概要
アミノ酸の一種。タンパク質の構成成分のひとつ。構造内にベンゼン環を持つ芳香族化合物でもある。
アラニンの側鎖の水素(H)原子が1つフェニル基(ベンゼン環)で置き換えられた構造を持つことから名付けられた。
ヒトの体内で合成できない必須アミノ酸であり、肉類、鶏卵、牛乳などの食品から摂取する必要がある。
他のアミノ酸と同じく、D体とL体の2つのエナンチオマー(鏡像異性体)を持つ。
L体は体内でL-チロシンに変換され、さらにL-ドーパとなる。これがさらにドーパミンやノルアドレナリン、アドレナリンへと誘導される。
D体は人工的に合成された有機化合物である。
フェニルケトン尿症
PKUとも呼ばれる。
先天的な酵素(または補酵素)の異常によって、フェニルアラニンの代謝が阻害され起こる病気。およそ8万人に1人の新生児にみられる難病である。新生児限定の病気ではなく、一生付き合うことになる体質ともいえる。
フェニルアラニンからチロシンが生じる反応が上手くいかないと、ホルモンの合成が正常に行われなくなるため、早期に治療を行わないと新生児に知的障害などが残る危険性がある。また色素合成も阻害され肌や髪の色が薄くなることが多い。
治療といっても要するにフェニルアラニンを含まない食べ物を一生食べ続けるというものであり、現在根治する方法はない。
マターナルPKUという症状もあり、血中フェニルアラニン値が高い状態で妊娠すると、胎児に過剰なフェニルアラニンが供給され胎児が障害を負ったり死亡する危険性もある。