ホクト株式会社(英:HOKUTO CORPORATION)は日本の企業であり、食用きのこの製造で知られているが、当初は食品包装資材の製造・販売がメインだった。ローマ字の綴りはHOKUTOとロゴマークに書かれているHOKTOが混在している。
ロゴマークはローマ字の「HOKTO」があしらわれており、一目見ただけできのこ専門の企業と認識できるようにTの部分がきのこのイラストになっている。2002年の後述のCMの第1弾では「きのこ組」のキャラクターの内の1人(「ホクトくん」と名付けられていた)の色が赤に変わり、このロゴマークになる「ホクトくん登場篇」が制作された。
社名は北斗七星から来ており、その第7星「搖光」が古来時刻の基準とされたように、業界の指針を担うという自負を込めている。
概要
1964年7月22日、包装資材の販売を手がけるデラップス商事株式会社が長野県長野市に設立される。4年後の1968年にきのこ栽培用ポリプロピレンびんの製造を開始。地震などでも割れないメリットが評価される。1972年に社名をホクト産業株式会社に変更した。
1983年には「きのこ総合研究所」を設立。きのこの新品種の開発から製造、販売といった事業も始め、1986年にはエノキタケ、1990年にはブナシメジ、1999年にはエリンギの新品種が開発された。同年11月に東京証券取引所1部上場を果たしており、雪国まいたけが上場(※1)するまではきのこの製造を専門としている企業ではホクトが唯一となっていた。
- ※1:雪国まいたけは2000年3月に東京証券取引所2部に上場したが、2015年6月16日付で上場廃止。その後2020年9月に東京証券取引所1部に再上場した。
日本各地にきのこセンターが建設されている。ホクトのきのこは全てきのこセンターの清潔且つ自然に近い温度で管理された環境で栽培・生産されており、それによって洗わずにそのまま調理する事が可能なのが特徴の1つになっている。この姿勢も多くの関係者や顧客から高い信頼と評価を得ており、売り上げ面も含めてきのこ業界の最大手企業へと成長した。
2002年からは、商品のきのこをキャラクターにした「きのこ組」を登場させイメージソング「きのこの唄」をテレビCMで放映することによって知名度が急上昇。また、この年の4月からブナシメジを改良したブナピーを栽培、7月10日から販売を開始している。同年9月には社名をホクト株式会社に変更した。
2012年秋には日本産ヒラタケと、エリンギなどヨーロッパ産ヒラタケ属との交配育種により開発された霜降りひらたけの販売を開始。特許出願および品種登録出願も行った。従来のひらたけと違い傘が肉厚で形が崩れにくく、日持ちが良くなっている事が特徴である(参照)。これ以降「ホクトプレミアム」シリーズとして2017年9月には本しめじ(数量限定)、2018年9月には乾燥しいたけ『一番採り 生どんこ』が発売された。
2013年春から、主婦役に鈴木砂羽、”きのこの精”役で要潤を起用したCMを放送。この頃から広告で「菌活」という言葉を多用するようになる。10月25日には扇情的な描写で話題を呼んだ「立派なキノコ」のCMを放送するが、「下品」「子供に見せられない」「卑猥すぎる」などの苦情が一定数寄せられ放送中止となる。
2014年7月25日に自社で栽培したエリンギが食用キノコとして世界最長記録(59センチメートル)を達成したと発表。ギネス世界記録に認定された。
同年9月からはGACKTを起用した霜降りひらたけのCMの放送を開始。目隠しをしたGACKTが霜降りひらたけを食べ、その深い味わいから「滅多にないきのこ」だと確信するが、目隠しを外してスタッフからスーパーで売っているきのこだという事実を知らされると「まじで・・・」と驚き、商品名がナレーションされた後に「買ってきちゃった・・・」とGACKTが霜降りひらたけを持って呟くという内容だった。実際にGACKTはこの撮影の1テイク目に食べた霜降りひらたけの味に感動し、以後の数テイクの撮影によって完食している。好評により2015年もGACKTを起用したCMを放送した。
また、同年には空手家の宇佐美里香を起用したテレビCMも放送された。
2016年には遠藤憲一をテレビCMとWebムービーに起用。彼が演じるキャラクター松茸狩り名人のシュールさが話題になる。
2019年10月13日には令和元年台風第19号により千曲川が決壊し、長野市にある主要商品のエリンギ生産工場の設備や研究施設等が浸水し9万本のエリンギもろとも泥まみれになる被害を受け、工場機能が壊滅。約450トンのエリンギが廃棄処分される。この影響で合計で24億円の特別損害が発生した。その一方でエリンギの生産を他工場での増産対応での代替で凌ぎ、保険による補填などもあって災害での利益への影響は限定的なものになった。8ヶ月もの間施設や栽培用の瓶の洗浄・消毒を重ね2020年6月15日に生産を再開した。
2020年の春からはCOVID-19感染予防や免疫力の向上にきのこの成分が有効である観点から購入者が増加し品薄が相次いだ。10月には田中哲司と堀内敬子が夫婦役でCMに出演し「お子ちゃまには分かるまい」などのフレーズの歌を歌い「ホクトプレミアム」の商品の魅力を伝えている。同時期には翌年に三重県多気町の工業団地「多気クリスタルタウン」に新工場を建設する事を発表。2021年8月に完成し、9月16日に稼働を始めた。
関連タグ
北村晴男:社外取締役。2022年10月から自身のYouTubeチャンネルできのこを使った料理を調理・紹介する「Haruo’s kitchen」という企画を行っている。