「Always」──永遠に
※この記事には『ハリー・ポッター』シリーズの結末、ネタバレがあります。閲覧注意
概要
魔法族の母を持ち元々魔法が使えたセブルスだがマグルの父親との折り合いが悪く、みすぼらしい格好をしていたため友人もいなかった。
そんな中、マグルでありながら魔法が使える同い年の少女であるリリーが公園で遊んでいるのを見てセブルスは一目惚れし、物陰でリリーを見守っていた。
ある日、ペチュニアと遊んでいたリリーが花を咲かせているとセブルスは茂みから飛び出してリリーに話しかけた。
当初、セブルスは本人的には悪気は一切なく事実として「君は魔女なんだ!」と叫ぶようにして話しかけたが、リリーはそれを侮辱と受け取って憤慨した為に当初の出会いは最悪なものとなってしまった。
しかし、魔法界に興味を持っていたリリーに知識や魔法を教えてるうちに友人としての関係を築き上げ、親密になっていった。
学生時代
二人の友情はセブルスがスリザリン生、リリーがグリフィンドール生となって寮が分かれても変わらず続いていたのだが、ホグワーツで学年が上がるにつれ、二人の間に徐々に溝が生じていく。
世間がヴォルデモートの暴虐に怯える中、セブルスはマグル生まれにタチの悪い呪いをかけるマルシベールとの親交を深め、またスリザリン生のマグル生まれへの悪質な加害行為を黙認し、マグル生まれへの加害行為をやめさせるよう求めるリリーに「あれはほんの冗談」と言ってまともに取り合おうとしなかった。
加えて一部のグリフィンドール生たちからのセブルスへの嫌がらせも二人の不和の遠因となってしまった。
それでもリリーはセブルスをいじめから守り庇い続けていたのだが、その状況にプライドが傷ついたセブルスは思わず「穢れた血の助けなんていらない!!」と言ってしまい、完全に決裂してしまう。
セブルスはリリーに許しを求めたが「私以外の人には平気で『穢れた血』と呼ぶのに、私だけは違うと言われてどうして信用できるというの?」とリリーは言い、そのまま二人の関係が修復される事は無かった。
セブルスはそれを機に更なる力を得てリリーに認めてもらおうと闇の魔術に固執してしまう事となった。
リリーの死と貫いた愛
リリーはその後ジェームズと付き合い始め、ホグワーツ卒業後に結婚。息子ハリーを産んだ。しかし予言によりヴォルデモートに一家は命を狙われることとなってしまう。
リリーがジェームズと結婚しても変わらずに愛していたセブルスは、予言をヴォルデモートに告げたことを心から悔やみ、ダンブルドアに助命を求めて忠誠を誓った。
しかしジェームズは死亡し、リリーもハリーを庇って亡くなってしまう。
失意のどん底に落ち、死にたいとすら願っていたセブルスだが、ダンブルドアはリリーの忘れ形見であるハリーの守護と、二重スパイとして闇陣営への潜入を命じる。
自分が守っていること、その理由をハリーに話さないことを条件にセブルスはそれを承諾する。
月日が流れてもセブルスは生涯リリーだけを愛し続け、リリーへの愛と懺悔だけで死ぬまでハリーを守り続けた。
パトローナスはずっとリリーと同じ雌鹿であり、ハリーへの最期の言葉が「Look at me(僕を見てくれ)」なのは、ハリーの瞳がリリーと同じ緑であった為である。
セブルスとリリーが結ばれた可能性。
原作者によると、リリーは傲慢なジェームズを出会った当初毛嫌いしていたように見えるが、実は最初からそうではなかった(嫌ってはいなかった)ということを示唆している。(だが具体的にジェームズのどこに惹かれたかは言及していない)
また、作中でリリーはスリザリンであり闇の魔術に傾倒しているセブルスを庇ったり仲良くすることに対して同じグリフィンドールの友人たちからは懐疑的な目を向けられていた。
つまり好意を寄せている男子に嫌われるリスクやグリフィンドール内で孤立するリスクがあったにもかかわらずリリーは5年生になるまでマローダーズという当時かなり危険視されていた複数の男子たち相手に勇敢にも立ち向かい、セブルスを庇い続けていた。という事である。
