトールの関係性に興味を持ったのが終焉帝を退けた一件があったからと語られており、他のドラゴンからしてもその力を絶対的なものと見なされている。
作中では「歯向かうなら容赦はせん。」と言っていたものの、彼の本心を踏まるのなら手加減をしていた可能性が高い。
アニメ
- 第1期
第7話においてトールの回想シーンに声のみで登場。「人間は害悪だ。皆殺しにしろ。」と発言しており、トールも小林さんを父に会わせると、小林さんが殺されてしまうと懸念していた。第12話のラストにて、朧塚の上空にゲートが形成しドラゴンとしての姿を一瞬だけ見せ、続く最終回となる第13話にて正式に登場した。なお、アニメにおいてはタイトルの時点で終焉帝の名が登場し、作中ではカンナの口から終焉帝の名が言及されているがクレジットでは「トールの父親」と表記されている。
バレンタイン直前の朧塚に襲来し、朧塚商店街での買い物中に小林さんとの生活にいつか訪れる終わりに恐怖を感じていたトールの前に姿を現し、彼女を元の世界へと連れ去った。(自宅で待つ小林さんはカンナからトールが元の世界へ帰ったことを告げられたものの、長らくトールに家事を頼りきりだった生活が続いていたため、その後の生活は次第に荒んでいった。)
しかしトールが小林さんの下へと戻ってしまったため、再度人間世界を訪問せざるを得なくなり、小林さん宅玄関前に宙に浮いた状態で出現し、遂にトールを挟んで小林さんと対峙する。ここからは一旦原作同様の「親子同士のやり取りに小林さんが介入し自分のメイドだと主張して、威嚇射撃をしてしまった結果、トールの逆鱗に触れる」という展開になるが、威嚇射撃の1発目が小林さんの眼鏡に直撃するものに、放とうとした2発目のトールの遮り方も魔方陣の生成へとアレンジされている。そしてトールの反撃を受けた終焉帝の反応も原作では一先ずの帰還であったのが、こちらでは場所を第2話に登場した高原に場所を移した上での親子喧嘩へと発展してしまう。お互いに一歩も譲らず、ドラゴン形態での頭突きや魔法陣からの光線の撃ち合いを続けていたが、そこにドラゴン形態のカンナに乗せられた小林さんが乱入してきたため、親子喧嘩は中断を余儀なくされてしまう。彼女たちの人間と暮らしていくという決断に相変わらず疑いを見せ続けるが、小林さんからは暮らしを続いていくか信じられるかが問題だと返され、更に放たれた「私は信じた!あんたはどうなんだ!娘を信じてみせろよ!」という言葉に一瞬目を見張った後で目を細め、「認めはせん・・・人間など・・・共に生きる寿命を持たぬ分際の如きが・・・トール・・・愚かな娘よ。」と漏らし、渋々と元の世界へと帰っていった。
実質的に『小林さんちのメイドラゴン』1期におけるラスボスと言うべき位置づけであり、1話限りの出番も大幅に盛られ、人物像も原作以上に厳格な父親となった。一方でトールを褒められた際には「そんなことはわかっておる。」と即答するというように、原作で見せていたトールへの愛情や憂慮も相変わらずであり、それも踏まえてみると原作以上に天然な人物にも見えなくもない。
加えてアニメではエルマの登場順やルコアの移住等が終焉帝の到来よりも前倒しになったため、終焉帝がドラゴン達の到来の危険性を指摘する下りでは(カンナとファフニールも含めて)原作ではいなかった彼女たちがその行く末を注視する場面も挟まれていた。(カンナは才川宅からの家路、ルコアとファフニールは居候先での静観、エルマに至っては街中の鉄塔に昇り、やって来た時と同じ服装で武器のトライデントを構えて天を睨んでいるという具合である。)
- 第2期
PV第2弾にて某宇宙人のCM風にナレーションを担当、ラストのカットで登場が告知された。
本編では第12話にて登場。今回は登場時に「終焉帝」のテロップが表示され、クレジットでもこの表記が採用されている。社内にて専務の立会いの下、トールの過去を語るという展開は原作通りだが、原作では会議室だったのが、アニメ版では専務室へと変更されている。
- ボイスドラマ『メイドラゴンたちの日常』
直接登場しなかったものの、原作同様トールに料理を教えており(単行本でのオマケも反映してか、自分で作って教えたという。)、教えた料理も大根の葉っぱのサラダとなっている。
