「パエトーン」、深淵より昇りて、その戦車は轟轟として壮麗なり
概要
『ゼンレスゾーンゼロ』の主人公兄妹、アキラとリンは、個人経営のレンタルビデオ屋「Random Play」の共同店長として近隣住民とも良好な関係を築いている。
そんな二人の裏の経歴は過激なアクション映画よりも奇なり。
ホロウ離脱をガイドする非合法の後方支援ナビゲーター「プロキシ」の中でも、飛び抜けた手腕から「パエトーン(法厄同 / Phaethon)」の異名で語り草となったのが、出自不明な二人の裏の顔。
パエトーンとは兄妹が二人一組で運用しているアカウントでもあり、ホロウ内外でタイムラグ無しの通信・援護を可能とするプロキシや調査員は他に居ないらしい。
「ツール・ド・インフェルノ」の中継では、「観客を待たせない通信」と言いつつ10分間ものタイムラグが発生しているので、タイムラグ無しのパエトーンがいかに凄いことをしているかがお分かり頂けるだろう。
邪兎屋などホロウレイダーからは頼れるプロとして度々助力を依頼されているほか、同業者からも憧れの対象となっている。
依頼料の安易な割引は受け付けておらず、ビジネスライクに振る舞う一方で、信用できる相手なら料金のツケ払いを許していたり、サブアカウント名義でサービス価格の仕事を受ける場面も少なくない。時々、高いとボヤかれたり安いプロキシに向かわれる事もあるが、粗悪なプロキシも少なくないせいか、多少高くても結果的にパエトーンの方がマシだと言って戻って来る客もいる。
懇意にしている人々には「Random Play」店長との兼業である事も知られているが、プロキシ自体が当局の摘発対象となっているダーティーな仕事なので、特に依頼を直接持ち込むような場合には、協会や治安局に察知されないよう気を配られている様子。
民間の“独立調査員”として正規の仕事を受けたり、治安局の関係者と出会った際にも、自律型ボンプのフリをしている。
なお、本人達も少し特殊な体質である様だがホロウ内部に長居はできない上、直接的な戦闘力は持っておらず、劇中では幾度も不慮の事故や攻撃に晒され九死に一生を得ている。
旧都時代に「先生」と呼ぶ人物に師事していたことが示唆されており、ビデオ屋の店番やプロキシ業務で使っているボンプのイアスも、本来は兄妹のものではないという。
再出発
その高名さから一線級の仕事が舞い込んでいたが、序章で請け負ったとある依頼の最中に外部からのハッキングを受けてシステムを乗っ取られ、ナビゲート中だった邪兎屋もろとも窮地に追い込まれてしまう。
正体不明のハッカーの要求通りに譲渡したアカウントを、即治安局に通報する機転でハッカーは始末できたものの、自爆まがいの反撃は「対外的なパエトーンの死」を意味していた。
既知の者以外に「パエトーン」である事を証明する術も無いので、直前に別件で作っていた新規サブアカウント(プレイヤーが命名)で新人プロキシとして実績を積み直す羽目に。
プロキシ業務の収入も1/3にまで減ってしまったらしく、再度地道な活動で評判を集めつつ、家計に加えてある事情から跳ね上がった電気代のためビデオ屋の営業にも本腰を入れ始めた。
ゲーム上では
ホロウ内部を舞台とするアクションパートではオペレーターを務めるため戦闘には参加しない……が、同期したイアスが道順を案内したり、画面の隅をうろちょろしている様子が窺える。
アドベンチャーパートでは街中を探索し、顔馴染みや顧客の面々、エージェント達と交流する事が可能。
ゲーム開始時にどちらをメインの操作キャラにするか選択し、選んだ方がイアスの操縦士、選ばなかった方は助手という体となる(現在では、特定のタイミングでいつでも変更可能)。
主人公選択式のHoYoverseの先行作品のように離れ離れにも1人だけにもならない実質的なダブル主人公だが、メインと助手で会話シーンの担当が変わる他、兄妹の一方が登場する一部ムービーでも選択した方で再生される。
ゲーム中では、街中で操作できるキャラや、ムービー中のイアスのボイスなどが選んだ側(主人公)、ナビゲーター役および依頼の斡旋等を行うのが選ばなかった方(助手)となる。自宅の2階には兄妹それぞれの私室があるので、基本的には自室でイアスを充電する形となる。
特に込み入った話をするADVパートではエージェントや他のキャラクター達との掛け合いの比率が大きく変わり、会話の多くを助手側がリードする一方、主人公側はリアクションを選択できる場面が用意されている。
