概要
ハリー・ポッターシリーズの外伝作品である『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』の主人公であるニュート・スキャマンダーとヒロインであるティナ・ゴールドスタインの男女カップリングである。
ちなみにCP名のニューティナ(Newtina)は、脚本家兼原作者のJ・K・ローリングその人がTwitterで公認している。(ソース:J・Kローリング氏のツイート)
魔法動物をこよなく愛するちょっと人付き合いが苦手で変わり者だけど、腕は確かなイギリス人魔法使い×基本的に真面目で少し野心深い所があるけど、とても勇敢なキャリアガールなアメリカ人魔女という、一見正反対な性格の組み合わせ。実際、双方の国の魔法界事情や価値観の違いなどから、出会って暫くはすれ違ってばかりいた。
物語が進むにつれて徐々に理解し合い、距離を縮めていく所は王道の男女カップリングの展開のお約束と言える。「ハリー・ポッター」が少年少女を主人公とした話であるのに対し「ファンタスティック・ビースト」は大人の魔法使いや魔女が多く登場するのだが、その割には主要キャラであるこの二人の展開はそれこそ思春期の少年と少女のようにとても不器用で初々しい。
第1作『魔法使いの旅』
1926年12月初頭のNYにニュートが降り立ち、新セーレム救世軍の演説場を通りかかった所でこれを監視していたティナと衝突するという、少女漫画の王道パターンのような接触をした所から全てが始まる。
ニュートがニフラーを発端に魔法動物を逃がした事で街に問題を起こすのを見過ごせず、ティナ自身は落ちていた自分の評価を再びあげて闇祓い復帰を目論んでいた事もありMACUSAへ連行、二人は行動を共にしていく事になる。
最初は互いの事を特に見ていなかった(そんな場合でも無かった)が、物語が進むにつれてニュートはティナの内情を徐々にその観察眼と成り行きで見出していき、ティナは後半でニュートに助け出された事や魔法動物の捕獲に協力、その最中での彼と動物達の関係性を垣間見て認識を改めると同時に好ましく思うようになり、自然と笑顔になるシーンが増えてきている。
そしてラストシーンの港での別れのシーンでは、「何これまた少女漫画?」という思わせるほどに、いい大人の男女二人のやりとりは不器用且つ初々しいものだった。ちなみにこのシーンでは、それまでずっと仕事モードだったティナの服装がロングスカートにロングブーツといった非常に女性らしいものになっており、この点でもお洒落に気を使ったと思われるティナの心境の変化が垣間見れる。ニュートの方は、序盤から他人とはあまり目を合わせる事がなかったものがこのシーンでは終始ティナの顔をきちんと見ている点が彼の「変化」を表している。さらに、ティナの口から「ピッカリー議長にニュート自らティナの闇祓い復帰への取り成しをした」事が語られている。オブスキュラス事件から件の港のシーンまでは1週間の空白の時間があるのだが、その間に何かしらこの二人の間で隠れた進展があったのかもしれない。
第2作『黒い魔法使いの誕生』
1927年にニュートは「幻の動物とその生息地」の初版を出版し、これが成功を収めてベストセラー作家となり、ティナは闇祓いへ復帰した事でお互いがそれぞれの仕事で忙しく過ごす中、アメリカとイギリスという遠距離間で細やかに文通を交し合っていた。
しかし、ニュートの方は先のNY事件の影響で国外渡航を禁じられた身となっており、ティナとの約束が果たせないままだった。さらに、春先に出回った魔法界の大衆雑誌に「ニュートがリタと婚約した」と報じられ、それを真に受けたティナがショックのあまり一方的に連絡を断ってしまった事で、誤報をした雑誌の存在すら知らずにいたニュートと約半年間すれ違い、結果的に約9か月もの間顔を合わせなかったという最悪の事態に陥ってしまっていた。その勘違いからか、9ヶ月間の間にティナはアキレス•トリバーという闇祓いの男とデートしている(しかしトリバー自身は魔法動物に関して否定的な思考の持ち主で、デートの際に彼が魔法動物を軽視した発言をした事からティナは彼の顔面に飲み物をぶっかけたという裏設定の未公開シーンがあるのだが、尺の都合でカットされたとの事)。
幸か不幸か、アメリカ魔法界の法律から抜け出そうとジェイコブを無理やり連れて訪問してきたクイニーの口からすれ違いの経緯を知ったニュートは、ティナを追うためにパリにでる。
