プライマー(地球防衛軍6)
ぷらいまー
突如襲来し人類を攻撃し始めた謎の異星文明。正体、来歴は不明で、人類に対しては極度に敵対的。
これまでに対話やそれに類する試みはあったがいずれも失敗している。
人類の殲滅を目標としているらしく、世界各地に攻撃を加え、様々な兵器や侵略生物を送り込んだ。
前作の『地球防衛軍5』で指導者と推測される銀の人は撃破され、本隊は撤退しているため、『地球防衛軍6』では敗残兵や侵略生物が人類の復興を妨げるのみ…と思われていた。
本作において、プライマーは恐るべき戦略で人類を攻撃していたことが明らかになった。
彼らはある一定の期間まで戦争を継続して望む結果が得られないと判断した場合、タイムマシンを使って人類側の戦略や地下基地の場所といった情報、さらにそれを元にしたプライマーの新兵器や戦力を過去に送り、歴史を改変して作戦上の有利を得ていたのである。
この壮大なイカサマによって人類側は常に戦力的な劣勢を強いられた上、主要な反撃手段や作戦は事前に妨害を受けて失敗。地上は完全に制圧され、謎の大気改変マシンまで設置され空は赤く染まる…という、EDF6のPVで見られた絶望的な未来が訪れる事となる。
厄介なことに、歴史が改変された事を人類側は自覚できない。その為、本作最初の改変により『「銀の人」を倒し、人類が何とか勝利した』歴史と記憶は完全に消え去り、『アンドロイドの投入とマザーシップの一斉砲撃により人類が敗北した』という状況と認識に変わってしまっている。
歴史そのものをデータ的に改竄している訳ではないため、改変を行う戦力を積んだ船団を撃墜すれば阻止は可能なのだが、いつどこに出現するかわからない『未来から送られて来た直後の船団』は待ち構えておくことすらできないため、運よく鉢合わせるという幸運な偶然以外に、実現は不可能であった。
エイリアン
コロニスト
プライマーが使役していたエイリアンの歩兵。プレイヤーからはもっぱら「カエル」と呼ばれる。
地球に取り残されてから3年の間で皮膚は汚れ、身体は痩せ、装備も鉄骨やケーブルといったそこらの廃材なども使って修理・作成したようなショットガンとプロテクターになっており、動きもやや鈍くなっている。とはいえ今作では初めて相対する敵となるので油断は禁物。
なお、制御装置も外れており、リングによる時間移動に巻き込まれても過去の本隊と合流しなかったことから、プライマーの指揮下から外れ独自に動いている模様。
リング事故でストーム1らが過去に戻ってからは、前作と同じプライマーに使役された個体も登場。また、前作DLCにのみ登場した重装備の個体(プロテクデッド・エイリアン)も登場する。
タッドポウル
コロニストの前腕を翼に変えたような姿のエネミー。鬼火のようなエネルギー体を吐き攻撃する他、『呑み込み』でこちらの動きを封じてくる。
体力はそう多くないものの出現時には大群で現れる。
前作ではタッドポウルと命名されたものの、大半の兵士は「飛行型エイリアン」と呼称する。
コスモノーツ
アーマーとしても機能する防護服を身に着けた、『グレイ型宇宙人』に酷似した頭部を持つ人型エイリアン。仲間と連携し、遮蔽物を利用するなど軍事訓練を受けたと思しき存在。
本体にダメージを通すにはアーマーを破壊する必要がある。
本作では出番がかなり減っている。
クルール
2回目の改変で登場する古典SFの代名詞とも言えるタコ型宇宙人に似た姿の生物。しかしその見た目は、本作の世界の人間には本能的な恐怖を呼び起こす物のようで、一部の隊員は発狂、混乱、パニック状態に陥る。このありさまに、「邪神」と呼ばれている。
触手が何本もあり、片手にはシールド、もう片手には武器を装備している。シールドを2枚持っているタイプ、炸裂銃を持っているタイプ、砲兵タイプ、レーザーキャノン(ウイングダイバーのライジンに似ている)を持っているタイプなど、色々な種類が登場。