一方、3Dムービーおよびバンドデシネパート(漫画のような描写の部分)はイアスのボイスを除いて違いはほぼなく、選んだ方がトラブル等で行動不能になるシーンでは、操作キャラが強制的に助手側に切り替わる事もある。
設備
- H.D.D.システム(Hollow Deep Dive System)
兄妹がパエトーンとしての仕事に用いている演算装置。基本的には、イアスを通じてホロウ内でエージェントを先導するガイド担当と、ホロウデータの処理や通信の調整を行ないながら適宜ルートを算出するサポート担当のペアで依頼の遂行に当たっている。
詳しくは該当記事を参照。
- 「Fairy」
物語プロローグのトラブルを経て、H.D.Dシステムに転がり込んだ謎の超高性能AI。
新エリー都の全情報媒体8割から即座にデータを収集する力を持つとされ、これにより兄妹は今までを優に越えるホロウ内ルートの算出やハッキングを行えるようになったが、出自不明な彼女を訝しみ警戒もしている。
- イアス
襟元にオレンジ色のスカーフを巻いた「Random Play」のボンプ。感覚同期を行なう事でホロウ内ではパエトーンの分身として動き回り、エージェントたちを適切なルートへ導く他、撹乱用の煙幕弾を投げ込むなど軽微な戦闘支援も可能としている。「スカーフの喋るボンプ」によるダイレクトなサポートはプロキシ「パエトーン」の大きな特徴の一つ。
依頼の内容次第ではイアス単体でホロウを探索し、要救助者を連れ帰ってくる事も可能。
イアスは種類を指す名称で複数の個体がいる。判別のためスカーフに番号が振られており、パエトーンの“憑依”を受ける01号の他にも、「Random Play」店内には同じデザインのボンプたち(カウンターで店番をしている18号、工房のドア番をしている06号など)がいる。
作中で「イアス」と呼ぶ場合には基本的に01号を指し、ハードワーク担当とあって普段は2階の寝室にある充電スペースで充電されている。
01号にも自我があり、非同期中は自律行動する。エージェント達と会話することもあるようで、話を聞いたリナ曰く兄妹のことを慕っているそう。
感覚同期中は音声通話が可能で、兄妹はイアスを通じてエージェントたちに指示を出しているが、ボンプは本来「ンナナ」としか話さないため、治安局やH.A.N.D.など公的組織の前では「無口なボンプ」のフリをして誤魔化している。
こうした臨機応変な立ち回りで公認エージェントたちへのプロキシバレは概ね回避できており、その優秀さから頼りにされる一方で、青衣など察しの良い人物には疑われることも。
なお余談であるが、この意味で個体名として認識される01号については、よく見るとスカーフの「01」の脇に小さく「EOUS」と記載されているのが見て取れる。
仲介業者
※専用記事がある者はそちらを参照。
- 羊飼い
「パエトーン」とは顔馴染みの、独立情報仲介業を営む自称「おっさん」。一連の事件の後、独自に兄妹の新アカウントを探し当ててコンタクトを取ってきた腕利き。インターノットの優良ユーザーの育成には使命感を持っており、“無名の新人プロキシ”になってしまった兄妹にも変わらず目をかけ、好条件の仕事を回してくれる。時には直接「Random Play」に仕事の話を持ち込む事も。
本人の軽口を信じるなら、かつては自身もプロキシとしてホロウに出入りしていたようで、二番目の子供が生まれたのを機に仲介屋へと転身したらしい。
- ジョパート
「Random Play」常連の杖をついた老人。その正体は中堅ホロウレイダー組織「いたち組」の元世話役。かつて虚狩りの1人「導き手ジョイアス」に憧れて仲間達と共にいたち組を立ち上げて組織を拡大。近頃は組織内の若者達が内輪揉めを起こしている状況を憂い、性根を叩き直すためにインターノットで組の襲撃を依頼する。兄妹もジョパートの正体を知り、幾度も依頼を受ける事となる。
一線を退いているがその経験と実績は健在であり、彼が用いているアカウント「黄鼠」が掲示板に現れると掲示板内が騒ぐほど。
余談
- 上述した通り、気質や実態はともかく法的には"反社会的勢力"に分類される、同社ゲームの主人公には珍しいタイプで、治安維持側を警戒し距離を置くという逆転現象が起こっている。
- ギリシャ神話には同名の登場人物が存在しており、伝えられるエピソードは概ね「過ぎた力を求めながら、扱い切れずに大地に災厄をもたらし、事態を収めようとした父神の手によってやむなく最期を迎える」という悲劇的なもの。