概要
リオン(LION)
マガジンZで2002年7月号~2004年1月号まで連載された作品。
全5巻
本作は「ガルガンチュア・ポケット編」・「脱出編」・「復讐編」の3本で成り立っている。
序盤は過酷なガルガンチュア・ポケットでの生活や出来事を、脱出編はガルガンチュア・ポケットからの脱出を。
復讐編は主人公の「リオン」が自らの家族を殺し、自身をガルガンチュア・ポケットに落とした者たちに復讐をする物語である。
コンセプトとして和田慎二は「男はみんな殺そう」と言っていたが、全員が死んだわけでは無く、最後まで生き残った男性キャラもいる。
また、恋愛・友情対象が女性となっている為、やや百合的な描写のある作品であるとも言える。
巻末には連載までの経緯や出来事を記した両氏が描くオマケ漫画が載っており、余談でのやり取りは巻末漫画に収録されていた物である。
5巻には島崎譲作の読み切りとして岡田以蔵の一生を描いた「閃の一生」が収録されている。
ストーリー
凶悪犯や表沙汰で処分出来ない政治犯等を集め、隕石孔を利用した刑務所「ガルガンチュア・ポケット」に放りこまれた少女「リオン」
そこは刑務所とは名ばかりで、穴に落とされた物は野生さながらに生きていく他ない場所だった。
彼女は何故、そんな場所に落とされたのか?
そして、彼女をそんな場所に送り込んだ者たちは誰なのか?
過酷なガルガンチュア・ポケットで生き抜く事は出来るのか?
設定
キュドラム
作中にある架空の国。
風光明媚なヨーロッパの小国で、観光国家として知られる。
しかし、昨今の人権擁護意識の高まりで周辺国家が死刑を廃止した事に伴い、生かしても殺しても厄介な囚人が増加した事に目をつけ、大金と引き換えに、それらの囚人を引き取る密約を結び、「ガルガンチュア・ポケット」に収監する事にした。
これは各国のトップシークレットであり、裏社会のトップですら、「ガルガンチュア・ポケットの存在は確実だが、場所はわからない」と言ったほど。
ガルガンチュア・ポケット
キュドラムにある隕石孔を改造した監獄。
監獄とは言う物の、実態は「厄介な囚人のゴミ捨て場」に等しく、風呂や食堂と言う福利厚生施設等は一切無く、看守によって生活管理がされてる訳でも無い。
出口に向かってオーバーハングする穴は、人間の力で登りきる事は到底不可能。
周囲にそり立った壁だけで数十mはあり、さらに出口付近に設置された監視施設がある為、仮に登りきる者がいたとしても銃殺される運命である。
監視施設には多種多様の兵器が配備されており、機関銃は元より対空ミサイルも存在する。
その為、戦闘ヘリコプターで押し寄せる奴らがいても、あっという間に殲滅される事となる。
主に収監されるのは、凶悪犯、政治犯の他、国家に逆らった者等も放り込まれる事がある。
収監方法も、ヘリコプターで上空からパラシュートを付けた囚人を放り投げると言う粗雑な物で、崖の端に引っかかって餓死してしまう者もいる。
囚人は投下される前に、胸に「G.P+番号」がついた刻印を撃ち込まれる。
全収容人数は決まっており、中にいる人員の生命反応は施設内部の機械で逐一監視されている。
内部で1人死んだ場合は新たに1人引き受ける事になるが、現在順番待ちが出来ている有様で、第二、第三のガルガンチュア・ポケットの計画が持ち上がっている程。
ガルガンチュア・ポケットでの生活
基本的に原始的な生活に終始する事となる。
湧き水はある物の潤沢では無く、長老管理し、全員で細々と分け合っている。
たまに降る雨は貴重な水の補給機会であると同時に、体の汚れを落とす時間でもある。
食事は主に洞穴内部に生息するムカデ等の虫や小動物で、たまに飛んでくる蝙蝠などは「御馳走」である。また、小規模ながら食べられる野草を栽培してもいる。
空から落ちてくる囚人たちは、「皆の物」であり、パラシュートや服等の身包みを剥がれる事となる。
それらの布地で囚人たちの服は出来ている。
稀に上空で戦闘があり、機械が落ちてきた場合、武器等は使い物にならない程破壊されているのが殆どだが、解体、加工して金属製の道具を作る人もいる。