高位の階級に所属する個体は「エルダークルール」と呼ばれる。
クラーケン
クルールの上位種で、同様にシールドを装備している。シールドの特性はクルールとほぼ同様ながら、飛行・滞空し、下記のヘイズを常に随伴させ、その上HPも強化されているなど一筋縄ではいかない遥かに厄介な存在。おまけに高難度ではシールドに当たった攻撃を反射してくる。
侵略生物
侵略生物α plus
侵略生物α(蟻)に酷似した怪物。茶色っぽい体色と光る目、毛の生えた体表などより虫っぽくて気持ち悪い外観になっており、プレイヤーからは「茶蟻」などと呼ばれる。
主戦力として置き換えが進んでいるのか、周回によってはほとんどの蟻がこちらになっている。そのためなのか人類にとってはこちらがスタンダードになっているようで、特別な言及はない。
αより体力が増えているのが特徴。一方で攻撃面は酸の色が変わっただけで火力に差はなく、やや大柄なので攻撃は当たりやすい。
また、赤蟻や金蟻、クイーンのplus相当の個体も存在する。
侵略生物β plus
侵略生物βに酷似した生物。ハエトリグモのようなデザインは変わらないが、黒と茶色のツートンになり、(見ようよっては)やや可愛らしいデザインから少し不気味になっている。
こちらは体力こそβと同程度だが、電気の流れた糸を吐き出す。糸に触れると継続的にダメージを受けるため火力と拘束力が増している。
いわゆる銀蜘蛛のplus相当の個体も存在する。
機械生命体
アンドロイド
今作最初の改変で登場する生体部品で作られたと思しき機械の兵士。電球を思わせる涙滴型の頭部、細身の人型に近い形状の胴体を持つ。装甲の下には生体組織のようなものが存在している。
両手首にはワイヤーで連結されたブレードが装備されており、攻撃時はそれを射出する。
アンドロイド擲弾兵/大型アンドロイド擲弾兵キャノンボール
両手に爆弾を持って特攻を仕掛けるアンドロイド。爆弾を撃てば簡単に倒せるが近寄られると爆発に巻き込まれるため本体を狙う必要が出てくる。大型の個体は、耐久も爆発の範囲も絶大。
侵略装置
テレポーションアンカー
プライマー側の戦力の転送の受信機となる存在。破壊しない限り一定間隔で何らかのエネミーを吐き出し続ける。
上部の転送装置を攻撃しないと破壊できないが、今作ではバルガなら柱部分を殴って壊せるようになった。
テイルアンカー
大型宇宙船の中心部分を切り離して投下されるテレポーションアンカーの強化バージョン。弱点部分がバリアで覆われており射角によっては遠距離武器が通用しない。接近する敵に対しては触手状の砲台で迎撃を行う。
破壊するには接近し、シールドで保護されていない箇所を狙って高火力武器で叩くのが最適。
侵略兵器
大型宇宙船
銀色の植物かクラゲを思わせる形をしたプライマーの新型宇宙船。前述の歴史改変を行う為の新戦力と情報を持って過去に飛ぶ。弱点そのものは正面にあるので狙い撃ち易いのだが終盤まで撃墜することは出来ない。
テレポーション装置はテイルアンカーとして分離が可能。
タイプ3ドローン/ハイグレードタイプ3ドローン
タイプ2ドローンに続く新たなドローン。丸みを帯びた五角形の、ヒトデのような形をしている。攻撃時は5つの砲台を展開し、レーザーを撃つ。
中央部にアンドロイドと同じ生体部品が内蔵されているようで、そこが弱点となる。
シールドベアラー
こちらの攻撃を阻むバリアを展開する多脚歩行マシン。攻撃手段は持たない。
バリアはプレイヤー側の攻撃は通さないものの、内側のプライマーからの攻撃、およびプレイヤーとNPCは通す。バリアの内側に入り込んで直接攻撃が有効。
今作では出番が激減している。
ネイカー/ハイグレードネイカー
