概要
1995年(平成7年)に登場した京阪電気鉄道の通勤形電車。京阪の車両の中では在籍数が最も少ない。
「お客さまに優しい電車を目指す」を主眼に、7000系をベースに改良を加えて、8両編成2本、7両編成1本が製造された。
投入の経緯
輸送力増強のために、1995年2月に8両編成2本(16両)と、同年12月に7両編成1本(7両)が、川崎重工業兵庫工場で製造された。前面や内装に改良が加えられている。
8両編成2本の完成時、阪神・淡路大震災と重なり、最初の4両が寝屋川車庫に搬入された時点で神戸からの陸上ルートが寸断された影響で、残りの12両は川崎重工業兵庫工場南端の兵庫運河に面した桟橋から艀(はしけ)に載せられ、泉大津港まで海上輸送された。このため、史上初の「海を渡った京阪電車」となった。
車体・機器
車体は7000系を改良したもので、正面デザインは丸みを帯びたものとなって、後に製造された9000系や10000系、京津線用の800系に受け継がれた。先頭車の客室部分と中間車の車体は7000系とほぼ同一である。
制御装置は7000系と同一の東洋電機製造のGTO素子によるVVVFインバータである。そして「回生ブレーキ優先全電気指令式電磁直通空気ブレーキ」が一層の省エネルギー化を図っている。
主電動機は三相かご形交流誘導電動機で出力200kw、補助電源はGTOブースター式のSIVで140kVAである。
台車中心間距離は7000系より30cm長い12.6mとして、乗り心地の向上が図られている。
運転台のマスコンは、ブレーキとマスコンが別々の横軸ツインレバー式を京阪で初代3000系に続いて採用した(なお、初代3000系は定速制御に対応していたため、ノッチ扱いに相違がある)。また、本系列ではモニタ装置を運転台に設置された。このモニタ装置は本系列以降の新造車両にも採用されている。
内装
座席はロングシートで、シートモケットの色は長年続いていた緑系から変更されて、背ずりは青緑系、座面は青紫系の色となった。床の色は赤御影石を模した模様となった。扉上には停車駅をLEDランプで点灯される地図式の案内表示器と蛍光表示管を使用した文字表示器が併設された。また、各車両の大阪方に車いすスペースを設置、全側窓にパワーウィンドウを導入するなど、新しい京阪を象徴するものとなっている。後の5000系更新工事の際も本系列と同じ内装デザインが採用されている。さらに7000系では廃止されていた跳ね上げ式のつり革も復活した。なお、当系列より戸閉め予告ブザーの音が変更されている。これは、当系列以降の新造車および更新車、更には中之島線開業後の京阪特急用車両にも採用されている。
2005年の車両点検の際には日焼けなどにより座席の汚れが非常に目立っていたため、10000系で使用されている青色の生地へ交換されたほか、地図式LED停車駅案内表示は中之島線開通への対応のため、同系全車一般的な3色LED表示器に変更されている。その表示器は2基並列させ、左側は種別・行先表示、右側は次駅案内と沿線のイベントのお知らせなどを表示している。
2011年に7203編成を皮切りに6000系新塗装と同じ新モケットに張り替えられたが、2013年の7202編成の検査の際に、13000系と同一の模様の段付きモケットに変更された。
組成の変更
近年になって8両編成の一般車運用が減った関係で、2015年2月に7201編成が7両に短縮された。その際、京都方から3両目の7801号車が7851号車に改番の上、6両目に移動し、7両目の7951号車が7901号車に改番の上、3両目に移動された。また、抜き取られた7301号車は、9000系から抜き取られた中間車2両とともに制御機器をIGBTに更新の上改番され、10000系に編入されて10001編成の中間に挿入された。
2016年11月には7202編成も7連に短縮され、本系列から8両編成が消滅した。組成の変更パターンは前述の7201編成と同様である。抜き取られた7302号車も同様の手順で10000系10002編成に挿入された。
性能
編成 | 7両編成3本、計21両 |
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営業最高速度 | 110km/h |
設計最高速度 | 120km/h |
起動加速度 | 2.8km/h/s |
減速度 | 4.0km/h/s(常用最大)・4.3km/h/s(非常) |
全長 | 先頭車18,900mm・中間車18,700mm |
全幅 | 2,780mm |
全高 | パンタ付車4,185mm・その他車両4,086mm |
車体材質 | アルミニウム合金 |
軌間 | 1,435mm |
電気方式 | 直流1,500V(架空電車線方式) |
主電動機 | 三相かご形交流誘導電動機(出力200kw) |
駆動装置 | TD継手平行カルダン駆動 |
歯車比 | 85:14=6.07 |
制御方式 | 東洋電機製造GTO素子VVVFインバータ制御 |
台車 | ダイレクトマウント式空気ばね台車(電動車は軸梁式、付随車はSUミンデン式) |
制動方式 | 回生ブレーキ優先全電気指令式電磁直通空気ブレーキ |
保安装置 | 京阪形ATS、K-ATS |
製造メーカー | 川崎重工業兵庫工場 |