それは恋愛感情によるものではないものの、リリーがセブルスをとても大切に思い、友愛を向けていたのは確かな事実と言えよう。
しかし、在学時のセブルスはマルシベールとの交友もリリーとの交友も保つことを望み、また闇の魔術の魅力に取り憑かれていたため、リリーの嫌悪感や彼女がどれだけのリスクを背負ってセブルスを庇っていたのかが全く理解できなかった。
二兎を追うものは一兎をも得ず、の典型的なパターンだろう。
原作者が提示したセブリリの可能性としてはセブルスが闇の魔術に傾倒しておらず、マルシベールら純血主義のたちの悪い友人たちと手を切れば、リリーのセブルスへの友愛が恋愛感情に変化した可能性もあったやもしれない、とのことである。
Jaclyn: Did lily ever have feelings back for snape? |
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J.K. Rowling: Yes. She might even have grown to love him romantically (she certainly loved him as a friend) if he had not loved Dark Magic so much, and been drawn to such loathesome people and acts.J.K.ローリングへのインタビューアーカイヴ |
とはいえセブルスは自分の魅力を“力”や“知識”にばかり頼り、容姿はともかく清潔感、お洒落といった第一印象や内省にはまるで無頓着だった為、同じだけ優秀で爽やかな風貌を持ち、多少傲慢でも差別意識が無く、正義感も勇気もあったジェームズの方がより魅力的に映ったのは想像にかたくない。
しかしリーマスは、リリーがジェームズの思いに応えたのは、あくまでも彼がリリーの言葉を真摯に受け止めるようになって改心し更正したからだと語っている為、もしあのままジェームズがリリーの言葉を受け付けずに傲慢さを治していなければ、リリーは例え好意を持っていてもジェームズの思いに応える事は無かっただろう。
つまりセブルスもリリーの言葉を真摯に受け止め、改心し更正したならば、結ばれるとまでは行かなかったとしても親友として良き関係を築けることは十分可能だったという事でもあるので、仲違いしたのは非常に残念な話である。
原作と映画の違い。
原作のスネイプの子供時代は父親のヨレヨレの服を着て、髪も油まみれでギトギトな全体的に汚ならしい子供だったが、映画版のスネイプの子供時代は綺麗な格好をしている(一応服のサイズは大きい)美少年となっており、容姿も非常に美しい子役が使われている。
また、リリーとの出会い方も大きく違っており、原作では初対面で「君は魔女なんだ!!」とコミュ障を発揮してリリーに憤慨されており、その後にリリーと友人となってからもリリーの姉であるペチュニアに対して「マグル」と差別意識を向けたり(尚、ペチュニアもセブルスに対して嫌悪を向けてはいた)魔法を使って嫌がらせを行う等リリーはセブルスを不安視していた。
しかし、映画ではペチュニアから「化物!!」と呼ばれリリーがいじめられてる所にセブルスが颯爽と現れて助け、美しい魔法を見せてリリーを優しく慰めるという少年少女の美しい青春として描かれた。
その他にも尺の都合上なのか、セブルスが学生時代に行っていた悪事やセブルスの友人がリリーの友人に対して行った悪行等がカットされて、映画版ではジェームズ・ポッターの一方的な被害者としてシーンが流れたり、セブルスがリリー関連の事とは思わず、予言をヴォルデモートに教えたせいでリリーとジェームズが殺される原因となった事等も映画ではほぼカットされ、単純にリリーを愛し守ろうとしていた男であるかのような演出がされた。
アラン・リックマンの怪演や映画での演出もあり、映画だけを見れば「美しくも悲しい恋」として出来上がってるのも、セブリリが非常に人気の高いカプの1つとなった要因であると言える。