曖昧さ回避
- ホテルルートインのマスコットキャラクターである羊の男の子。
- 『ハリー・ポッターシリーズ』のリーマス・ルーピン×ニンファドーラ・トンクスの男女カップリング。こちらで解説。
概要
「百万回も、あなたにそう言ったのに・・・」
ヴォルデモートの復活に伴い再結成された不死鳥の騎士団のメンバーである二人は、親交を深めるうち惹かれ合うようになる。
孤独で憂鬱な気分に沈むことも多かったリーマスは、快活で陽気なトンクスを最初はただ面白がっていたが、後に感心し、本気で恋に落ちてしまう。彼にとって初めての恋だったとのこと。
しかし年の差(リーマスはトンクスより13歳程年上)や自身が社会的に差別を受けている人狼であること、そのため経済的にもひどく貧しいこと、そして「自分は汚れて価値のない生き物である」との考えからくる絶望的な自己肯定感の薄さなどからトンクスが気持ちを返してくれるとは思っておらず、気持ちを押し込めて接していた。しかし騎士団の任務で彼女とペアになった時は毎回密かに喜んでいた。
トンクスも共に過ごすうちリーマスに好意を寄せており、自分に対する彼の気持ちにも気づいていた。
騎士団の任務中トンクスがシリウス・ブラックのことを「アズカバンから帰ってきてからもハンサムよね」と話したところ、彼女がシリウスを愛していると勘違いしたリーマスは「あいつはいつも女性を引っ掛けてばかりいたからね(どうせ君もその一人なんだろ)」と諦めを込めて皮肉ってしまう。
怒ったトンクスは「あなたが自分の気持ちばかりそんなに気にかけていなければ、私が誰に恋しているかくらい分かるはずよ」と告白。リーマスは一瞬この上なく嬉しそうな反応を見せるが、すぐに自身の立場を思い出し喜びはすぐに潰えてしまう。
それからリーマスはトンクスのことを避けるようになり、思いを伝えられても断り続け、彼女から離れるためヴォルデモート側の人狼のもとへ潜入する任務に就く。トンクスは想い人がもう二度と自分とは時間を過ごしてはくれず、自分が原因で死の道に進んでいることに絶望し塞ぎ込むようになる。その影響で七変化の能力が使用できなくなり(以前のように外見を変えられなくなった)、性格も別人のように陰気(少なくとも日本語版では口調まで大分変化している)になり、その上守護霊もリーマスと同じ狼になってしまった。因みに二人の関係を知らないハリー・ポッターからは「密かに愛していたシリウスの死に落ち込み、守護霊も彼が変身していた犬に変わったのでは」と思われていた。
6巻の終盤、フェンリール・グレイバックに襲われ顔を傷つけられ人狼の影響も出るだろうと予想されたビル・ウィーズリーに対し、婚約者のフラー・デラクールが変わらず婚約を望んだことに勇気を与えられたトンクスは、「私も気にしない、100万回もあなたにそう言ったのに」と再度告白。
リーマスはその場ではまた断っていたが、気持ちに変化があったようでその数日後に行われたアルバス・ダンブルドアの葬儀では髪色の戻ったトンクスと手を繋ぎ出席している。
1997年夏、二人はスコットランド北部の酒場でささやかな結婚式を挙げ夫婦になった。しかしリーマスの葛藤は消えておらず、愛する女性と結婚できた喜びと、それによって自分への差別を彼女が被ってしまう事の苦悩との間で気持ちは絶えず揺れ動いていた。
その後まもなくトンクスの妊娠が発覚する。人狼の体質が子供に遺伝してしまうことを恐れたリーマスは妻を糾弾し家を飛び出す。グリモールド・プレイス十二番地に隠れていたハリー達に自分を分霊箱探しに同行させるよう申し出るが、向こう見ずに家族を置いて死地へ向かう姿勢はハリーを激怒させ断られる。リーマスは怒りに任せてハリーを吹き飛ばし去り、駆け込んだ漏れ鍋で一人自棄酒をあおった。しかし数時間経つうち彼の気持ちも変化し、帰宅しトンクスに謝罪、その後は騎士団の仕事も休み、闇祓いを産休した妻と二人静かに暮らす。
そして1998年4月、二人の息子のテディ・ルーピンが誕生した。人狼の兆候を持たず、トンクスの七変化を受け継いだ息子と共に二人は幸せな時間を過ごす。
しかし1998年5月2日、生後間もない息子をトンクスの母親に預けてホグワーツの戦いに夫婦で参加し、トンクスはベラトリックス・レストレンジに、ルーピンはアントニン・ドロホフによって殺害されてしまう。リーマスを追いかけてやってきたトンクスが夫に会えたかどうかは最後まで分からずじまいであり、次に登場した時はフレッド・ウィーズリーなどの戦死者と共に二人並んで眠っているかのように安らかに死んでいる、悲しすぎる描写はハリーや読者、それまで一切泣かなかったという担当の編集者などたくさんの人々を涙させた。
余談だが、映画ではかなりあっさりくっついており、本編の二人が拗れていた『ハリー・ポッターと謎のプリンス』ではトンクスはリーマスのことを「あなた(原文『Sweet heart』)」と呼んでいる。また、ビルとフラーの結婚式の時点ですでに妊娠しているなどの相違点あり。
映画版の最終決戦前、ホグワーツを守る盾の呪文が破られているのを見ながら杖を構えたまま互いに手を伸ばす姿は必見。(あと数センチの距離で届かず、死体となって並べられているシーンでもギリギリ届いていない。原作とは別の意味でも号泣である。)