…といった経緯から、まず二人が文通をしていた所からファンにとってはオイシイ所なのだが、今作ではとにかくニュートがティナに関してしつこいくらいに追いかけて追い回す、ストーカーばりの行動場面が多い。
その様子は前作では仄めかす程度の好意しか示さなかった彼の中で何があったと言わんばかりであり、相方であるジェイコブがドン引きするくらいである。その9か月の間とて、ニュートは魔法省の執行部に自身の国外渡航禁止令を解いてもらおうと少なくとも5回は申請して審問を受けている。これは元々の彼の「魔法省関連で大事に首を突っ込みたくない」という希望に反する行動で、気持ちは変わらずとも申請を続けていたのはひとえに「ティナとの再会」を望んでいたが故である。
だが、ティナの方は「既に自分は見限られた」と一方的に思い込んでいるので、まさか連絡を断った上での潜伏先で再会するとも思わず、その後もノコノコ付いてくる彼に意地を張ったりイラついたりしている。
しかし結局はパリで二人は行動を共にする事になり、その最中でどうなっていくかは是非、劇場に足を運んで観てほしい。
第3作『ダンブルドアの秘密』
1930年代、今作ではティナ本人が殆ど本筋で登場しない代わりに、ニュートのトランクの蓋の裏には新しいティナの写真が貼られており、前作の新聞の切り抜きからレベルアップしている(しかもアメリカ魔法省のロゴ付きな辺り、こっそり入手するのは難しそうなので本人からもらった可能性がある)。
ニュートのトランクは、彼にとって常に大事なものをしまっている宝箱のようなものであり、そこにティナの写真が定位置で貼られている事は「離れてても彼女の心は変わらずここに在る」という思いの現れでもある。これだけでも相当なのに、実はコートの懐にも別撮りと思しきスペアの写真まで忍ばせている。まさに、『肌身放さず』。
極めつけは、新たな仲間にしてティナの友人であるユーラリー・ヒックスから彼女を褒める発言が出た際は、我が事のように笑顔で喜んでいた。
こうして視聴者はティナがなかなか出てこない分、前作以上に彼女への想いが加速してるニュートの様子を随所で見せつけられる事になる。そして迎えた終盤については…やはり、劇場に足を運んでみて観てほしい。
…こうして、会えば喧嘩から始まる割に協力しあうと息がぴったり会う二人だが前述の通り、そして映画製作陣が口を揃えて「二人はどちらも才能がある魔法使いと魔女ではあるが、恋愛に不器用なので非常に長い時間をかけてお互いを知って交流を深めていく」との事なので、二人の展開をファンは本当に非常に長い目で見守っていく事になるのだが…。
(以降、公式ですがネタバレ注意)
現在
魔法界の史実において1927年に発売され、2017年に改訂53版まで出版されたニュートの著書『幻の動物とその生息地』の著者についての記述にはこんな文章が。
『現在は引退し、ポーペンチナ夫人とペットのニーズル3匹、ホッピー、ミリー、モーラーと共にドーセットに住んでいる』
2001年にマグル向けにも発売された改訂52版を所持していたり、53版を新たに購入して読んだ読者の中には映画を観て驚いた方もいるのではないだろうか。
文中のポーペンチナ夫人とは、本名が「ポーペンティナ」であるティナの事。(日本語訳では「チナ」と訳されているが、英語圏ではきちんと「ポーペンティナ」と発音される)
つまり、映画が公開される以前にこの二人は後々に結婚し、2017年時点でも存命中という設定なのである。逆をいえば「ファンタスティック・ビースト」シリーズ自体はハリー・ポッターシリーズを彷彿とさせる要素を多く含んでいるが、その中にひっそりとこの二人の「馴れ初め話」も語られていく模様。なんという公式が最大手。
ちなみに、2018年時点ではニュートは121歳、ティナは117歳である。ファンタビやハリポタ内の暗黒時代を抜け、今現在も魔法族らしく長生きをしながら、穏やかな老後を過ごしていると思われる。
余談
名が体を現すハリポタの法則からも推移出来るように、動物学者のニュートとそのパートナーのティナには動物の名前が入っている。
ニュートの本名はニュートンだが、愛称のニュート(Newt)とは「イモリ」の意味。
ティナのフルネーム、ポーペンティナ(Porpentina)はハムレットの「Prince of Denmark」の劇中で使用されたPorpentineの転じたもので、英語のPorcupineと同義。意味は「ヤマアラシ」、語源は古期フランス語で「とげだらけの豚」の意味。