概要
原作は藤子不二雄A、漫画雑誌『週刊少年キング』『別冊少年キング』(いずれも少年画報社)に掲載。1964年〜1967年に連載された。また、1982年から1年間、復刊した『少年KING』にて、リメイク版である『フータくんNOW!』が連載された。
藤子両氏の連載作品では珍しく、異邦人のレギュラーキャラやヒロイン、主役の家族がほぼ登場しない、主役の少年1人以外はまったくの脇役という作品である。
フータくんは同名漫画の主人公で、100万円を貯めて日本一周旅行を夢見る少年。風来坊(フーテン、バガボンド)であり、彼の家族や家庭は一切登場しない。小さい頃に牛に蹴られ、それ以来赤いものを見ると怒り出し、チンピラ複数人をボコボコにするほどに強くなる。それ以外の特殊能力の類は無い。
レギュラーキャラとして「ありますだよ」が口癖の間抜けなテツカブ、『怪物くん』にも登場したキザオなどがいるが、毎回コロコロ設定が変わり、以前にフータと出会ったことなどは無かったことにされる。
当初は100万円を貯金する理由が明かされず、目標額を達成してから第2部が開始となった。第2部では各都道府県を巡ってドタバタする珍道中が描かれており、観光名所めぐりやルポなどが申し訳程度に挟まれているが、秋田編や滋賀編、山口編など、ご当地要素が全く無いただの日常回も見られた。後半になってくるといよいよ展開が急になり、末期の四国や九州では1話で数県跨ぐなど、明らかにやっつけ感の溢れる展開となっていった。なお、連載時には沖縄は未返還であったが、最終回1話前は沖縄に行っている。
その後、フータが社長になる第3部が開始されたが、単行本化されておらず、電子書籍版でも未収録である。
過去にアニメ化が企画された。詳細は下記参照。
ソノシート
1965年頃にソノレコード株式会社からソノシートが発売されている(定価290円)。
原作のエピソード『おさいなら赤ちゃん(単行本タイトル『おそるべき赤ちゃん』)』をベースにしたドラマ『おさいなら! 赤ちゃんの巻』を収録。主題歌はソノシートのために新規に作られており、後に『黄色い手袋X〜幻の漫画フォノシート主題歌コレクション』で初CD化された。
主題歌:『フータくんのうた』
キャスト
- フータくん(菅谷政子)
- おじさん(吉原??)
- 女の子(野村道子)
アニメ版
1966年頃にテレビアニメ化が企画され、パイロットフィルムが日本放送映画によって制作された。
本放送ではカラーで制作される予定で日本テレビで1967年1月からの放送も決まっていたのに結局は頓挫して結局はアニメ化されなかった。
それから数年後に中国・四国地方でプロ野球中継の雨傘番組としてこのパイロット版が放送されたことがあるらしいが、広島で放送されたという話もあるが詳細は定かじゃない。
徳間書店から『TVアニメ25年史』が刊行された際、かつて本作の16ミリプリントを保管していたとされるフィルム倉庫を編集部が特定するに至ったが、この際はフィルム自体は発見できなかった。その後の調査により広島では『プータくん』のタイトルで放送されていたと判明し、2022年4月には国映によりフィルムが発掘された。権利側から許可が出たと思われ、デジタル修復も予定されている。(参照)
なおアニメ放送時にプータくんと新聞に記載されていたのは元のフィルムにプータくんと書かれていたためと考えられる。