若さというものは素晴らしゅうございますな、陛下。あの若者を見ていると心からそう思います。この世に不可能などないように見えますな。
CV:槐柳二
概要
外伝「千億の星 千億の光」に登場する銀河帝国の軍人。
准将から少将に昇進するまで(本編開始の2年前)のラインハルト・フォン・ミューゼルの上官。
ラインハルト以外の部下にはヘルマン・フォン・リューネブルク准将(後に少将)、ウルリッヒ・ケスラー大佐らがいる。
皇帝・フリードリヒ4世の登極前からの旧友であり、即位の望みがなく放蕩三昧の生活を送っていたフリードリヒに女や酒の世話や借金の肩代わりをするなど、公私にわたって仕えた人物である。また自身も子爵家の3男という、本来であれば飼い殺しのような人生を送らざるを得なかったことも、フリードリヒと親しくした一因と思われる。
しかしフリードリヒが兄・リヒャルトと弟・クレメンツが帝位争いで死亡したことで棚ぼた式に皇帝に即位したのと同じく、グリンメルスハウゼンも兄2人が死亡したことにより子爵家を継ぎ、引き続きフリードリヒに仕えることとなった。
フリードリヒ4世の治世は40年ほど続き、称賛されるような善政もなければ、民を苦しめるような悪政もない灰色の時代でもあった。
その間、侍従武官となったグリンメルスハウゼンは中将に昇進、昇進理由は軍功を立てたからではなく、「もう年をとって長くないから」という皇帝・フリードリヒ4世の鶴の一声であった。
ヴァンフリ-ト星域会戦にも同じ理由で参戦、戦力外と判断した帝国軍宇宙艦隊司令長官・グレゴール・フォン・ミュッケンベルガー元帥は、あえて敵のいないヴァンフリート星域にグリンメルスハウゼン艦隊を配置、しかし、衛星4=2には同盟の拠点があった。
グリンメルスハウゼンはラインハルト、リューネブルクら地上部隊を同盟軍の反対側に降下させ、攻略した結果、ラインハルトが後方支援の専門家である同盟軍基地司令・シンクレア・セレブレッゼ中将を捕虜にする戦果を挙げることとなった。
帝都・オーディン帰還後、グリンメルスハウゼンは大将に昇進、ここでも昇進理由は皇帝・フリードリヒ4世の「もう長くないから」であった。
ラインハルト、リューネブルクもまた少将に昇進、しかし、ラインハルトはキルヒアイスも大尉から少佐に昇進しなかったことに不満をもち帝国軍人事部に直談判するが、人事部長から「昇進させるのはかまわないが、少佐に昇進させるなら、これまでのようにキルヒアイス大尉を卿(ラインハルト)の副官にするわけにいかない」と言われてしまう。
正当な理由にラインハルトも引き下がるしかなかったが、グリンメルスハウゼンがキルヒアイスを推薦、少佐昇進後もラインハルトの副官を勤めることが可能となった。
少将昇進後、ラインハルトは軍務尚書・エーレンベルク元帥からイゼルローン要塞赴任の内示を受け出征、しかし、その間にグリンメルスハウゼンは夏風邪を拗らせて肺炎になって寝込み、ラインハルトの帰還を待つことなく死去してしまった。
人物
飄々とした人柄で、憎まれることはないが、評価されることもない無害な人物と評されていた。
軍人としては凡庸で、しかもヴァンフリート会戦時には76歳と高齢であり、上司であるミュッケンベルガー、部下であるラインハルトやリューネブルクからも軽んじられるほど耄碌していた
…ように思われた。
実際には、魑魅魍魎が跋扈する宮廷社会で長年生きてきただけあって、鋭い人物眼を有しておりラインハルトの高い才能と秘めた野心を鋭く見抜いていた。
またその飄々とした姿勢は他者には大いに侮られる要因となっていたが、それ故にグリンメルスハウゼンの前では口が軽くなる人物が多く、その結果宮廷内・貴族社会・政府・軍部問わずありとあらゆる禁断の秘密や醜聞と呼ぶべき事柄が集まってきたのである。
死の間際、グリンメルスハウゼンは上記の「様々な醜聞を記した文書(通称・グリンメルスハウゼン文書)」をラインハルトに渡すようケスラー大佐に託していた。
ケスラーはグリンメルスハウゼンの「これで卿の望みをかなえるように」との伝言とともにグリンメルスハウゼン文書を手渡そうとしたが、ラインハルトは「貴族に憎まれるのはかまわないが、恨まれるのは本意ではない」と断り、文書の保管をケスラーに託した。
「グリンメルスハウゼン文書」は後に、ローエングラム朝銀河帝国が編纂した「ゴールデンバウム朝銀河帝国史」の資料に利用されたという。
ミュッケンベルガーも、ラインハルトもグリンメルスハウゼンの能力の無さを見限っていたが、ものを見通す力はあり、ラインハルトがゴールデンバウム朝を打倒する野望をもっていることを見破っていた。
少佐昇進の感謝をしに訪れたキルヒアイスは、敵でもなければ味方でもないグリンメルスハウゼンの底深さを見通すことができずに当惑を隠すことができなかった。