この記事には『星のカービィディスカバリー』のクリア後のネタバレを含みます
「これって… まさか、ナゾのうず!?
えっ? ここから レオンガルフの 気はいが するって…!?」
「ここは…
…この感じ! ボクが フェクト・エフィリスに とりこまれた時に みた世界に そっくりだ!」
概要
フェクト・エフィリスを撃破し表エンディングを迎えた後、ワドルディの町のどこかに空いた「ナゾのうず」から行ける裏ステージ。従来作品のエクストラモードに相当する。
レオンガルフが黒幕に閉じ込められている、思念空間で構成された絶島。
そのため、この場に来たエフィリンは「フェクト・エフィリスに取り込まれた時に見た世界にそっくり」と語っており、移動中も「誰かの夢の中みたいだ」と評している。
思念で作られた世界であるためか、足場が崩れても宙に浮くブロックなど、表世界ではなかった要素がある(歴代シリーズでは珍しくない光景だが、今作はポップスターとは別の次元が舞台であり、宙に浮く足場やブロックは存在しない)。
また、ステージ全体に朧に霧がかかり、全体的に色相やトーンが統一されているところから、色褪せた様相を呈している。
霧の色は元のステージと同系色もあれば全く異なる色もあり、どれも大きく印象が変わるものとなっている。
それぞれのステージは「フォルガトゥン・◯◯◯」という名になっており、難易度の上がった1つのワールドを繋げた様な構成。
ビースト軍団と和解した後であるため、このステージに登場する敵キャラは、黒幕が産み出した思念体で本物ではない。中には顔が黒いモヤに覆われた、通常よりも少し強い「念獣」と化したものもいる。
黒幕はこの世界を足がかりにカービィ達に逆襲しようと企んでいた。
ステージ名 | ベース | 霧の色 |
---|---|---|
フォルガトゥン・チェル | ネイチェル草原 | 紫 |
フォルガトゥン・ブルグ | エバーブルグ海岸 | シアン |
フォルガトゥン・ダリア | ワンダリア跡地 | 赤 |
フォルガトゥン・ホルンズ | ホワイティホルンズ | 緑 |
フォルガトゥン・ネシア | オリジネシア荒野大地 | 黄色 |
フォルガトゥン・ガル | レッドガル禁足地 | マゼンタ |
フォルガトゥン・ランド | ラボ・ディスカバール | オレンジ |
以上のように本編の各ワールドに対応した7つのステージで構成されている。
レオンのソウル
レオンのソウルを 手に入れた!
これは レオンガルフのソウル…
かれの たましいのカケラ のようだ。
このソウルを たくさんあつめれば
かれをすくい出せる かもしれない。
ドリーミー・フォルガに ちった、
レオンのソウルを あつめよう!
(初入手時に表示されるメッセージより)
あの絶島にただよう レオンガルフの たましい。
一度 カービィにやぶれ 体をうしなった ID-F86は、
思念のみ 絶島のはてに のがし、よりしろとして
レオンガルフを ゆうへい。その体に自らの思念を
そそぐべく、かれのソウルを うちすてたのだ。
(フィギュアより)
その名の通りレオンガルフのソウル。
黒幕が肉体を操りやすいようソウルを切り離し、バラバラにして絶島中にばら撒いてしまった。
行方不明になったレオンガルフの居場所を探すために、ワドルディの代わりに『レオンのソウル』というものを集めるのがカービィ達の目的である。前作の『スターアライズ』の「アナザーディメンションヒーローズ」に似たシステム。
1つのエリアを残らず取り切るとエフィリンが教えてくれ、取り逃しても再度入った際にエフィリンからエリアごとの残りのソウルの数を教えてくれる。
レオンのソウルは全部で300個あり、少なくとも250個手に入れなければクリアは出来ない(前作と違いバッドエンドにはならないが、最終ステージ自体が開放されない)。
なお、レオンのソウルはステージの道中や、念獣やボス撃破後に手に入る。そのステージのソウルを全て回収した場合はエフィリンが伝えてくれるので、取り逃しがあった場合は戻ること優先。
表ストーリーのワドルディと違って重箱の隅をつつくような位置に配置されていることがあるので、表ストーリー以上に入念に探索をする必要がある。
ちなみに300個全て回収するとフィギュアが貰える。
ボス
ここでは今までのボス全てを強化したコピー体『幻』が登場する。
攻撃威力だけでなく、HPが減ると通常のボスにはなかった特性がついてくる。