(製作されていた道具は、タガネ、ツルハシ、スコップ、ナイフ、ロープ、マッチ等)
住んでいる場所は周囲の壁の一部を削り取った洞穴で、当然鍵等も無い為、凶悪殺人犯に狙われて死ぬ人もいる。
尚、男女に分かれている訳もなく混在したまま収監される事になる。
囚人等の「大きい物」は全員で分けるのがルールだが、落ちてくる小さい物は「第一発見者」の物となる。
(鳥など)
しかし、同時に見つけた場合は実力行使で所有権を決める為「祭り(フェスタ)」と言うイベントが始まる。
これに勝てば改めて所有権を得る事が出来る。
全体の規律は囚人たちに一任されており、「ルールは命より重い」と言う部分がある。
登場人物
リオン
本編の主人公。
囚人番号は666
獅子の様なウェーブのかかり、赤みがかった金色の髪を持っていたので、収監後は「リオン」と名乗る。
本名は「須磨 樹里亜」で、日本人の父「須磨 悟」とイギリス人の「須磨 グレース」の間に生まれた日英ハーフ。
両親が音楽家で、その演奏の為に世界中を回っていくのについて行ってたせいか7か国語を話す事が出来た。
収監されてる内に多数の国の人と出会い、15種以上の言葉を話せるようになった。
(作中確認されているのは、日本語、英語、フランス語、スペイン語、中国語(広東語か北京語かは不明)、イタリア語)
10歳前後の頃にガルガンチュア・ポケットに落とされた、最年少囚人。
余りに幼い少女がガルガンチュア・ポケットに落とされる事は今までにない事で、ヘリから投下する役目の軍人が戸惑ったほど。
「絶対超音感」と言う特殊能力があり、超高音域の声を出せる他聞き取る事も可能。
蝙蝠を呼び寄せたり出来る他、動物の怪我を早く癒す事が出来たりもする。
地下で7年間暮らす内にタフに成長し、ガルガンチュア・ポケットでも一二を争う強さを誇る様になる。
これは主にある中国拳法家のトラブルを解決した際に、強く無ければ生き残る事は出来ないと望んで教えてもらった拳法が元。それ以外にも投げナイフ等を扱う事も出来る。
バイタリティも非常に高く、着衣水泳で海に落ちた人物を救助を軽々と行う他、過酷な環境下で生きてきたせいか、灼熱の殺人サウナを余裕で耐える程の身体能力を見せる。
反面、上流階級のマナー等はワイルドな生活を続けた為か完全に忘れ去ってしまっており、外界に出た際はマナーの猛特訓をする羽目になった。
また、羞恥心も薄く、乳房を見られようが、裸を見られようが恥じらう事が無い。
これは、ガルガンチュア・ポケットでは大半の人間が半裸か全裸の様な格好をしていたからかと思われる。
かつて父と母を殺した殺人者の「足音」を克明に覚えており、それが元で窮地を脱する程の力を出す事もあった。
ただ、その事件が起きた情景はショッキングで暫くは思い出す事も出来なかった。
ガルガンチュア・ポケットでの生活はある程度自分自身を抑えていた様で、ある種「復讐」を忘れる様な面もあったが、
セリカとの出会いで再び火がつき、ガルガンチュア・ポケットを脱出する為の方法を模索する事となった。
小さい頃の髪型はショートだったが、ガルガンチュア・ポケットでの生活ではポニーテールにしていた。
外界に出た後は、髪を下ろしたロングになっている事が多い(まとめる事もある)
自身の美しさには無頓着で、それが他者の嫉妬を揺り起こしている事に気付かない面もある。
同性に好かれる様で、改めて学校に入学した際も女子に人気者であった。
オルガ
リオンのライバルで親友、囚人番号は無し。
これは、地獄の様なガルガンチュア・ポケット内部で生まれた人間の為。
胸の刻印が無い事は本人にとってはコンプレックスで、その為に刻印を無理矢理刻もうと自傷行為に走る事もあった。
リオンと同等の力量の持ち主で、フェスタが行われるとリオンとオルガが大抵残る事になる。
両親は既に死去している様で、幼少期は元荒くれ者の「ゾルバ」が守っていた。
外界の事を知らない為に、外界の話にあまり興味は無い。
(ただし綺麗な花とかには興味があったので、出てみたいと思う事はあった)
