概要と生態
ロシアやチベット、ネパールや中東にかけて棲息しているヤマネコの一種。
「マヌル」はモンゴル語で「小さいヤマネコ」の意味。モウコヤマネコとも言う。
体長は50~65cm程度で、耳が横に伸びている。寒冷地でも耐えるために体毛が長く密集しているため、丸々と太ったような外見に見える。
ネコの仲間では最も原始的な種であり、瞳孔は縦長にならず丸いまま収縮・拡大する。
かつてペルシャ猫の祖先だと考えられていたこともあったが、現在は否定されている(全てのイエネコは普通にリビアヤマネコの子孫という結論が出ているため)。
高山帯などに生息しており、主に小動物や鳥類を捕食する。かつては毛皮目的で乱獲されたため、個体数が減少しており、現在はレッドリスト「準絶滅危惧種(NT)」に指定されている。また、一般家庭での飼育は禁止されている。
免疫力が低く感染症に非常に弱いため、繁殖の難しい生き物とされている。日本国内ではわずか十数頭しかおらず、各動物園では衛生に細心の注意が払われながら飼育されている。
例として那須どうぶつ王国で飼育されている雌のポリーは2017年に4匹出産したが、感染症によりすべて死亡した。2019年は7匹を出産したが5匹が感染症で死亡した。生き残った2匹はそれぞれ「エル」「アズ」と名付けられた。
日本では知名度が低かったが、2020年頃から密かに注目されるようになった。
変顔で有名なチベットスナギツネと生息地が被っている事も理由の1つだろう。
NHKアニメ『マヌ~ルのゆうべ』や、『けものフレンズ』でもマヌルネコが登場するなど、メディアミックス関連でも少しずつ知名度を上げている。
4月23日は国際マヌルネコの日に指定されている。
狩りをする際に尻尾を猫じゃらしのように動かしネズミに催眠術をかけたかのように困惑させ、ロボットのような動きで接近、一気に仕留めるという興味深いテクニックを見せる。