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モロゾフ

もろぞふ

1.ロシアやウクライナなどで使用されている姓。2.日本の菓子メーカー。 この記事では特に2.について解説する。
目次 [非表示]

モロゾフ(Morozov、Morozoff)とは

  1. ロシアウクライナなどで使用されている。(:Морозов)
  2. 日本神戸に本社を置く菓子メーカー。モロゾフ株式会社。 → 本頁で記述

「モロゾフ」という名の人物編集

実在の人物編集



モロゾフ株式会社編集

関西の家庭によくあるアレ

兵庫県神戸市に本社を置く洋菓子メーカー。

白系ロシア人であるフョードル・ドミトリエヴィチ・モロゾフ一家が神戸で経営していたチョコレート店を起源とし、会社名はその姓に由来する。

菓子の販売店舗を中心に、カフェレストランを全国に展開している。


代表的な商品は、レモンの香りと酸味の効いた、デンマークチーズたっぷりの濃厚なチーズケーキ、こってりと甘く滑らかな触感が自慢で、食べ終わった後はガラスの容器がコップとして使われることで有名なプリン、上質な素材で作られたチョコレートなど。

同社はバレンタインデーにチョコレートを贈る習慣を始めた会社のひとつとしても有名。


創業者がロシア人でありながら、ロシア菓子に特化していない理由については次項目を参照。


モロゾフ家の悲劇とコスモポリタン製菓編集

元々モロゾフは、革命を逃れた白系ロシア人である、フョードル・ドミトリエヴィチ・モロゾフ一家が神戸で経営していたチョコレート店であった。


モロゾフ一家は、材木会社専務の葛野友槌からの出資を受け、1931年8月8日に神戸モロゾフ製菓株式会社を設立。経営は順調だったが、会計帳簿を見せようとしない葛野にモロゾフ一家は不信を募らせ、業績を低く見せかけているのではないかと疑うようになる。さらに会社の運営方針をめぐって両者は対立し、争いは裁判に持ち込まれた。


しかし、モロゾフ一家は日本語の読み書きができなかったため、これが裁判で不利に働き、結果経営から手を引くこととなってしまった。モロゾフ一家は神戸モロゾフ製菓から離れるだけでなく、「モロゾフ」やそれに類似した商号を使用しての菓子販売、および神戸モロゾフ製菓と同様の事業を行うことを禁止された(名義料や土地建物などは譲渡されていた模様)。こうしてモロゾフ家は、創業者でありながら菓子店「モロゾフ」から追い出された形となった。

  • この事件の背景には、葛野のモロゾフに対する政治的・思想的な敵意があった可能性も噂されている。
  • この裁判で深く傷ついたフョードルは、他人に対する不信感を生涯抱き続け、一方で家族の絆をことのほか重んじるようになる。

以降、菓子店『モロゾフ』はこうしたイメージを払拭するかのように、ロシア菓子とは異なる商品の開発を行っていった。


その後のモロゾフ家編集

モロゾフ家はその後、フョードルの子のヴァレンティン・フョードロヴィチ・モロゾフがチョコレート専門店「バレンタイン製菓」を立ち上げ、新たなスタートを切った。バレンタイン製菓は神戸大空襲で焼失するものの、終戦後間もなく「コスモポリタン製菓」として再建、高級チョコレートとロシア菓子の店として、神戸を代表する菓子メーカーとなった。しかし後に「失われた20年」と呼ばれた不況時代を乗り切ることができず、コスモポリタン製菓は2006年に廃業している。



余談編集

  • 対照的な例として、神戸発のもう一つの有名洋菓子店で、バウムクーヘンを日本に紹介したユーハイムの物語が挙げられる。同社は創業者のユーハイム夫妻と日本人社員たちの絆の強さで知られ、今も創業当初から受け継がれる理念にのっとった菓子作りが行われている。
  • 手塚治虫の晩年の名作「アドルフに告ぐ」の主な舞台は戦前・戦中の神戸市。主人公の一人であり、元町でパン屋を営むユダヤ人一家の息子、アドルフ・カミルのセリフで「神戸にモロゾフいう白系ロシア人の菓子屋がありますねん そこのおっさんから……」と、ちらりとモロゾフ家の名が登場している。
  • 亡命白系ロシア人の悲劇としては、日本球界にその名を刻む300勝投手、ヴィクトル・スタルヒンの物語もよく知られている。日本で育ち、無国籍ながら自身を日本人と認識していたスタルヒンは、幼いころから様々な差別に悩まされながらも驚異的な活躍を見せた。しかし、戦時中は「敵性国民」として軟禁されるなど、日本と言う国が彼に与えた待遇はあまりにも無残なものだった。


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