ガルガンチュア・ポケットだけが彼女の世界の為、ガルガンチュア・ポケットでは御馳走である虫や小動物の煮込みを嫌悪する人を不思議がったりする。
リオンから見ても美少女であり、ガルガンチュア・ポケットで咲いた可憐な一輪の花の様な少女。
リオンと同じくらいの年齢と言う事もあり、二人で良くつるむ事もあるほか、寒い夜は二人で寝る事もあった。
ある時、死に至る病にかかった事があるが、命がけでリオンが救った事もあり、強い信頼関係で結ばれている。
フォルテ
ガルガンチュア・ポケット上空で、他の鷹にイジメられていたアルビノの鷹。
「異端は必要ない」と言う信念を持つ所長である、ドルマ・アガディによって撃ち抜かれ瀕死の重傷を負ってガルガンチュア・ポケットの底に落ちてきた。
リオンに助けられてからは彼女だけに懐くようになる。
外界に出てからも共にいる仲である。
ミザレ
ガルガンチュア・ポケットに入れられた女性。
囚人番号は不明
かつてはフランスの国民的オペラ歌手だったが、レジスタンスを匿った為にガルガンチュア・ポケットに落とされた。
リオンの名付け親でもあり、彼女を守る為に共に生きる事を誓った。
リオンと同じ絶対超音感の持ち主。
第二の母親と言っても良い程にリオンは彼女を慕い、また彼女もリオンを己が子のように愛している。
リオンがガルガンチュア・ポケットからの脱獄を決心したのを察し、自分の分の物資を分け与えた他、彼女の死を偽装した。
リオンは彼女の事を「ミザレ・ママ」と呼ぶ。
長老
ガルガンチュア・ポケットの最年長者。
囚人番号は不明。
水の管理等をしている他、知恵があるのか様々な場面で頼られている模様。
リオンには、ガルガンチュア・ポケット内で生き延び子を産み育てる事が彼女を地獄に落とした者たちへのささやかな復讐になると説いていた。
セリカ・プレザンス
ガルガンチュア・ポケットに落とされた全米を仕切っていた元マフィアのドンで女性。
闇財産はマンハッタンをそっくり買える程。
囚人番号は1206
ガルガンチュア・ポケットに落ちる際に、乗組員を巻き込み殺害する他、何故か彼女を狙う戦闘ヘリがやってくると言う規格外の人物。
更にはかなりの巨体であり、顔もお世辞にも美しいとは言えない。
しかし、恐るべきカリスマ性を持ち「自分がここを仕切る!」と所長に啖呵を切って、多数の銃弾を受けても死なないタフネスを誇る。
ガルガンチュア・ポケットを支配し、物資の分配も一方的に仕切る様になるが、コソ泥を半殺しにしたりする等、苛烈ながら治安も強化された。
また、子供の分の物資は増やした為、簡単に善悪を語れない人物でもある。
かつて流産した事があり、以降子供を産めなくなった事が子供好きに繋がっている。
リオン相手には凄んでも無駄とわかってからは、気の合う友人として接してきたが、忠臣のニーナが起こした事件の為、二人の仲は決裂する事になる。
リオンには自分の奥歯の義歯を渡し、「N.Y.へのパスポート」として手渡した。
ニーナ
セリカの忠臣にして狂信者。
囚人番号は1205か1207
セリカと共に落ちてきた囚人で、セリカの事は様付けで呼ぶ。
誰よりもセリカの命令に忠実であり、セリカの事なら死をもいとわない反面、自分以外の誰かがセリカの横にいる事に嫉妬する面もある。
その美貌で「セリカ派」とも言える男性集団を作り上げ、ガルガンチュア・ポケットをセリカの王国にしようと暗躍する。
しかし、あっという間にセリカと打ち解けてしまったリオンを疎んだ他、彼女たちがガルガンチュア・ポケットの中心人物と見ると暴行を加えようと部下を扇動した。
結果として、これが原因でママ・ミザレが傷つきセリカとリオンは対決する事になる。
薬学に秀でているのか、ある物を自室で煮込んでいたが…
ドルマ・アガディ
片目に傷のある強面のガルガンチュア・ポケットの監視所長
射撃の名手であり、その腕前は百発百中。
反面、意外と不器用と言う一面がある。
冷徹かつ冷静な男で、ある事態が起きた時も、原因となった者を撃ち殺す事でトラブルを収めた。
しかし、その傲慢で軽率な一つなミスで彼の経歴は地に落ちる事となり、リオンを追う復讐者となる。
ズブロ・ブロッカ
