この記事は星のカービィディスカバリーの核心的なネタバレを多く含みます。
こうかいしませんね?
完全体
フェクト・エフィリス
かれの 侵略の野心の中にのこされた、小さな
はく愛の心が ぶんりして エフィリンが生まれた。
その結果、空間転移能力は不安定となり、暴走した
ナゾのうずが 各地で発生した。 完全体となった
かれは、また 次の星への侵略を たくらんでいた。
概要
星のカービィディスカバリーに登場するキャラクターにして、今作のラスボス。
カービィ相手に劣勢となったフェクト・フォルガが隙をついてエフィリンを取り込み、本来の姿を取り戻した状態。
経緯や詳細については上記の各記事を参照。
容姿
エフィリンが成長したような姿であり、宇宙人・神・悪魔など複数の異質さを感じさせつつも幻想的な姿となっている。
より鮮明に表すと、
・複雑な配色の目
・蛾の触覚や鹿の角を思わせる角
・五指と長い爪を有した大きな手
・身体を覆い隠せるほど巨大化し、翼の役割を果たすようになった耳(内側には毛細血管のように枝分かれした虹色の模様がある)
・非常に細長い脚
・キツネのようなフワフワの尻尾
といったデザイン。
右手には禍々しい形状の槍・「アンタレス」を携えており、槍の芯と槍先は水色で、クリーム色とマゼンタの二重螺旋(槍先側は翼のようで、後ろはマゼンタの球体)が巻き付いている。
なお幼体のフェクト・フォルガも溶けた左耳から二重螺旋が垂れており、トレジャーロードの背景にも二重螺旋構造の物体がある。
攻撃パターン
編集者による抜け・漏れがある場合は適宜修正をお願いします。
技名には宇宙に関する単語・用語が多く使われている。
- 軌道性パルサー
槍の形をした七つの光弾をカービィに向けて発射する。
遠景から撃ち込むパターンとフィールド内で使うパターンがある。
かなりのスピードだが自機狙いなので動き回れば被弾しない。ただし連続での使用や、複数の攻撃に派生する場合があるため注意。
パルサーとは、パルス状の電波を放つ中性子星のこと。
- アンタレス・メテオ
空中から急降下し、アンタレスを突き出しながら突進する。
遠いため姿が小さく、予備動作も短めなのでよく観察すること。光弾から派生するパターンあり。
攻撃後は地面に槍が刺さり隙ができる。
- グリーンフラッシュ
地上で行う連続突進攻撃。
かまえの姿勢があるため判断は容易だが、狙いが正確なので油断しないように。
突進の瞬間にはスローになる演出がある。
グリーンフラッシュとは、日没や日の出の際に太陽が緑に見える現象のこと。
- ムーン
槍で前面を斬り払う。
広範囲かつ振り向きざまにいきなり使うことも多いため、近接コピーで攻撃を欲張ると被弾しやすい。特に他の攻撃からの派生時に注意。
ムーンは英語で月。
- フルムーン
ムーンから派生する攻撃、槍で大きく一回転する。
フルムーンは英語で満月。
- ソル
破神エンデ・ニルを彷彿とさせる、空中からのレーザー。
異なる点としては触れた地面にもダメージ判定が残ること、少しでも当たった時点で技の終了まで拘束されること。どのタイミングで被弾しても一定数の多段ヒットが発生し、大ダメージを受ける。
ソルはラテン語で太陽。
- カイパーベルト・ウェーブ
空中と地面にディメンションホールを開き、地面の穴に槍を突き立てると、空中の穴から巨大な槍が突き下ろされる。
衝撃波が発生するため見た目以上に避けにくい。攻撃後は隙があるため厳しければ回避に専念しよう。
カイパーベルトとは、海王星軌道の外側にある、天体が密集した円盤状の領域。
- アンタレス・ベルト
