概要
ピンボールとは、金属の球を用いて点数を競うゲームに使われる遊戯機械である。
基本的には、傾斜した盤面とそこを転がり落ちる球、それが最後に落下しないようはね返すフリッパーで構成される。
ちなみにテクニックとして台を揺すったりして玉の軌道を変えるものがあるが、イカサマ扱いとして「ティルト」と呼ばれる機構で振動を検知すると強制ゲームオーバーになる対策も施されている。
歴史
起源はルイ14世がビリヤード台を用いて変則的な遊びを始めたのがきっかけであり、それはやがて「バガテル(Bagatelle)」という遊びに繋がっていく。
バガテルからピンボールとしての形態を為したものが作られたのは1750年から1770年頃の西ヨーロッパで、そのときは後に日本で造られるスマートボールのようなものであった。また1869年、イギリス人のモンタギュー・レッドグレイブがアメリカに移住しバガテルテーブルを発明、それが現代のピンボールの形態をした商品の始めであった。
そして1931年、デイビッド・ゴットリーブが設立した「ゴットリーブ社」がコイン投入型の機械『バッフルボール』を販売する。5万台以上を売り上げ、ゴットリーブ社はピンボールメーカーのパイオニアとなった。
1933年、「パシフィック・アミューズメント社」がエレメカ技術を用いた『コンタクト』というマシンを販売するが、これが初の電化されたピンボールとなる。
その技術者であるハリー・ウィリアムスは独立し1943年に「ウィリアムス社」を設立、やがてゴットリーブ社に比肩するピンボールメーカーへと成長する。
1947年、ゴットリーブ社のハリー・マブスがデザインした『ハンプティ・ダンプティ』が発売。
この頃までただボールを発射するだけしか出来なかったピンボールに、初めて"フリッパー"というプレイヤーが介入できる打ち返し棒が設けられ、以降はこれがピンボールのスタンダードとして普及していく。
1970年代に入ると更なる電子化が進み、回路基板やデジタルディスプレイを用いた商品が販売されるようになり、それがピンボールマシンの主流となっていく。
この頃は「ゴットリーブ社」、「ウィリアムス社」の他に「バリー社」、「ミッドウェイ社」、「シカゴコイン社」がピンボールメーカーの大手となる一方、1969年にミッドウェイ社はバリー社に買収され、1982年にはピンボール開発部門を一本化し「バリー・ミッドウェイ」に改称する。
一方、日本ではピンボールを製造販売するメーカーは中々現れず、「太東貿易(後のタイトー)」や「ユニバーサル」、「サービスゲームス(後のセガ)」などがアメリカから輸入し、販売およびリースするのが専らであった。
しかし、1971年にセガが国産第一号のピンボール「winner」を製造販売。
セガは以降、1979年までピンボールの製造を続け、25機種ほどを世に生み出している。
また、1986年に「データイースト」がアメリカ国内にだがピンボール製造の法人を創設している。
1980年代頃から、アミューズメント市場そのものがビデオゲーム主流の時代を迎え、ピンボールの需要は徐々に低迷していった。
まずシカゴコイン社が1977年に倒産(資産は新設会社「スターン社」に受け継がれる)。次いでゴットリーブ社も1996年に倒産(資産は「コロンビア映画」の所有を経て「ソニー・ピクチャーズ」へ)。
バリー社は1988年に開発部門であるミッドウェイをウィリアムス社に売却。開発部門は「ミッドウェイゲームズ」と改称し、更にウィリアムス社の著作権と商標を譲渡され製造を続けるも、1999年にピンボール製造を打ち切っている。
データイーストも1994年にピンボールの法人をセガのアメリカ法人に売却。その会社は更にスターン社へ売却されている。
ただし、ピンボールマシンの製造・販売はアメリカ国内では未だ継続されており、1977年創業の「スターン社」や、2011年創業である新興の「ジャージジャック社」、更に中小企業クラスながら「スプーキー社」、「ヘイウェイ社」などがピンボールマシンの製造・販売を続けている。
またピンボールそのものをビデオゲームに移植した例も少なくなく、「KaZe」がリリースしたデジタルピンボールは評価が高く、セガサターン用にリリースした「ラストグラディエーターズ」は名作との呼び声が高い。
他に、かつてWindowsにプリインストールされていた「3Dピンボール Space Cadet」や、任天堂がゲームボーイ向けにリリースしていた「カービィのピンボール」などの例がある。
「有限会社マインドウェア(旧名「M.N.M. Software」)」などは、PC用のデジタルピンボールを製作するべく実機を研究するうち、実機のメンテナンス業を開始したのみならずウィリアムス社と提携までしており(ウィリアム社のピンボール業務撤退に伴い解消)、現在は実機のリース・レンタル・買い取り・販売業まで行っている。