ガルガンチュア・ポケットの囚人で、年老いた小男。
囚人番号は596
全員が従事している日課等を手伝わない怠け者で、資材をちょろまかすコソ泥でもある。
監獄では常に厄介者で、嫌われており、石を投げつけられるなどは日常茶飯事。
しかしガルガンチュア・ポケットの事は「天国みたいな所」と言い、出たいとすら思わない程。
彼が行っていたある事が原因でリオンは脱出のヒントを得る事になった。
ロズウェル
ガルガンチュア・ポケットで医者の役目を背負う男。
僅かに手に入る物から薬を作り出す等、ガルガンチュア・ポケットでは無くてはならない人物。
オルガを小さい頃から見ていた為、大切に思っている。
しかし、医者として大多数を救う為、苦渋の決断でオルガを見捨てる判断をした事もあるが、基本的には良識的な人物である。
ノア・ウォンリー
ニューヨークでリオンが出会った弁護士業を営む男。
よれよれのスーツに無精ひげ、ぼさぼさの頭でリオンと相対したが身なりを整えれば、結構美形の男性である。
セリカの忠実な部下であり、彼女の闇の財産を全て引き受けていた金庫番。
彼もセリカの事を慕っていたが、セリカの賭けと願いを聞く為に捕縛されない様立ち回った。
(ニーナを止める様にも言付かっていたが、それは果たせなかった)
セリカの様なムチャや苦労をかける女性に付き従うのが好みで、リオンからは男として意識されず(全裸で胡坐をかいて、自分の目の前で新聞を読みだしたりする屈辱感を楽しんでいた)、自分を踏み台として平気で足蹴にする様に心の底から喜ぶと言うド変態でもある。
そんなリオンを新たな主人として推薦したセリカには心の底から感謝している。
リオンに上流階級のマナーを完璧に覚えさせた他、彼女の頼み事なら何でも無条件で引き受ける有能な部下でもある。
須磨 悟
須磨樹里亜の父親で、音楽家…つまりはリオンの父親であるが、須磨一家を乗っ取る為に手配された「偽物」である。
容姿は確かに似ているが、軽薄さが隠せない小物で、内面は似ても似つかない。
替え玉の奥方との仲は余り良く無いが、多額の金銭を自由に使える生活の為に小言の言い合い程度に留まっている。
実際の所、現在の須磨樹里亜の事にも興味はないが、表向きには、その態度を取り繕っている。
今現在は資産家らしく、ある程度豪遊するのが仕事。
須磨 グレース
須磨樹里亜の母親で、音楽家…つまりはリオンの母親であるが、須磨一家を乗っ取る為に手配された「偽物」である。
容姿は似ている物の、美しさでは劣る他、ややヒステリックかつ軽薄。
現在の須磨 悟との性生活は余りない様で、山田泰三の愛人でもある。
須磨 樹里亜
須磨一家の娘、つまりはリオンの偽物である。
善悪の判断がつかない頃に突如として息苦しい家庭環境に放り込まれた。
美少女で性格は大人しく、気品を伴うが、山田泰三に強姦されそうになり、海への投身自殺を図った際、リオンに救われる。
男装をしていたリオンに心を奪われ、以降は一途に思うようになった。
リオン以外にフォルテが懐く唯一の人物でもある。
爺や
昔から須磨家に仕えていた執事で、足の弱い年寄。
リオンが幼い頃は彼女の世話をしており、常につきっきりだった。
須磨一家が虐殺された事や、他の使用人が消された事に気付いていたが、
自身の命惜しさに黙って付き従っていた。
最古参の彼が消されなかったのは、周囲に怪しまれない為。
7年ぶりに出会った本物の須磨樹里亜こと、リオンに出会った時は生きていると思わず、歓喜の涙を流した。
山田 泰三
日本の財務省官僚でガルガンチュア・ポケットに多額の出資をしている出資者で、それで多額の金銭を得ている。
ドスケベの禿デブ親父と言う様子が似合う人物で、下品な下ネタを連発する品性の欠片も無い人物である。
アマンダ・ヤンに下ネタを飛ばし、須磨樹里亜を強姦しようとするなど性欲の権化。
リオンが聞いているとも知らずに、母を凌辱する様な言葉を言ってしまった為に、復讐の第一犠牲者となってしまった。
坊ノ津 豊
日本の大銀行である、大東国銀行の副頭取。
ガルガンチュア・ポケット出資者の一人。
