概要
ドラえもんプラス4巻及び、藤子・F・不二雄大全集4巻に収録。
スイッチを入れ、最初に見た相手を主人として認識する忠犬型のロボット。
見た目は可愛らしい子犬で、一度主人と認識した相手には極めて忠実。
しかしあまり融通がきかないところが欠点であり、主人となったその相手がたとえ本気にしていなくても、言葉や態度に全て反応してしまうほどであり、主人が少し休みたいと言えば丁重に布団を用意してあげたり、主人に危害を加えようとした相手をボロボロに叩きのめすほどの過剰ぶりである。
ドラえもんの学習漫画ではウシガエルからアメリカザリガニを守るために使用した。
ストーリー
のび太はしずかにグランド・ロボ・デラックスの話をしたが、あいにく彼女はそれをあまり見ておらず、ピン・コン・パンの新曲『キューピーちゃんとアップアップ』の話もしたがこれも興味を示してもらえず、その時スネ夫がやって来て、一万倍の顕微鏡を買ってもらったことを話しだしたため、しずかはそちらに興味を示しいってしまった。
面白くないのび太は道端の石ころを蹴ったものの、それがジャイアンに当たってしまったため、更に大きい石を蹴られ当てられてしまった。帰宅したのび太はこれらを泣きながらドラえもんに話したが、結局悪いのは君の方で、幼稚すぎるのが原因だと言われてしまった。冷たくされたのび太は、本当の友達なら自分が泣けば一緒に泣き、自分が怒れば一緒に怒り狂うものだと言い、僕だけを信じ、僕だけを思うそんな友達が欲しいと言い出した。
そこでドラえもんは「チューケンパー」を取り出し、のび太に向かてスイッチを押すと、とたんにのび太を舌で舐めてなつき出した。そんな中ドラえもんは、それよりも昼寝の時間を節約したり、勉強や読書で教養を高めた方がいいと言い出したが、のび太がそんなお説教聞きたくないと言ったため、ドラえもんはチューケンパーに吠えられ追い出されてしまった。
これにのび太はチューケンパーを褒め、他にももっと自分の役に立ちたそうだったが、ひとまず休むことにした。だがチューケンパーが押し入れから布団を出して敷いてくれたため、入って休むことにしたが、部屋に来たママが注意してきたため、チューケンパーがまた吠えてママのスカートを食いちぎる事態に。
驚いたものの散歩に出ることにしたのび太だったが、チューケンパーが勝手についてきて、その後池でスネ夫と会い何をしているか聞いたが、のび太に説明したって分からないだろと言い出した。これに腹が立ったのび太だったが、同じくチューケンパーも怒って唸り出したため、のび太はスネ夫に今自分をバカにすると恐ろしいことになると説明し、スネ夫も素直にのび太にプランクトンを採取していたことを説明し、お互いに笑って誤魔化し合った。だがのび太が顕微鏡を一度見てみたいと言ったことでチューケンパーがこれを持ってきてしまい、なぜこれがここにあるのか驚くスネ夫をよそに、のび太はその場から退散。
のび太はチューケンパーに自分の気持ちを読み取ってくれるのは嬉しいが、でしゃばり過ぎであることを指摘するも、全く通じておらずまた舌で舐められてしまった。するとそこにジャイアンが居合わせたため、のび太は思わず「まずいところへまずい奴が」と言ってしまい、また殴られそうになったが、チューケンパーによってジャイアンはズタボロにされてしまった。
これに気味を悪くしたのび太は逃げ出したが、それでもチューケンパーは追いかけてきて、息を切らすのび太をの横で、チューケンパーはまだ何か役に立つ気でいた。そんな時しずかが通り掛かったため、のび太が彼女をあこがれの目つきで見ていると、チューケンパーが走り出し、彼女をスカートに噛みついてこちらへ連れてきてしまった。
ズタボロになったしずかは「のび太さんの顔なんて、もう見たくない」と怒ってしまい、のび太もこれに絶望して「死にたくなった!!」と言い出したが、チューケンパーが自殺用のロープを持ってきたため、たまらず逃げ出し、この光景を見たドラえもんも驚いて大きく口を開けてしまった。
アニメにおける原作との主な相違点
大山版は1981年11月27日に、水田版は2009年11月27日及び、2018年8月17日にそれぞれ放送している。
1981年版
- しずかはのび太が話した番組を見る以前に興味がなかった。
- のび太は投げた石がジャイアンに当たってしまい、追いかけられている。
- ドラえもんはチューケンパーを取り出した際、忠犬ハチ公についても説明している。
- チューケンパーが布団を敷いてくれた際、のび太は「ちょっと気を利かせすぎな気もするな」と言っていて、ママがやって来たのは、お使いを頼むためだった。ちなみにママはスカートを食いちぎられてはいなかった。
- この後のび太は空地でと途方に暮れていて、チューケンパーにお使いの大根を買いに行かせたが、買って来たのはのび太の好物のチョコレートケーキとキャラメルだった。このことをのび太はママに謝ったが、犬が買って来たことを信用してもらえずおやつ抜きになってしまい、怒ったのび太はチューケンパーを紐で木に結び空地に置いて行こうとしたが、あまりに泣くので連れて行くことにした。
- チューケンパーがジャイアンに襲い掛かったのは、ボールが当たったのび太が全く怒らなかったため、何か企んでいると言いがかかりを付けたからだった。
- しずかは出木杉のところへ宿題をやりに行くところで、チューケンパーにはスカートを引っ張られたもののズタボロにはなっておらず、のび太に一発ビンタをしてもう二度と見たくないと言って帰って行った。