エンデ・ニルの「憤怒の斧」を彷彿とさせる、飛行しながらアンタレスを引きずるように地面を裂く攻撃。地面に燃えるようなダメージ判定が残る。2、3回使用して他の攻撃に派生する場合あり。
なお、この攻撃を含む一部の攻撃パターンは、フィールドのアンテナ台を通り抜けると問答無用で粉砕する。
- 高速移動
攻撃ではない移動の行動パターン。
遠景からいきなり至近距離まで詰め寄ってくる上に、攻撃に派生、ないし攻撃から派生してくるので油断ならない。
体力が半分になると周囲の空間を塗り替え、以下のパターンが加わる。
- スペースデブリ
ディメンションホールを開き、瓦礫を固めたような隕石を降らす。
自機周辺にランダムに落ちるため、闇雲に動き回ると被弾する。フィールドに影ができるため、地面を見れば安定して回避できる。
スペースデブリとは宇宙に漂う不要になった人工物、いわゆる宇宙ゴミのこと。
- フェルミパラドックス・アンサー
スペースデブリのシメに行うことがある、ビルの残骸を大量に集めた巨大隕石を落とすパターン。同様に影を見て回避する。フィールド端が安置となりやすいので意識するとよい。
フェルミパラドックスとは、異星人が存在する確率の高さと、実際に接触した証拠がない事実の間にある矛盾のことである。
- ゲノムリペアーズ
3体に分身し、衝撃波のようなリングを収束させ、体力を回復する。
リングの中心にいるのが本体で、他2体は分身。リングが収束しきる前に本体に一定ダメージを与えれば阻止できる上、怯んで隙ができる。
分身は1発でも攻撃を当てれば消せるが、実は分身には影がないので、焦らずよく見れば見分けられる。なお、レンジャーの場合は分身前からカーソルを合わせておけば、自動的に本物にカーソルが向く。
ゲノムは遺伝情報全体のこと。リペアは修復を意味し、この技名だけ宇宙に関する言葉ではない。
フェクト・フォルガ暴走態と異なり、ファイアで火だるまにしたり、アイスで凍りつかせる事ができる。ただし、遠景まで飛ばれると体についた火が消えてしまうため、動きを止めるアイスと違い、ファイアの追加ダメージは狙いにくい。
また、遠景にいる間はこちらの攻撃が一切届かない。
HPを削りきると動きを止め、内部で抵抗していたエフィリンが背中から露出し、ドームほおばりを用いて救出することになる。
ただし、アンタレスをカービィ目掛けて飛ばして抵抗してくるため、攻撃が当たるよりも先に急いで助け出そう。
最終決戦
エフィリンを引き剥がされた事で、再び身体が溶け始めるフェクト・エフィリス。
しかし、それでも諦めることなく遥か上空へと飛び上がり…。
エフィリン「とてつもない力だ! どこにあんな力が残って…」
「まさか…ポップスターごと引きよせてこの世界にぶつけるつもりなのぉ!?」
なんとエフィリスは最期の悪あがきのように、カービィ達の故郷であるポップスターをワープで引きずりこみ、新世界へ衝突させようとする。
新世界とポップスターの重力が引かれ合い、周囲ではビル群が浮かび上がり、ポップスターの地表が隕石の如く降り注ぐ。最早止める術は無く万事休すと思われたその時、近くにモンスタートレーラーが落ちてきた。
これを見て閃いたカービィはそのモンスタートレーラーにほおばりヘンケイを行い、世界の破壊を止めるべく宙に浮いたビルや道路を足場に、エフィリスの元へ疾走する。
無敵キャンディーのアレンジBGMが流れるアツい展開だが、隕石と化したポップスターの破片により進行方向の足場は次々と崩れるので、決して油断はできない。
エフィリスも黙って見ているはずはなく、巨大な瓦礫塊を飛ばして抵抗を測るが、今までのラスボス達同様、迫り来る「星のカービィ」を止める事は敵わず、怒涛の連打ラッシュへともつれこむ。
カービィとフェクト・エフィリス。
