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デーモン・コア

でーもんこあ

「素手で触ってみたら放射能の暖かみがあった。」〜リチャード・P・ファインマン〜
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デーモン・コアってな〜に?編集

大まかに説明すれば、1940年代に精製され、核分裂性物質の臨界に関する研究における実験に使用された、プルトニウム239とガリウムの合金で出来た塊の通称である。

形は球形、全体の重量は6.2㎏で、元は『ルーファス』と名付けられていた。


実は…編集

もともとは「マンハッタン計画」にて爆縮型原爆の核分裂性中心核とすべく精製されたもので、当初の予定通りであれば、ファットマンに次ぐ第三の原爆として日本に投下されていたはずの代物である。『コア』の名前がついているのもこのため。

しかし、戦争終結を受けて原爆への利用は中止され、実験用に転用された。

なお、終戦前日に模擬爆弾のパンプキンが愛知県に投下されるなど、三度目の核攻撃の準備は実際に進められていた。攻撃目標はいまだ明らかになっていないが、パンプキンを投下したB-29はその直前に京都上空を飛んでおり、そのことから京都が攻撃目標のひとつだったといわれている


日本の降伏でその必要がなくなり、地上にこの世の地獄を三度生み出すことはなくなった…が、兵器化を免れて実験用に転用されたあとになって関係者に牙をむいて地獄を味わわせることになった…というのは皮肉としか言いようがない。


なぜデーモン・コアなの?編集

悪魔の名を冠して『デーモン・コア』と呼ばれるようになったのは、実験の過程において臨界事故を2度引き起こし、関係者に死者を出したためである。

いずれも安全性を無視したような設備を使用した実験で発生した。

実験の内容編集

以下に記載される2つの実験は、どちらもデーモンコアに中性子反射体を近づけることにより、連鎖反応を増減させて反応を確かめる実験である。


プルトニウム239は言わずと知れた放射性物質であり、放っておいても、自発核分裂により中性子を初めとした放射線を放出する。

しかし、燃料や兵器として利用できるだけのエネルギーを取り出すには、この自発核分裂だけでは不十分である。利用のためには、放出された中性子が別のプルトニウム239を核分裂させる連鎖反応を人為的に増やして、より多くの核分裂を起こさせる必要がある。

そのために用いられるのが、中性子を跳ね返す性質を持つ「中性子反射体」である。これを放射性物質の付近に設置して、放出された中性子を反射して放射性物質に戻すことで、連鎖反応が起きる確率を高めることが出来るのである。


なお、こういった処置を含めいくつかの条件がそろえば、放っておいても連鎖反応が持続するようになる。この状態を「臨界」と呼ぶ。臨界状態の放射性物質の核分裂連鎖反応は自発核分裂とは比べ物にならない勢いなので、熱エネルギーを安定して継続的に取り出すことが出来る(そして同時に、人体に致命的なダメージを与えるほどの大量の放射線が放出される)。


では、中性子反射体を放射性物質に対してどう置くと、核分裂の連鎖反応はどのように変わるのか……といった問題を調べようというのが実験の趣旨であったわけだが、その中性子反射体の設置の仕方があまりにも雑すぎたため、臨界状態を意図せず発生させてしまったのである。2度も


最初の臨界事故編集

1945年8月21日に発生した。

台座に固定したデーモン・コアの周囲に中性子反射体である炭化タングステンのブロックを積み重ねて連鎖反応を制御しようと試みたところ、ブロックをうっかりデーモンコアの上に崩してしまい、臨海事故となった。反射体とコアをくっつけてしまった結果、跳ね返る中性子の数が増えすぎて、連鎖反応も増大してしまったわけである。

この事故で、助手とともに実験を行っていた科学者のハリー・ダリアンが事故から25日後に放射線障害で亡くなった。


2度目の臨界事故編集

1946年5月21日に発生した。

デーモン・コア絡みの臨界事故で有名なのは、こちらであると思われる。

中性子反射体であるベリリウム(球体)を二分割し、一方はデーモン・コアが収まるように内部をくり抜き、台座に固定してコアをセットする。その上に、もう片方のベリリウムの塊を乗せる。といっても、そのままぴったり乗せてしまうと1度目の事故同様に臨界事故となってしまうため、マイナスドライバーを挟み込んで隙間を確保する。そしてこのマイナスドライバーを動かして、上のベリリウム半球とデーモン・コアの距離を調整して反応を確かめるのである。

本記事のメイン画像然り、『デーモン・コア』で検索すると、二つの半球状の物質の間にマイナスドライバーを引っ掛けている画像が多く出てくるが、これらはこの実験の様子を再現したものである。


……が、案の定ドライバーを滑らせてしまい、ベリリウム球がぴったりくっつくことに。

反射体に包まれたデーモン・コアは瞬時に臨界に到達、大量の放射線を発生させた。

コアの全周に中性子反射体があったために核分裂連鎖反応が非常に活発になったのか、この時に「チェレンコフ放射光」に似た青い光が放たれたという(厳密にはチェレンコフ放射光とは違うらしいのだが、以後誰も類似の実験をしないので詳しいことは分からない)。


コアは些細なことで臨界に達する代物であるうえ、実際に一度臨界事故が起きてしまっているだけに、手先のわずかな狂いが死に直結する危険な実験であるとは認知されていた。この実験を「眠ったドラゴンの尾をくすぐる」ようなものと評したリチャード・ファインマン博士を筆頭に、ほとんどの科学者が批判的であり、もちろん参加を拒否した。

しかしその中で、功名心の強かったカナダの若き科学者ルイス・スローティンが名乗りを上げ、文字通り先頭に立ってマイナスドライバーを操り実験を敢行した。

結果は上述のとおりである。


手を滑らせたスローティンはすぐに上半分のベリリウム半球を跳ね除け、核分裂連鎖反応を停止させたが、それに要したわずか1秒のうちに致死量の中性子を全身に浴びてしまっていた。彼は事故から9日後に放射線障害で亡くなった。

また、実験時にスローティンの背後にいた科学者も被爆によって負傷した。スローティンの体が楯となって放射線をある程度防いだため、かろうじて命は助かったのだが、後遺症によって予後一生苦しんだ。被ばくした彼がどういう体になったかは自己責任で検索してほしい

至近距離で青い光を見たらどうあがいても絶望なのである。


そのあとどうなったの?編集

デーモン・コアはその後改めて原爆のコアとして利用され、ビキニ環礁での核実験であるクロスロード作戦にて3発目の爆弾として爆破される予定だったが、直前で中止となった。

仮想目標とした艦艇が、2発目の爆破によって想定外の深刻な放射能汚染に見舞われていることが判明し、実験場所へ移動できなくなってしまったためである。


結局この原爆は解体され、デーモン・コアは溶かされて、他のコアを作るのに再利用されたという。


関連タグ編集

プルトニウム

デーモンコアくん - こんな危険な代物をベースにとある一人の天才ユーザーによって生み出されたキャラクター。「2つの半球を組み合わせた体」、「口にくわえたマイナスドライバー」、「半球を組み合わせた体の上下が密着すると死に至る青い光を発する」などというキャラクターの特徴から、2回目の臨界事故に至った実験をモチーフにしていると考えられる。

そもそもこのデーモン・コアをNHKの教育番組に出て来そうなキャラクターにするという彼の発想には脱帽である。

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