概要
丘の上のレイラ(Leila on The Hill)とは、星出尚志(ほしで たかし)の作曲による吹奏楽曲。
「21世紀の吹奏楽実行委員会」の委嘱(いしょく)によって2001年に書かれた作品であり、同年開催された第4回「響宴」で初演されている。楽曲のグレードは3。
少子化の進む中学・高校のスクールバンド(吹奏楽部)のためのレパートリーとして書かれており、従来の「ウインド・オーケストラ」と呼ばれる70人から80人ほどの大編成ではなく、30人~40人ほどの編成である「ウインド・アンサンブル」を念頭に置いて作曲されているのが特徴である。スコア上の編成では28人となっているものの、各パートをバランスよく増やしていけばそれ以上の人数でも演奏することが可能となっている。
「レイラ」は女性の名である。ただ、この曲の「レイラ」は特定の人物を表しているわけではない。
純真無垢の少女かも知れないし、半生の回顧にふける老女かも知れない。あるいは丘の上に立つ像かも知れないし、はたまた丘の上に咲く一輪の花のことかも知れない。「レイラ」は象徴的な存在なのである。したがって、曲の各部分も具体的な情景を表現したものではない。自由なイマジネーションを働かせていただきたい。
(作曲者自身による楽曲紹介より引用)
曲の構成
冒頭~第1主題
Moderato ♩=88 4分の4拍子
メゾピアノのクラリネットによる静かな導入部に始まり、バスクラリネットとユーフォニアムの優しいユニゾンがこれを受け止める。
7小節目から現れるオーボエがこの曲全体を支配する動機を奏でると、あとに続くクラリネットやユーフォニアムがテンションのかかった和音の進行の上で受け継がれた動機をつむいでいく。
Poco piu mosso ♩=100
収まった導入部ののち、クラリネットによりレイラのテーマが新たな気分で奏でられる。
ホルン、サックスとフレーズを受け渡しながら曲は進み、ティンパニに後押しされたトランペットが吹き渡る旋律を悠然と歌い上げる。
力強くも優しい流れが過ぎ去ると、たたずむオーボエとホルンがしっとりと最後のフレーズを飾り、曲は新たな展開を迎える。
第2主題
Allegretto ♩.=132 8分の6拍子
トロンボーンとチューバによる怪しげなモチーフに続くようにして、クラリネットらの木管楽器によってスケルツォ風の元気な舞曲が展開される。
8分の6拍子の小気味良いリズムに乗りながら木管群と金管群がそれぞれ交互に顔を出し、パーカッションに押されて飛び上がったり静かに縮こまったりと、多彩な面を見せていく。
第3主題
これまでの明るい曲調から一転し、アルトサックスによりレイラのテーマが短調で奏でられる。
その憂いを秘めた旋律に続くようにしてクラリネットが入り、その下をファゴットとユーフォニアム、途中からホルンが3連符の絡みで支えていく。
シンバルとティンパニに乗せられるようにして高まりを見せると一気に静まり返り、ただ一本取り残されたユーフォニアムが切なげに流れていく。
第4主題
Allegro 2分音符=100 2分の2拍子
静けさを打ち破るティンパニの一打、テンションのかかったコード進行を見せる金管楽器の上で、クラリネットが鮮やかにフレーズを畳みかける。
対になるホルンの旋律、打ち鳴らされるチャイムが新たな展開の始まりを告げ、スネアドラムのリズミカルな刻みを伴いながらトロンボーンが決然と駆け抜けていく。
スネアドラムの刻みに見守られるようにしながら木管楽器と金管楽器が互いを追いかけるように現れ、躍動する旋律を代わる代わる奏でていく。
トロンボーンとホルンにより力強くレイラのテーマが奏でられると、曲は疾走感あふれるアレグロから雄大なトゥッティへと移り変わる。
弾けるクラッシュシンバルに彩られた各種の管楽器が風となって鮮やかに吹き渡り、全員でテーマを奏しながら美しく閉じられていく。
主な演奏団体(関連動画)
神奈川大学吹奏楽部(Kanagawa University Symphonic Band)
PRO WiND 023
東京佼成ウインドオーケストラ(Tokyo Kosei Wind Orchestra)
(※『東京佼成ウインドオーケストラが吹いてみた。 みんなのリクエスト編』 iTunesにて配信中)