堅固な装甲と強力な火炎放射器で武装した小型の機械兵器。ホタテなどの二枚貝のような構造。体力は低いが、攻撃時に武装を展開する時を除いては攻撃は殆ど通用しない。一方で対地戦に特化しすぎたせいで火炎が届かない高所からの攻撃が弱点となっている。赤いハイグレードタイプは耐久も火力もおっかないことになっている。
マザーシップ
プライマーの母艦であり、街を覆わんばかりの黄金の超巨大円盤。10隻が地球に降下し、無尽蔵に繰り出すドローンや艦底部の主砲から放つ巨大な緑色の光弾でEDFに壊滅的な打撃を与えている。黄金の装甲はやはり破壊不可能だが、主砲の周囲から伸びる増幅器を破壊することで光弾を減らすことができ、また主砲への攻撃は通じ、破壊すると中枢部が露出する。
前作では一隻も撃沈することが出来ないが、今作では8回目のタイムリープ時に潜水母艦パンドラを襲撃したマザーシップNo.8がストーム1により主砲を破壊され撃沈されている。
コマンドシップ
最後に現れた11隻目のマザーシップであり、プライマーの総旗艦。マザーシップと同等の性能に加え、艦体を分離させ展開する浮遊砲台と防御スクリーンによりマザーシップを凌駕する性能を持つ。
今作では歴史改変により長らく人類の前に姿を現さなかったが、8回目のループでプロフェッサーがタイムリープによって得た情報により月面に潜伏していたことが露見、核攻撃により大破している。
9回目のループでは歴史改変によって優勢を得たEDFによって追い詰められ、護衛のテレポーションシップがフーリガン砲によって撃破され地上の護衛部隊も殲滅される。
その後最終形態に移行、砲台による圧倒的な火力を見せつけるもののストームチームに加えて、レールガンやコンバットフレーム、タイタンといったビークル隊、増援として現れた新型機『プロテウス』の攻撃により大破、大量のヘイズが船を捨て脱出する中あえなく撃沈された。
なお、今作では「銀の人」は搭乗していなかったが……?
8度目のタイムリープで初めて人類が優勢のまま3年後を迎え、余裕ができた人類はこれまでより深くエイリアンや怪物を調査研究することが可能になった。
その結果、怪物やコロニストの遺伝子情報は部分的に地球の生物と一致していることが判明。さらにクルールからは火星で発見されたのと同種のバクテリアが検出される。
これらの情報から、プロフェッサーをはじめとする科学者達は「プライマーは生物の大きな進化が起こる10万年以上先の未来、火星に存在する文明である」として、以下のような仮説を立てる。
遥か未来、既に人類は核戦争や環境汚染等で滅亡しており、怪物とコロニストが新たな生態系を作っていた地球を訪れたプライマーは、文明の痕跡から絶滅人類に興味を持つ。
タイムマシンを発明していた、あるいはこれをきっかけに発明したプライマーは古代の地球まで時間を遡り、人類を観察、時には姿を見せてさえいた。
…しかしある時、プライマーは気づいてしまう。もし人類がプライマーとは何者かを理解し「プライマーの存在を前提に行動」した場合、最悪プライマーは何の抵抗も出来ずに滅びてしまうかもしれないという危険性に。
即座に古代の地球から退散したであろうプライマーだったが、何らかの原因で墜落したテレポーションシップの残骸を現代の人類が発見し、EDFを設立してしまっていた。存在を人類に認知されたことを確認したプライマーは、火星へ向け何かしら行動を起こされる前に地球人を絶滅させ影響を断つことを決意。文字通りの絶滅戦争を仕掛けることになった。
「地球侵略(領土や資源などの獲得)が目的の未来人なら、人類が滅んでいる地球を好きにすればいいはず」という疑問は劇中でも語られていたが、そもそもプライマーの行動は何かを得る為の侵略ではなく「攻撃が目的」だったのである。
説得などを経ずいきなり滅ぼすという選択肢を採っているのは、認知されたことだけでも重大な問題であり、劇中でプロフェッサーも言う通り、知られた以上は人類側が敵対的か友好的かすら無関係なため。
