「Always」──永遠に
※この記事には『ハリー・ポッター』シリーズの結末、ネタバレがあります。閲覧注意
概要
魔法族の母を持ち元々魔法が使えたセブルスだがマグルの父親との折り合いが悪く、みすぼらしい格好をしていたため友人もいなかった。
そんな中、マグルでありながら魔法が使える同い年の少女リリーと出会い、リリーに魔法界のことを話していくうちに、二人は友人となった。
その友情はセブルスがスリザリン生、リリーがグリフィンドール生となっても変わらず続いていたのだが、ホグワーツで学年が上がるにつれ、二人の間に徐々に溝が生じていく。
世間がヴォルデモートの暴虐に怯える中、セブルスはマグル生まれにタチの悪い呪いをかけるマルシベールとの親交を深め、またスリザリン生のマグル生まれへの悪質な加害行為を黙認しリリーの話をまともに取り合おうとしなかった。
加えて一部のグリフィンドール生たちからのセブルスへの嫌がらせも二人の不和の一因と考えられ、更なる力を得てリリーに認めてもらおうとセブルスが闇の魔術に固執し、深く傾倒していったことでリリーとの関係は修復不可能な程に悪化してしまい、やがて終わりを迎えることとなった。
リリーはその後ジェームズと付き合い始め、ホグワーツ卒業後に結婚。息子ハリーを産んだ。しかし予言によりヴォルデモートに一家は命を狙われることとなってしまい、ジェームズは死亡、リリーはハリーを命に代えて守り抜き亡くなってしまう。
リリーがジェームズと結婚しても変わらずに愛していたセブルスは、予言をヴォルデモートに告げたことを心から悔やみ、ダンブルドアに忠誠を誓った。そこでダンブルドアはハリーの守護と、二重スパイとして闇陣営への潜入を命じる。
自分が守っていること、その理由をハリーに話さないことを条件にセブルスはそれを承諾する。
月日が流れてもセブルスは生涯リリーだけを愛し続け、リリーへの愛と懺悔だけで死ぬまでハリーを守り続けた。
パトローナスはずっとリリーと同じ雌鹿であり、ハリーへの最期の言葉が「Look at me(僕を見てくれ)」なのは、ハリーの瞳がリリーと同じ緑であった為である。
余談
原作者によると、リリーは傲慢なジェームズを出会った当初毛嫌いしていたように見えるが、実は最初からそうではなかった(嫌ってはいなかった)ということを示唆している。だが具体的にジェームズのどこに惹かれたかは言及していない。
そして、セブルスを庇ったり仲良くすることに対して同じグリフィンドールの友人たちからは懐疑的な目を向けられていたらしい。
つまり好意を寄せている男子に嫌われるリスクやグリフィンドールで孤立するリスクを背負ってでもリリーは5年生になるまでジェームズに立ち向かい、セブルスを庇い続けていた。
恋愛感情によるものではないものの、リリーがセブルスを大事に思い、確かな友愛を向けていたのは事実である。
また在学時のセブルスはマルシベールとの交友もリリーとの交友も保つことを望み、また闇の魔術の魅力に取り憑かれていたため、リリーの嫌悪感を全く理解できなかった。二兎を追うものは一兎をも得ず、の典型的なパターンだろう。
しかしながらセブルスが闇の魔術に傾倒しておらず、マルシベールら純血主義のたちの悪い友人たちと手を切れば、リリーのセブルスへの友愛が恋愛感情に変化した可能性もあったやもしれない、とのことである。
Jaclyn: Did lily ever have feelings back for snape? |
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J.K. Rowling: Yes. She might even have grown to love him romantically (she certainly loved him as a friend) if he had not loved Dark Magic so much, and been drawn to such loathesome people and acts.J.K.ローリングへのインタビューアーカイヴ |
とはいえセブルスは自分の魅力を“力”や“知識”にばかり頼り、容姿はともかく清潔感、お洒落といった第一印象や内省にはまるで無頓着だった為、同じだけ優秀で爽やかな風貌を持ち、多少傲慢でも差別意識が無く、正義感も勇気もあったジェームズの方がより魅力的に映ったのは確かだろう。
しかし、リリーがジェームズの思いに応えたのは、彼がリリーの言葉を真摯に受け止めるようになって更正したからであり、あのままジェームズが傲慢さを治さずいじめを行い続けていたならばリリーが思いに応える事は無かっただろう。
セブルスもリリーの言葉を真摯に受け止め、更正したならば、結ばれるまでは行かずとも友人としての良き関係を築けることは十分可能だっただけに、仲違いしたのは残念な話である。