- ラストでのび太は本当に首つり自殺をせざるを得なくなったが、やって来たドラえもんが一騎打ちでチューケンパーのスイッチを切ったため助かった。
2009年版
- サブタイトルが「名犬!?チューケンパー」に変更
- しずかはのび太が話した番組をそもそも見ていなかった。またスネ夫は玄関からしずかを誘っていて、持っていたのはデジタル顕微鏡だった。そしてのび太は「わざとじゃない」と言ってジャイアンに弁解したが、「俺もわざとじゃない」と言って殴られてしまった。
- ドラえもんは「そもそも女の子がロボットアニメの話なんかで喜ぶと思う?」と言っていて、「しずかちゃんの気持ちが読めなかった君が悪いんだよ!」とも言っている。
- のび太は外出した際、チューケンパーが付いてくることを拒んではいない。
- ジャイアンはチューケンパーから逃げた際、電柱に登ったが、頭突きでこれっをへし折られボコボコにされた。
- しすかは空地で他の女子たちと一緒に出木杉と話していたところ、チューケンパーにスカートを引っ張られていて、「のび太さん最低!」といっている。
- そしてジャイアンとしずかを襲った間には、以下のオリジナルの下りが追加されている。
のび太は誰にも迷惑をかけずにチューケンパーを特訓しようと思ったが、チューケンパーがどこでもドアを強引に持って来てしまったので、ドラえもんをボコボコにして持ってきたことを理解し、「ごめんねドラえもん、ちょっと使わせてもらうよ」と言ってこれを使用し高井山に移動。そこで投げた木の棒を取ってこさせ、人に向かって吠えないこと、絶対に人に噛みつかないこと、皆の役に立つ犬になり自分の他にも困っている人がいあたら助けてあげることを教えた。
だが帰ろうとすると、まだ遊ぼうと引き留めだしたため、のび太は思わず怒鳴ってしまったが、その時チューケンパーが唸って睨み出し向かってきた。思わず部屋に戻り訳をドラえもんに説明一方チューケンパーはのび太のことを探し出したが見当たらなかったため、あの山の向こうに自分達の街があるという言葉を思い出して、木の棒を咥え走り出した。
そして遅れてやって来たドラえもん達はタイムテレビを使ったところ、背後にいた熊からのび太を守ろうとしていたことが判明。そこで「強力臭い追跡鼻」を使いチューケンパーの後を追うことにしたが、川のところで臭いが途切れていて、夜になってしまったため、チューケンパーの帰巣本能を信じることにし、一旦帰宅する。
翌日チューケンパーは村を歩いていたところ、3匹の大型犬に襲われている少年を見つけたため、犬たちを返り討ちにして少年を守ったが、周りの大人たちが子供を襲っていると勘違いして石を投げて来たため、のび太の言葉を思い出しながらたまらず退散する。一方学校ではのび太はひどく気をおとしていて、チューケンパーがいなくなっことでのび太に恨みを晴らそうとしていたジャイアンとスネ夫だったが、「困った時はお互い様でしょ」としずかに言われ、チューケンパーを探すのに協力することになった。
だが一向見つからず、翌日も引き続き捜索を続けたが全く見つからなかった。それでものび太は最後まで探し続け、チューケンパーものび太の姿を見て走り出したが、その時咥えていた木の棒を道路に落としてしまったため取りに戻ったが、走って来たトラックと衝突してしまった。これにショックを受けその場から逃げ出してしまったのび太だったが、その後あちこち壊れながらもチューケンパーが帰ってきため、一人にしてしまったことを謝り、壊れた箇所はドラえもんに修理してもらった。
2018年版
- 2009年版と同じく、しずかはのび太が話した番組をそもそも見ておらず、のび太が話した新曲は『ピッタンコスイッチ』だった。またスネ夫も2009年版と同じく玄関からしずかを誘っている。
- のび太が蹴ったのは石ころではなく、空き缶だった。
- ドラえもんの「誰を恨むわけにもいかない」は、「自分だけでなく、ちゃんと相手のことも考えないと」に変更されている。ちなみにのび太の言い分では、一緒に泣くはラグビーの試合に負ける、一緒に怒るは番長風のジャイアン達に負ける、僕だけを信じるは共に夕日に向かって歩き出すだった。
- ママがやって来たのは、1981年版と同じくお使いを頼みに来たからだった。
- チューケンパーを誤魔化すため、のび太とスネ夫は互いに「親愛なる」を付けて名前を呼び合っていた。ちなみにチューケンパーが持ってきたことで、顕微鏡は壊れてしまった。
- のび太が先生に鉢合わせするも、今は叱らないでと必死に訴えながら、口をふさぐ下りが追加されている。
- のび太が来た時、ジャイアンは空地で漫画を読んでいた。
- のび太が高井山の湧き水が飲みたいと言ってチューケンパーから逃げようとするも、すぐに取って来てしまい、それからも公園の遊具、ゴミ箱、木の上などに逃げるもことごとく追いつかれてしまう下りが追加されている。
- しずかと会ったのは夕暮れ時で、のび太が本当なら一緒に遊んでいるのにと言ったため、チューケンパーは彼女のスカートを引っ張り出した。また絶望したのび太が言ったのは「何もかも捨てて遠くに行きたい」だったため、海上の小島から出られなくなってしまった。
関連タグ
ロボ子、ルリィ:同じくのび太の友達として出されたロボットたち。こちらもチューケンパー同様、のび太への想いが強いあまりに過剰な一面が目立っていた。
おもちゃの兵隊:チューケンパーと同等の性質を持つひみつ道具。こちらも融通がきかず、保護対象の為なら一度敵と認識した相手が命令者であろうとも容赦はしない。