概要
古代より伝えられる生者と死者を結婚させる物語。或いはその為の儀式を指す。
地方によっては「幽婚」、「死後婚」、「鬼婚」といった呼称もある。
創作モチーフとして
物語として伝わる冥婚は、結婚を誓いあっていた恋人の片方が亡くなり、寂しさと恋慕のあまり幽霊(屍体)となって現れ相手をあの世へ連れ去って結ばれる。または残された片割れが何らかの呪術儀式によって相手の魂を呼び戻し結ばれる。といったパターンが主である。
有名な所ではエジプト神話におけるオシリスとイシスの婚姻。ギリシャ神話におけるハデスのペルセポネ略奪が該当する。
風習として
特に日本では青森県と山形県の一部地域で盛んとされており、中でも一番有名なのが「ムカサリ絵馬」。
若くしてこの世を去った死者の魂と、残された家族を慰めるために有する。
一般的には相手に見立てた花嫁(花婿)人形と故人の写真、または架空の人物の名前や似顔絵を相手に据えた婚礼風景を描いた絵馬を神社や寺院に納めることが多く、未婚の死者同士をイタコや神主を仲人にして見合いをし夫婦とする儀式もある。
ただし物語に多い生者と死者の婚姻については、生命の円輪及び境界の理を崩す儀式として禁忌・禁術とされており、実際『ムカサリ絵馬』を奉納する際も「生命を奪われるため生者を描いてはいけない」と云う絶対の掟が存在する。