概要
“ボリウッド”とは、映画製作地としてのインド・ムンバイの俗称である。ムンバイの旧名ボンベイと、ハリウッドをもじって名付けられた。
インドでの映画製作の中心地であり、ここで制作されるヒンディー語・ウルドゥー語映画を「ボリウッド映画」とも呼ぶ。ボリウッド映画は、インド映画の中でテルグ語映画と一二を争う製作数を誇る。
ヒンディー語はインドの公用語で、かつてのムガル帝国公用語であったウルドゥー語をもとにペルシア語・アラビア語由来の語をインド在来のサンスクリット語由来の語で置き換える形で「インド化」させた言葉である。
元々19世紀以降ウルドゥー語による詩作が盛んにおこなわれてきたこともあり、イギリスからのインド独立後にそうしたウルドゥー語詩の詩人たちが映画産業に携わるようになったことから、標準的なヒンディー語に比べてウルドゥー語寄りの語彙が使われる傾向にある。また、「インド映画といえば歌」というイメージも、ウルドゥー語詩が音楽にのせて歌われることの多いものだったという事に由来する側面がある。
なお、ムンバイを州都とするマハーラーシュトラ州の言語はマラーティー語であり、ボリウッド映画は、ヒンディー語ネイティブでない人々が作る教科書的会話での映画だ、という指摘もある。そのため近年では、ヒンディー語地域であるデリーなどでのリアルな会話の反映を目指す動きや作品もでてきている。
ややこしい事に「ボリウッド映画」は「インドの娯楽大作映画」の俗称として使われる事が多いが、日本でヒットしたインドの娯楽大作映画は狭義の「ボリウッド映画」の定義から外れるものが多い。
たとえば、「ムトゥ 踊るマハラジャ」「バーフバリ」「RRR」の3つは厳密にはボリウッド映画ではない。