どちらも星の外からやって来た存在だが、平和な暮らしを尊び仲間と共にある星の勇者と、全てを破壊し尽くさねば気の済まない孤独な侵略者……既に勝負は見えていた。
一度はカービィを押し返すも、エフィリンの力が加わった再度の突撃をもはや半壊した身体では防ぎきれず、最後は押し負けて断末魔を挙げる間もなく消滅。
信じる友達も助けてくれる仲間もいない孤独な命に引導を渡したのは、星の勇者と博愛の心を得たもう一人の自分……それは、彼自身がそうなり得たかもしれない可能性でもあった。
こうして侵略者フェクト・エフィリスはifの可能性と、新世界に遺された文明の前に敗れ去ったのだった。
その後、一時的に取り込まれた事で力に目覚めたエフィリンの決死の覚悟によって、今にも崩壊しそうだった時空の歪みは無事に修復される。
運良く生還できたエフィリンには空間を繋げる力が備わり、和解したプププランドとビースト軍団による世界間を超えた交流が始まるのであった。
こうして二つの世界には平和が訪れたのだが、ある一匹だけは帰ってこなかった…
戦闘BGM
正式曲名:「いつしか双星はロッシュ限界へ」
作曲者:安藤浩和
前作スターアライズの「組曲:星羅征く旅人」同様に三拍子かつ管弦楽調で神秘性を前面に押し出した一曲であり、女声コーラスが特徴的。
フェクト・エフィリスの戦闘に合わせてBGMも数段階に分かれている。特に、隕石召喚後に突入する後半フェーズは大胆なロックアレンジとなり、ハーモニーの美しさもさることながら、雄大さをも感じさせる盛り上がりを醸し出しており、激闘の決戦を見事に演出してくれる。
詳細は項目参照。
余談
ガチャルポンにおいては、ディスカバリーでの世界文明が命名した「ID-F86」というコードネームが統一して使われている。
フェクト・エフィリスという名の由来はPerfect+Efilismであると思われる。
Perfectは完全を意味し、Efilism(エフィリズム)とは、「生命は生まれるべきではない」という反出生主義の思想を指す。
名称においても、生命を意味する「LIFE」を逆さにした造語となっている。片割れたるエフィリンの去勢を彷彿とさせる欠けた耳もこれが由来と考えられる。
どこかクィン・セクトニアを彷彿とさせる顔つきや、中性的な容姿を持つ。日本語のガチャルポンの説明文では”彼”と表記されているが、英語の説明文には性別不問で使われる”They”と表記されている。したがって、現在のところ性別は不明である。そもそも他の生命体を直接取り込んで肥大化し、あまつさえ空間を飛び越える能力を持つ常軌を逸した生命体に対し、雌雄という一般的な生命体の枠に当てはめようとすること自体が無粋かもしれない…。
小説版
「やっと……やっと手に入れた……これで……もどれる……!」
「われは━━━完全体、フェクト・エフィリス!」
角川つばさ文庫による小説版では、エフィリンを取り込んだことによりフェクト・フォルガ時のカタカナ混じりの悍ましい喋り方が、フェクト・エフィリス時は正常な喋り方になり(というより、テレパシー能力で会話しているようである)、
片割れを取り込んで漸く完全体になったことへの喜びと、今まで見世物にされてきた憎しみがごちゃまぜになった感情を露わにした。
計画を狂わせたカービィに対する憎しみが原作より強く描写され、たった1つの間違いも許さない行き過ぎた完璧主義者の様な性格になっている。
倒すと背中からエフィリンが覗くのは、エフィリンがフェクト・エフィリスから出ようとしているとバンダナワドルディは推測している。
エフィリンを奪われると、フェクト・フォルガ時の悍ましい口調に戻ってしまう。
漫画版
今日もまんまる日記!
