「『おそ松さん』の六つ子は本当は八つ子で、この世に生まれてこれなかった二人が居るのではないか?」という科学的見解から発生した噂と、それを元にした二次創作のこと。
当然ながら公式設定ではない。
松野家の六つ子は本当は八つ子ではないか?
本当は六つ子じゃなくて八つ子で、生まれてこれなかった二人が居るのかもしれないよ?
『おそ松くん』の六つ子は一卵性の多胎児である。
多胎児とは同じ母親の胎内で同時期に発育して生まれた子供であるが、例えば双子の場合、一つの受精卵が分裂(多胚化)して生まれる一卵性双生児と、二つの卵子が排出(多排卵)されそれぞれ別々に受精して生まれる二卵性双生児がある。
元々は同じ受精卵が2つに分裂した一卵性双生児が遺伝子レベルでそっくりなのに対し、別々の受精卵が一緒に育った二卵性双生児は当然ながら別々の遺伝子となるため、通常の兄弟姉妹程度の類似に留まる。
では、一卵性で三つ子以上の場合はどうなるのか。
実は受精卵の分裂(多胚化)は必ず半分ずつ、つまり2つにしか増えない。
だが、稀ではあるが受精卵の分裂が複数回繰り返される場合があり、これによって一卵性多胎児が誕生する場合がある。
三つ子の場合、一旦受精卵が2つに分裂した後、その片方がもう一度分裂を起こすことで発生する。
なので、六つ子の場合、普通に考えると「受精卵が2つに分かれる→それぞれがさらに分かれて計4つ→その中の2つがさらに分かれて4+2」というルートを辿ったと考えられる(※他の可能性のパターンもある)。
だが、2つ→4つと分かれた受精卵が更にもう一度分かれた際、分裂を起こしたのは本当にその中の2つだけだったのだろうか?
実は4つ全てが分裂を起こし、本当は8つになっていたのではないだろうか?
そして、そのうち二人はこの世での生を受けられず、六人だけが生き残ったのではないだろうか?
こうして囁かれ始めたのがおそ松「八つ子」説である。
ただし、上記に説明したように分裂のパターンを考えると「実際に6つしか分かれていない」場合も充分考えられるため、あくまでも「八つ子」説は単なる可能性の話であり、仮説にすぎない。
なお、現実問題として多胎児の出産は非常に難しく、母体への負担が非常に大きい。死産となることも多く、生まれても早産となりやすいため未熟児として栄養状態・発育遅延などの問題が付き纏う。
漫画上の設定ではあるが、現実的に考えるとむしろ六つ子が全員無事に健康に育っていることが奇跡に近いのである。
なお余談だが、『おそ松くん』を描いた赤塚不二夫は、元々はアメリカの十二人きょうだいが登場する映画『一ダースなら安くなる』から六つ子の着想を得て本作を生み出したため、本来は六つ子ではなく十二つ子になる予定であったという。しかし大量に居るとコマに収めにくくなるため、最終的に半分の六つ子となった(六つ子(おそ松くん)も参照)。
つまり、漫画の制作上は本当に「(キャラクターとして)生まれてこれなかった六人」が居たということになる。
pixivでは「生まれてこれなかった2人が居る」という二次創作設定で「八つ子松」タグが使われている。
当然ながら公式設定ではなく、その性質上死ネタの絡む八つ子説を嫌がる視聴者もいるので十分な配慮が必要である。
六つ子死亡説共々、二次創作の範疇に留めておくのが望ましいだろう。
原作などの公式の扱い
初期のアニメ『おそ松くん』(特にモノクロ版)では作画ミスで「誰か1人が喋っているのに、画面にはそれを聞く6人が居る」「1人が先に行っているはずなのに、画面には6人揃っている」など、六つ子が7人以上に増えているという状況が度々存在した(幻の7人目)。
単なるミスではあるのだが、これを元に「実は幽霊がこっそり六つ子に混ざっていた」等とする二次創作も存在する。
また、公式に於いても『おそ松くん』で「七人目以降の兄弟」に当たるキャラが(偽者・分身なども含め)度々何人も登場している。詳細は六つ子(おそ松くん)の関連キャラクターを参照。
『おそ松さん』第21話Bパート「神松」では、六つ子の人として良い部分が少しずつ集まっていき、7人目の兄弟「神松」および8人目?の「悪松」が誕生した。