概要
本来、年齢的に児童とされる子供たちに労働を科すこと。
児童たちは本来、学校に通い教育を受け同年代の子供と遊ぶなどするが、働かなければならない事によってそれができないことが問題とされる。
主な原因としては貧困が挙げられるが、一方で古代より転換されなかった価値観や伝統(近代までは若年者の「学業」は「遊び」と捉え、「労働」のみを貴しとするような価値観も珍しくはなかった)に因があったり、また宗教(特にカルトやそれに類するコミューン)の価値観によるもの(古代回帰や家庭の結束を特に強く謳う宗教などには、子どもの勉学を忌み奉仕労働に向かわせる教えを持つものがある)など、貧困のみに依らないケースも多い。
国際労働機関(ILO)によって規制され、世界各国の法律や国家間の条約に抵触するもされている。
日本における児童労働
日本でも義務教育が制定されるまでは、12歳未満による雑作業で駆り出されることがあったとされている。
もともと農業社会であった日本の農村においては農繁期作業は古来より現在でも家族(親戚含む)総出が基本である(そうしないと作業そのものが成り立たず収益も確保できない)所が多い。
そもそも戦後の農政改革や教育再編が行われ浸透される前(およそ昭和30年代ごろまで)は、地方農村の学校においては冬休み・夏休みに加えて「農繁期休み」(6月・10月)が存在した学校もあった。
また農業とは関係ない都市部の家庭でも、児童が乳幼児や高齢者の世話をして学校にいけなくなるヤングケアラーや、週21時間以上の家事手伝いは問題視されている。(両親ともにワーキングプアであるなど、ヤングケアラー問題は様々な問題が波及して顕在化している複合的問題の側面がある)
また、18歳未満での麻薬取引、ポルノや買春などの違法な業界に駆り出されることも少数存在している。
なお労働基準法第56条には、児童労働の禁止条項がある。(ただし第2項において子役など代替できない職種に関しては「軽易な作業」に関してのみ例外が認められている)
海外の児童労働
日本ではピンとこないが、海外の少年兵も児童労働に該当する。
また、ILOの通達の届かない国(未加盟国、条約批准拒否国)や、児童福祉の概念が受け入れられない国、古来からの伝統から脱しきれない国などでは、現代でも変わることなく児童労働や搾取が行われている。
特に日本に関わる部分としては、コスト削減の観点で海外の下請け業者に商品の実制作を依頼したら、件の業者が児童労働や貧困層への搾取でコストの確保を行っており、その搾取分が消費者が製品を安く購入できるカラクリであった、という問題。
産業のグローバル化が加速してしまった現代では遠い国の事だからと考えていると、実は無関係どころか当事者にされていたという事は、特にこの問題においてはよくある事である。
こうした部分に対して少しでも是正しようという考え方がフェアトレードであるが、そちらはそちらで問題が全解決されるとも言い難い部分がある。