なお、原作では一週間以上も同じ料理を作り続けた結果上がった苦情に対してトールが意に介さずで終わったのが、こちらではオリジナル展開として小林さんが食材の買い出しのために外出しようと提案し、次のトラックにて秋葉原にやって来た滝谷とファフニールが小林さんたちと出会う伏線になっている。
『カンナの日常』
「約束の時間」の一コマや、「恩返しの時間Ⅱ」ではカンナが自身の体験を元に翻案した鶴の恩返しの演劇にて彼(あるいはキムンカムイ)を元にしたと思しきキャラクター、鶴の王が登場したりしていたが、「宅配の時間」で正式に登場した。作中ではトールを事情については不明ながらも、元の世界へと呼びだし、3日後に彼女が帰る際には「今回は面倒をかけた」と謝罪の言葉を伝えていた。
上記のエピソードが収録された第11巻の原作者による巻末漫画でも登場したのだが、そこでは無人の小林さん宅に勝手に上がり込んで一人煎餅を頬張っていたところ、帰宅したカンナをゲームに誘うという、これまでの人物像からは想像出来ない自由人ぶりが描写された。後から帰宅したトールはカンナからゲームに負けて悔しそうに帰っていったと教えられたものの、トールはおろか、カンナも自分の見た光景に半信半疑であった。
作者のコメント
今のところの作中最強キャラです。超然的なようで一般的な感覚も持ち合わせているおじいちゃん。 |
余談
- 原作では初登場時は「トールの父親」というだけで名前は最後まで明かされず、第44話の過去回想にてエルマの口から終焉帝の称号が言及され、第54話にてファフニールが第20話での出来事について「終焉帝を退けた」と表現し、この2つでトールの父親の称号が終焉帝であると判明した。本名のダモクレスが判明したのは第84話においてであるが、作中では専ら終焉帝と呼ばれる。
- なお、トールは第1話より父親に加えて母親の存在を仄めかしていたのだが、第54話のダモクレス自身の回想では登場せず、第123話のトールの説明で終焉帝に子育てを丸投げしていた状況が明かされた。同話で母親のドラゴンの容姿も判明したのだが、東洋の龍を思わせるものになっている。また、彼女のように発情期に契って産んだらそのまま飛び立つ事例は珍しくないらしくカンナも同様であったと明かしている。
- 作者のツイッターではカンナの服装を着たキムンカムイの出る悪夢に魘される終焉帝が描かれたことがある。(参考)
- アニメで披露した「その場に留まるだけで周囲の天候に影響を与える能力」らしきものは、後に『ルコアは僕の××です。』第16話でもルコアが披露しているが、こちらはテスカトリポカを召喚しようとした魔術師に対する威嚇目的かつドラゴン形態に限定された使用かつ出現時に雷が発生するだけであり、アニメにて終焉帝が世界に留まり続ける限り影響を与え続けていたものと比べると控え目なものになっている。(とはいえルコアはルコアで本来の姿は他のドラゴンを遥かに上回る巨体の持ち主であるので、威圧感を与えるのならば、そもそも能力に頼る必要自体なかったりするのだが。)
- 上記の「最終話でダモクレスが娘を人間から救うために到来し、その際晴天を曇天に変えた」という展開は、「第1話でトールが洗濯物を乾かすためにドラゴンの力を使い、曇天を晴天に変えた」という展開の反転とも解釈できる。
- 作者の他作品で世界観を共有する『滅子に夜露死苦』や『もののけ◇しぇありんぐ』では、小林さんたちのいる世界そのものが一度フラウに貪り喰われて滅ぼされ、今の地球は作り直したものである事実が語られているのだが、後者の第33話の回想において登場した「地球の再生に居合わせ、その後は歴史の監視に当たった」神々のシルエットには彼を思わせるものもある。これを踏まえると、彼の人間換算時の年齢である100歳は、46億年を軽く超えているものと思われる。(このコマや作者の他のツイートなどの情報を統合すると、他のメンバーとしては滅神鬼、未鬼(三木)、ルコア、モミがいたようである。)
関連タグ
小林さんちのメイドラゴン トール(小林さんちのメイドラゴン)
黙示録の赤い竜: 恐らく元ネタ