概要
「最悪の世代」の1人、トラファルガー・ローの出身地で「北の海(ノースブルー)」にかつて存在していた王国。
地層から採取される「珀鉛」という鉛の影響で国全体が童話の雪国のように一面白一色なため「白い町」とも呼ばれ、かつては人々の憧れの国であった。
珀鉛から作られる食器・塗料・甘味料・化粧品・武器などは良質で世界中から買い手がつき、珀鉛はこの国の一大産業としていたが、珀鉛に含まれる毒は過度に掘り起こすことで人体に悪影響を及ぼす。後に身体や髪が白くなっていき、全身の痛みとともに死ぬ「珀鉛病(はくえんびょう)」と呼ばれる鉱毒による公害病が国中に蔓延する。
王族と世界政府は産業が始まる100年以上も前に国の地質調査でその事実を知りながらも珀鉛が生み出す巨万の富に目が眩み事実を隠蔽していた。珀鉛病にかかった者が子供を作ると、その子供にも感染し、子孫の寿命が短くなっていく性質があり、国民が一斉に珀鉛病を発症すると王族は政府の手引きで早々に脱出し、珀鉛病を伝染病と思い込んだ周辺諸国は他国へ通じる通路を八方から封鎖し隔離処置を取り、他国への亡命や治療を希望する者たちも迫害され射殺されたという。そして世界政府もこういった事態の解決に一切走らなかった。自分達の悪事がバレるのだからある意味走らなくて当然である。
生き残った国民たちは珀鉛でできた武器(セニョール・ピンク曰く「皮肉にも『鉛玉』なら腐る程あった」)を使い抵抗を試みて全面戦争が勃発。これに対する反撃という口実を得た周辺諸国から一斉攻撃を受け、周囲から火を放たれて滅亡した。
ローは家族、友人、恩師の全てを殺されながらも、死体の山に紛れて隣国に脱出し、珀鉛病に蝕まれながらもドンキホーテファミリーの元へと向かうこととなった。
余談
作中でこの国の描写があるのはローの幼少期の回想一話だけであるが、何の罪もない国民が病に苦しみ、周辺国の軍勢に一方的に虐殺されていく展開は読者に大きな衝撃を与えた。
因みに国境線封鎖云々とあるように、ワンピース世界では珍しく一島一国ではなく、周囲を外国に囲まれた内陸国だったようである。
本編では既に国を見捨てて自分たちだけで逃亡した国王(王族・支配者)というのではドラム王国国王時代のワポルとその一党がいた(襲撃し滅ぼした黒ひげですら唾棄したレベル)が、フレバンス王国の王族は世界政府と結託して逃亡した挙句国民を見殺しにした点でそれ以上だろう(もっとも、世界政府の都合で王族すら平気で消された世界会議参加権を持った加盟国もいるのだが)。
『ONEPIECE』では作品内にしばしば社会風刺ともとれる設定や描写が織り込まれることでも有名だが、その多くには空白の100年の研究や魚人&人魚といった今作ならではの強いファンタジー要素が介在しており、「珀鉛」自体はオリジナルの鉱物ながらもファンタジー要素の薄い過程を辿った非常に生々しい内容となった点においてフレバンス王国の話はかなり珍しい部類に入ると言えるかもしれない。