BGM
マップ
正式曲名:「絶島ドリーミー・フォルガ」
作曲者:下岡優希
コーラスから始まり、重低音とフルートの高音が掛け合いを織りなす壮大な一曲。新たな冒険の始まりと脅威の到来を予感させるような曲調となっている。
フレーズの元となっているのは「隆隆たる獅子叢の哮り」「VS.象りの思念バトル」「WELCOME TO THE NEW WORLD!」の3曲。夢の世界に閉じ込められたレオンを表現している。
フォルガトゥン・チェル~フォルガトゥン・ネシア
正式曲名:「褪せ色のサイコメトラードリーム」
作曲者:安藤浩和
静かなピアノのイントロから始まり、アップテンポで流れるエレキギターと電子音旋律で構成されたBGMで、その切なげな印象は『ロボボプラネット』のBGMを想起させられた人も少なくない。
そして何より、ドリーミー・フォルガに於いて一部を除くほぼ全てのフィールドでこの曲が継続して流れる為、強烈に印象に残る。
レオンのソウルを念入りに探せば探すほど長く聞く事になる曲だが、ピアノと電子音のメリハリがしっかりついており、飽きを感じさせない一曲となっている。
これまでの廃墟を巡る、気ままと言えば気ままな旅から一転「レオンガルフの救出」という明確な目的があるため、追い立てられる、あるいは追いかけるような感覚に囚われる一曲であり、過去ステージの改変という一歩間違えればマンネリとも感じさせかねないステージを見事に裏ステージとして昇華させる要因の一端を担う曲であると言える。
実は、よく聞いてみると通常のボスバトルで流れる「VS.デンジャラスビースト」と「行こうよアライブルモール」のBGMを組み合わせた物である。
明るく穏やかな序盤のBGMを勇敢な終盤のBGMにアレンジするという手法は、『カービィのすいこみ大作戦』の「あしたはあしたのだいけっせん」(原曲は「あしたはあしたのかぜがふく」)や、『トリプルデラックス』の「この星をかけた魂の戦い」(原曲は「全てすいこめ!ビッグバン」と「浮遊大陸の花畑」)などでも用いられている。
曲名にある「サイコメトラー」とはサイコメトリー、即ち生物や物質を手で触れることで、対象に込められた思念や過去の経歴を辿って認識可能な能力を扱うものを指す。
過去のステージを回想するかの如く辿るこのステージによく似合った曲名だろう。
フォルガトゥン・ガル
正式曲名:「ソウル散る忘失の絶島で」
作曲者:安藤浩和
「褪せ色のサイコメトラードリーム」の電子音満載の構成から一転し、オーケストラ調で構成された曲となる。
そして特筆すべきは『星のカービィWii』における異空間ロードのBGM「アナザーディメンション」を中心に編曲されたBGMであるという点である。
どこか無機質で無表情だった「アナザーディメンション」とは大きく異なり、強弱が明確に設定された管弦楽の勇ましい曲調となっている。
また、メインテーマのセルフアレンジが多い本作では珍しい「カービィ凱旋のテーマ」(『スーパーデラックス』より)のフレーズが用いられており(厳密には「新世界をかけぬけて」と共通するフレーズが「カービィ凱旋のテーマ」に寄せられている)、「アナザーディメンション」のアレンジであることも含めて今作に於いては非常に異質な曲となっている。
凱旋のテーマもあってか、溶岩地帯を駆けるカービィの勇ましさを表すかのような曲であると共に、管楽器の音は迫る佳境への予感を犇々と感じさせる。
ちなみにこの縁もあってか、『星のカービィWiiデラックス』でも「マホロアエピローグ」で使用されることになる。
余談
最終ステージの名前は「フォルガトゥン・ランド」だが、これは本作の英語版のタイトルである『Kirby and the Forgotten Land(忘れられた地)』を捩ったものであると考えられる。
また、「ラボ・ディスカバール」も、日本語版タイトル「星のカービィ ディスカバリー(発見)」を捩ったものであり、最終ステージの名前が表と裏でそれぞれ日本語版と英語版のタイトルに由来するものとして対になっている。前作、『星のカービィ スターアライズ』でも、最終ステージの名前が「星のカービィ スターアライズ」であり、最終ステージの名前を作品タイトルにすることが今作に継承されている。
小説版では『絶島の夢をうちくだけ!編』でエピソード化されている。シリーズで初めてノベライズ化された裏ステージである。