攻撃的な意思が無くても「プライマーという未来の火星人が存在すると知っている」というパラドックスを含んだ認識をもとに人類が行動するようになれば、テラフォーミングのような大規模な干渉はもちろん、バクテリア一匹、石ころ一つに干渉しただけで、いわゆるバタフライエフェクトが起きて凄まじい影響を及ぼしてしまうおそれがある。
逆に未来のプライマーを気遣って不干渉を貫いた場合でも、「起きるはずだった影響」が失われることでプライマー誕生の歴史は変わってしまうかもしれない。
時間旅行を濫用した自業自得とは言え、「影響が出ない事に賭けて放置する」か「影響が出る前に滅ぼす」以外に、プライマーがこの危険性に対処する方法は無かった。
また、この戦争を仕掛けるにあたってはとにかく最低限の損害で目的を果たそうとしており、たとえ自軍が有利だろうと、より損害を抑えた完全勝利を得るべくリングを用いた時間移動戦略で人類を追い詰めていった。しかし、どれだけ改変しても必ず生き残るストーム1、そしてプロフェッサーの存在がプライマーの計画どころかその後を狂わせて行くこととなる。
試行の果ての偶然を掴み取って転移直後の歴史改変船団を撃破し、歴史改変の阻止に成功。死闘の末にタイムリングも破壊したストームチームの前に、虚空に穴をあけて登場したのは……
時間移動船(????)
個別記事にて記載。
ネタバレを含む余談
地球防衛軍シリーズでは初となる明確に滅ぼされた敵組織となった。
最後のモノローグで語られるが、人類の被害は人口の3割とEDF5エンディング時より遥かに少なくなっているうえに、これまでの戦いでは戦死していたストームチームも全員生存している。
自分たちが切り札にしていたタイムマシンが人類の生存や被害削減、さらにEDF勝利の鍵の遠因になってしまうどころか、プライマーの方が決定的な歴史改変を受けて完全消滅という皮肉な結末を辿ったのである。
皇帝都市を撃沈されたインベーダーにしろ、アースイーターの撃沈で割に合わないと悟り撤退したフォーリナーにしろ、存在ごと消し去られたプライマーは過去作の侵略者連中と比べ物にならない反撃を受けたと言える。
時間移動戦法を訝ったプロフェッサーは『人類がEDFを戦力化する前に襲えばもっと楽に勝てるはずではないか』という当然の疑問にもたどり着いたが、むしろこの疑問をきっかけに、『プライマーはパラドックスを防ぐため、墜落船の残骸を発見する前の人類を攻撃するという根本的な攻略法を採れないのだ』という結論に達している。
- EDFは墜落宇宙船の発見を機に組織された。プライマーが未来で「対エイリアン用軍隊=EDFの遺物」を発見してこの事実に気づいたなら、宇宙船発見とEDF設立は常にワンセットとなり、「EDFの遺物」が生じるより過去に戻るのはタイムパラドックスになる。
- 上記のワンセット状態であれば、「発見前にシップの残骸を回収・破壊」「墜落を防ぐ」といった行動もすべてパラドックスを起こす。
- 人類文明の痕跡が消滅するような大ダメージを与えると「人類文明の遺物に興味を持って過去の地球にタイムスリップ」が起こらなくなる。これは「宇宙船の墜落が起きない」→「プライマーに気づかない人類は滅ぼされない」→「人類が健在なので過去観察に行き墜落」というパラドックスになる。つまり大量破壊兵器のような予定外のダメージを与えそうな手段はご法度となる。
歴代で最も人類とEDFを追い詰めたプライマーだったが、実際は時間に関わる問題で自軍もがんじがらめであった。
EDF5のプロモーションでは火星を舞台とした映画『スターシップ・トゥルーパーズ レッドプラネット』とのコラボPVが公開されていたのだが…上記の火星攻撃を受けて、トゥルーパーズのジョニー・リコ大佐らは大丈夫なのだろうか?