概要
公共交通機関で、お年寄りや障害者、妊婦、乳幼児を連れているなどの乗客を優先的に着席させるために設けられている座席。鉄道車両の場合、車端部に1-2箇所ほど設けている場合が多い。
なお、一見健常者に見える人が座っていたとしても、病気を患っていたり内部障害を抱えている可能性もあるため、無闇に白い目で見るのは考えものである(ただし、ヤンキーやDQNが座っている場合は複数の席を占有したり、足を投げ出して座るなど一挙手一投足に素行が出るため、だいたい区別がつく)。
「優先席」という名称にもある通り、あくまで「お年寄りや障害者、妊婦、乳幼児を連れているなどの乗客を優先的に着席させる」ことを目的にしているため、健常者が座っていても何ら問題は無い。重要なのは、「お年寄りや障害者、妊婦、乳幼児を連れているなどの乗客に席を譲る精神」「他の乗客に迷惑をかけないための乗車マナー遵守」であろう。
鉄道事業者における特筆事項
JRグループ
日本国有鉄道(国鉄)では、「シルバーシート」の名称で1973年に導入された。なぜ席名がシルバー(silver、要するに銀)なのかと言えば、導入にあたって席を解りやすくするためシートの布を敷き変えるにあたり、偶然銀色の布の在庫が余っていたため。
本来「シルバー」という単語にはお年寄り・高齢者の意味合いなど無かったのだが、元より白髪や熟練者のイメージ自体はあり、それが元々、誤解ながらもあまりにも巧くハマってしまったため「シルバー=高齢者」のイメージが定着してしまった。
民営化ののち平成に入って以降、お年寄りや体の不自由な方以外にも、怪我人・妊婦・乳幼児連れにも対象を拡大するに当たり、定着させてしまった「シルバーシート」という表現がふさわしくなくなってきた(もちろん「もともとが『銀(シルバー)=年寄り』自体が誤解であるので払拭させたい」というのもあった)ため、「優先席」「優先座席」の表記に改められた。
札幌市営地下鉄(札幌市交通局)
「優先席」ではなく「専用席」を導入している。健常者が座ることはまれ。
阪急電鉄・大阪市営地下鉄堺筋線
1999年に優先座席を廃止し「全座席が優先座席」という形態に変更。しかし席を譲ってもらえない意見があったために優先座席を2007年から復活させている。
横浜市営地下鉄(横浜市交通局)
前述の阪急電鉄を見習って2003年から「全座席が優先座席」という形態に変更。しかし席を譲ってもらえない意見がこちらでも寄せられて2012年に「ゆずりあいシート」の名称で実質的に優先座席を復活させている。ただし「全座席が優先座席」の理念はそのまま。