猫背で鉤鼻の中年で、山田泰三と良くつるんでいた他、他の出資者とも多大に繋がっていた。
基本的に今の須磨一家の資金の出どころは彼である。
ジョン・ターナー
イギリスの貿易商で、ガルガンチュア・ポケット出資者の一人。
心臓に持病を抱えている為に、常に薬を持ち歩いている。
極度の恐怖や興奮で発作が出てしまう。
オカルトにどっぷりハマっており、交霊会を開いている。
アマンダ・ヤン
香港財界の女帝でガルガンチュア・ポケット出資者の一人。
美しい容姿をしているが、その美しさを維持する為に多額の金銭をつぎ込んでいる。
チャイナドレスを良く着ている。
高級エステを多数経営しており、真珠香と言う特性の泡風呂で多額の儲けを得ている。(全世界に100店舗を展開している模様)
しかし、真珠香の正体は麻薬成分がふんだんに入った物で、セレブの上客を麻薬中毒にして稼いでいる。
若さを憎み、若いだけで美しさを享受する女性が許せず、「真珠香の無料体験」を餌に若い女性を灼熱のスチームサウナに入れて殺害する悪癖がある。
(わかっているだけでも26件)
バーナード・ウォルター
アメリカの軍事企業のオーナーでガルガンチュア・ポケット出資者の一人。
やや太っているが歴戦の戦士でもある。
特殊部隊並の私兵を常に傍に置いている他、細心の注意を払い、最後の一人が会社から帰るまで決して自室から出ないと言う用心深さを持つ。
暗殺者
特徴的な足音を持つ男で「カツーン…カツーン…」と言う足音はリオンの記憶に奥深く刻まれている他、ガルガンチュア・ポケットの出資者にも知れている。
その腕前は何よりも恐れられており、彼が狙って生き延びた者はいない。
須磨一家殺害の実行犯で、殺害した理由は須磨悟がガルガンチュア・ポケットの資金提供を拒否し、その真実を世界に公表しようとした為である。
余談
製作までの話が巻末漫画としてある程度まとまっている。
征神記ヴァルナスを描き終えた島崎譲は、次回作に何も考えていなかったが、「何も考えてない」とはプロ作家として口が裂けても言えず、何となく描きたい物で織田信長を出した物の担当には見抜かれており、やる気を出す為もあってか、島崎譲が大ファンである和田慎二原作のプロジェクトを担当が持ち込んでスタートさせた。
当初は少年漫画を舞台に活躍する島崎譲と、少女漫画を舞台とする和田慎二と言う事で、
「自分の原作じゃ島崎先生が嫌がるだろう」と言う事で和田慎二が断ろうとした物の、島崎譲が和田慎二の大ファンで、楽しみにしてると言う事から早々に始動。
島崎譲のリクエストにより、「復讐物社会派ハードアクション」で「銀色の髪の亜里沙」と「スケバン刑事」を足して2で割った感じの作品と言う根幹は早々に決まった物の、中々アイデアが浮かばず、徹夜で島崎譲の漫画を読み直した和田慎二が決めた事は「主人公は女」と言う点だけであった。
重要な設定が浮かんだのは「本格的な打合せの日の当日の朝」であり、「ガルガンチュア・ポケット」と言う突如浮かんだ単語を軸に設定を即興で組み上げていった。
この当日の朝思いついた話を、長年考えた様に大風呂敷を広げた為か、後日改めて担当が伺った所、和田慎二は詳細な設定を覚えていなかったらしい。
(担当がメモを取ってたので事なきを得た)
主に和田慎二が念押しした部分は以下
「ヒロインはおっぱいとお尻が大きい美少女」
「綺麗な女、可愛い女ばっかり出そう」
「男は全部殺す」
尚、脇役でこっそり美形男性キャラを出そうとした島崎譲は電話で呼び出されたらしい…。
連載途中で和田慎二と島崎譲共に腱鞘炎を発症、悪化させてしまうも、ペースダウンして連載を続けた。(原作の方は口述手記で行った)
腱鞘炎悪化の為か、後半はやや急展開で物語は進行したが、綺麗にまとめて終わらせている。
なお、島崎譲、和田慎二ともに顔見知りでは無いが、和田慎二はきちんと島崎譲の作品を読んでいた模様。
関連タグ
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モンテ・クリスト伯…脱出困難な牢獄に閉じ込められた人物が脱出し、名士として返り咲き復讐していくと言う点で類似点がある。