「操りはつまらぬ。本音は卑しい」
「ゆえにわれは、世界を破壊し続ける」
5巻から始まったディスカバリー編に登場。原作の結末を考慮してか「自分を受け入れてほしい」という心情が強く描写されている。
陰からビースト軍団を動かしてエフィリンを捕らえ、ワドルディたちを動力に利用して復活を目論むのは原作と同じ。
しかし単なる破壊者ではなく、上記の台詞にもある通り本心では友を求めている。
ラボ・ディスカバールに乗り込んで来たカービィとバンダナワドルディに対し、レオンガルフやビーストキング(デデデ)を操ってけしかける。しかしどちらもパワーがあり過ぎて制御できずうっかり自分が入ったカプセルを破壊してしまう。
危ないところだったが目の前にエフィリンがいたため取り込んで完全体へと復活を果たす。
手始めにビースト軍団を洗脳して操り人形にする。そして、
「一発ギャグ言いまーす。お金がなくておっかねー」
「歌いまーす(ボエエエエエ)」
いずれもこっそり覗き見をしていたキャロラインには「クソつまんな」「才能がないタイプ!!」と酷評されたが、操られた者たちは拍手喝采で褒め称えるのであった。
エフィリスもこんな自作自演は「むなしい」とため息を吐いており、姿を見せたキャロラインから「そうやって周りを思い通りにあやつったところでなにも残らない。本音を語れない関係なんてむなしいだけ」と告げられる。
そこで本音を聞き出すべく洗脳を解除するが、レオンガルフが呟いたのは「クソつまらないギャグを聞かされ、雑音でしかない歌を聞かされ」というものだった。
ブチキレたエフィリスは世界を潰すことを決定するのだった。
だがそんなエフィリスを本心から「面白かった」と言う存在がいた。カービィである。
違和感を覚えたエフィリスは「カービィはキケンだ」と判断。そこでデデデに仮面を取り付け、より強固な洗脳を施して世界滅亡の先兵にした。
そして次元の穴からビル群を降らせ、不要なもので埋め尽くして世界を破壊しようとする。
そこへモンスタートレーラーに乗っていたメタナイトを引きずり込んでしまい撥ねられてしまう。
思わぬ奇襲に怯んだものの心配して近づいてきたカービィを消し去ろうと攻撃を加える。しかしカービィにはまったく通じず、自分の中にゴミが混じっているせいで本来の力が出せないことに気づき、それを排除する。
外に追い出されたのは、カービィたちとの思い出の写真と、それを撮ったエフィリンであった。
自分にとってはゴミでしかないものをエフィリンは大事に持っていた。エフィリンの中にある、仲間たちとの思い出。これこそが彼が覚えていた違和感の正体だったのだ。
そしてカービィは、自分に対して恐れも敵意もなく、ただ遊びたいだけの心の持ち主だと理解する。
理解できないものを受け入れることができず破壊するしかなかったエフィリスだが、ついにカービィという存在を理解したのだ。
カービィとエフィリンの再会を目の当たりにし、「ずいぶん眩しいゴミだな」と羨望の眼差しを向ける。
そこへ先ほど洗脳したビーストキングが活動を始め、床を破壊したことでカービィとエフィリンは投げ出されてしまう。エフィリスはエフィリンを始末しようと槍を投げるも跳ね返されたことで、エフィリンがとっくに自分の一部ではなくなっていたことと自らのパワーダウンを実感。自分の力が尽きる前に新世界を破壊しようとするが、構えを取った瞬間エフィリンに記念写真を撮影される。
「ぼくがきみの一部であったように、きみもぼくの一部」「きみもぼくのようになれるよ」とエフィリンに諭されるも、口では「馬鹿馬鹿しい」と拒絶するエフィリス。
だが、レオンガルフの「やつの考えていることはよくわからん。ただ、おれが操られていたとき、自分の中にあふれる圧倒的な力と共にあったのが、強い孤独」という言葉通り、エフィリスは無意識ながらも尻尾を思いっきり振って喜んでいた。そのため、「特別にこの世界を滅ぼすのはやめてやる」という言葉を残して新世界を去っていくのであった(ついでにデデデの洗脳も解除したが、メタナイトはビーストキングがラスボスだと思って戦っていたため必死に謝り倒す羽目に)。
このため本作では原作と異なり、エフィリスは明確に生存したままディスカバリー編は終了となった。
6巻の幕間に掲載されたおまけイラストでも、尻尾を振りながらカービィ達との思い出の写真を眺めている。
まんぷくプププファンタジー
9巻からディスカバリー編が始まったことでエフィリンは登場したが、エフィリスは未登場。