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ノースウエスト航空85便緊急着陸事故

のーすうえすとこうくうはちじゅうごびんきんきゅうちゃくりくじこ

太平洋上で方向舵が利かなくなるトラブルに乗務員が総がかりで挑み、なんとか空港に緊急着陸に成功した航空事故。(メイン画像は事故当該機)
目次 [非表示]

概要編集

デルタ航空移籍後の塗装

デルタじゃんぼ。


発生日時2002年10月9日
発生場所太平洋上
機材 ボーイング747-451(機体記号N661US)
乗員18名
乗客386名
犠牲者0名(全員生還)

事故発生編集

デトロイト空港から飛び立ち成田空港に向かった85便は、陸地を離れた高度約10000mにてコクピットの操縦士が交代した直後にトラブルに見舞われた。突如機体が傾いたこのトラブルの原因は当初はエンジンの故障かと思われたが、ほどなくして2枚ある方向舵のうちの下の方(上記イラストで説明すると垂直尾翼端のえんじ色の部分)の故障というエラーメッセージが出た(上の方(垂直尾翼端の赤色の部分)は通常通り稼働していた)。

無線不感帯にいた為別の便に中継し緊急事態をアンカレッジの管制に告げながら乗務員は残りの二人を緊急事態の対処のために呼び寄せ、緊急事態マニュアルに目を通したが有効な対処法が無いことを知る。


生還編集


・シニア機長…実際の操縦とミネアポリス在住の仕事仲間との連絡

・交代副操縦士…無線交信及び操縦(機長が休憩する間)

・交代機長…客室への連絡

・シニア副操縦士…エンジン操作及びマニュアル等の確認


クルーは上記のように役割分担をしながら、エンジン出力をやりくりし少しずつアンカレッジ空港に機体を向ける。それはとても困難な作業で体に多大な負担がかかったため、操縦を担当するクルーが交代しながらなんとか機体の制御を維持し、機体は無事に空港に辿り着き、けが人は出なかった。


事故原因編集

事故原因は、尾翼下部を制御する油圧制御装置が破損しピストンがパイプからはみ出て元に戻らなくなってしまったこと。

しかも装置のアクチュエーターではなく、それを収める筐体が破損したのが原因であり、世にも珍しい部品そのものではなく入れ物の方がぶっ壊れたことで起きた事故という話である。


この機体は747-400シリーズの初号機であり、納入前に試験飛行を念入りに行ったため想定以上の負荷がかかった可能性も考慮された(事故当時の総飛行時間は累計50000時間オーバーであり、退役時点の総飛行時間も他のデルタジャンボより多かった)ものの、破損原因の特定にはついにいたらなかった。


フェイルセーフ編集

一方で事故が起きながらも墜落しなかった原因も考察された。

ほとんどの飛行機の方向舵は1枚で動いているが、747シリーズや777などの大型機は念のために上下2枚に分けていたことが功を奏し、完全なコントロール不可に陥らなかった。

実際、ボーイング737にて方向蛇の誤作動による事故が、墜落に至らなかった件も含めて複数回発生している。

また事故を把握した後、乗務員が総力で対処に当たり混乱せずに的確な処置を行えたことも生還の一因となった。

NTSBは本事故における乗務員の対処を「CRM(クルー・リソース・マネジメント)が理想的に機能した」と称賛した。


番組に置いて編集

メーデー!においては着陸に悪戦苦闘している中でクルーの一人が場を和ませるために「バックミラーを付けたら1000ドルやるぞ!」というジョークを紡ぎだしたことからバックミラー回とも呼ばれ、飛行機事故番組なのにバックミラー発言が呟かれる一因となっている。


機体のその後編集

2008年、ノースウエスト航空デルタ航空に経営統合された為、同型機共々デルタ航空に移管。


2015年に退役後、デルタ航空アトランタ本社近くのデルタ航空博物館にて静態保存されている。2017年3月の一般公開開始を祝うセレモニーには、NW85便の当時の運航乗務員も招待され、デルタ航空のニュースサイトにも掲載された。


デルタ航空博物館に歴史的な展示「747エクスペリエンス」がオープン

(デルタ航空日本支社 2017年3月29日)


また成田空港近くの航空科学博物館には、本機の試験飛行機時代のボーイングカラーを纏った1/8可動式模型が設置され、別室に設けられた操縦席で操縦体験を行う事が出来る。

関連タグ編集

航空事故

メーデー!航空機事故の真実と真相

フィクションじゃないのかよ!騙された!←用語等はこちらに

ボーイング747

ノースウエスト航空

デルタ航空

リーブ・アリューシャン航空8便緊急着陸事故…機種、原因こそ違えど、トラブルによって操縦系統に支障が生じた事故。アンカレッジ国際空港に緊急着陸して全員が生還したことも共通している。

カンタス航空32便エンジン爆発事故…原因こそ異なるにせよこちらも本事故と同様に複数名のベテランパイロットの連携プレーにより困難を乗り越えた事例で、死傷者が出なかった事も共通している。

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