- 曖昧さ回避
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概要
2021年7月20日、航空ショー MAKS2021にて公開された、ロシアの第5世代ジェット戦闘機。「F-35よりも軽量、安価、高性能」を謳っている。
開発はロシアの国営企業UAC(ユナイテッド・エアクラフト・コーポレーション)のスホーイ部門はこれまでに第5世代ジェット戦闘機Su-57を開発しており、整備性向上のため同機のアビオニクスや一部コンポーネントをチェックメイトに統合している。
MAKS2021時点での名称はスホーイLTSもしくはLTSチェックメイトであり、LTSとはлегкий тактический самолет(軽量戦術航空機)のラテン文字転写である。
性能
上記の通り、「F-35より安価、軽量、高性能」を謳っている。第5世代ジェット戦闘機の一般的な能力とされるステルス性、超音速巡航(スーパークルーズ)能力の他、以下の情報が公表されている。
・航続距離は機体内部燃料のみで2800km(F-35Aは2200km)
・最高速度はマッハ1.8(F-35はマッハ1.6)
・武装搭載重量は7400kg(F-35A,Cは約8100kg)
・価格は3000万ドルから(F-35Aは約7800万ドル)
また、AIによるパイロットの補助など多数の新機軸を盛り込んでいるとしており、小型無人機の親機としての運用や将来的な無人機化も視野に入れられているとのこと。
機体形状としては、単発エンジン、V字尾翼、側面ウェポンベイ、胴体下ウェポンベイの他、機体正面下部にX-32と似た形状のエアインテークを特徴とする。なお、同社製造の同じ第5世代機であるSu-57とは異なり固定機関砲は装備しておらず、外装ガンポッドの搭載で対応とするとしている。
もう少し詳しく
ロシアの第4世代ジェット戦闘機には 重量型のSu-27と軽量型であるMiG-29があるが、これを踏襲する形で重量型にあたるSu-57がシリアへの空爆を教訓に対になる第5世代軽量型として当機の製作を2016年に検討し始めた。
推力14500kgf~16000kgfのジェットエンジン1基を使用しておりF-35用のP&W F135より控えめな性能である。
その一方で胴体を細く引き絞る、主翼後退角を約45度としデルタ翼に近い形状にすることで高速性能と機動性・STOL性能の両立を図る、といった機体設計においてそのような部分を補っている。
またV字尾翼の採用には、ステルス性のほかに水平尾翼の省略により部品点数を削減し製造コストを下げるという目的もある。
レーダー波吸収塗料によるコーティングは行わない。これにより本体価格や運用コストを削減している。
機首にAESAレーダー及びIRSTを装備し、機体各所に電子工学情報システム(F-35のEO-DASにあたるシステム)を配置。
3か所に分かれたウェポンベイのハードポイント数は左右前部の1つずつと胴体下ウェポンベイの3つで合計5つ。主翼下にハードポイントを増設することで兵装搭載数を拡張可能。
対G性能は8Gとされる(F-35Aの9Gよりは劣るがF-35Cとは同等)。
配備
UACは、2023年の初飛行後、2024年までに生産開始、2025年まで試験機で改良を重ね、2026年に実戦配備する予定だとしている。
ロシア航空宇宙軍に採用された場合、制式名称はSu-75になると見られる(機体各部に75の数字が刻まれている)。
またSu-57とは異なり計画当初からロシア以外の他国へも輸出を行うことを前提として開発されている。
輸出予定機体数は300機としており、主な輸出先としてインド、アルゼンチン、ベトナム、UAEの4ヶ国を想定。UACは顧客への技術提供も行うとしている。
関連タグ
F-35・・・競合機体。
Su-57・・・同じロシアの第5世代ジェット戦闘機。