概要
岡山市北区吉備津に鎮座する神社である。
備中一宮(備中国で一番格式の高い神社)。備前国(岡山県南部)一宮・吉備津彦神社と備後国(広島県東部)一宮・吉備津神社に祀られているのは備中一宮・吉備津神社の分霊とされている(国名や社名が似ているのみならず、すべて一宮であるため注意が必要)。
三社の中でも最も格が高いことを示すため、「三備一宮」「(吉備)三国総鎮守」とすることもある。
歴史
創建年は不明。祭神は吉備津彦命(孝霊天皇皇子で四道将軍の一人。桃太郎の元ネタ)
大昔の国である吉備国の鎮守だった(備はおそらくその名残)。
その後、吉備国が3つに分かれたため備中国の一宮となる。
将軍をまつるからか時は流れて武家の信仰を受けるようになる。
また、多くの修築(室町と昭和に焼け落ちた)や社領(神社の土地)の寄進があったもよう。
廃仏令により3重の塔を壊した。
吉備津の釜
吉備津神社には吉備津の釜と呼ばれる神器がある。これは音が鳴るかならないかで占うもの。
伝説では吉備津彦命が、かつて鬼ノ城(きのじょう)にいた温羅(うら)という鬼を倒し首を斬った。
しかし、首は晒しものになる中でも唸り声をあげて世に不吉を呼び続けたため、これを収めるために温羅の墓を建てた。されども唸りは止まず、うるさいため困っていると温羅が吉備津彦命の夢に出てきて「自分の首を貴様の御殿の釜の下に埋め、貴様の妻(別の伝承では遺された温羅の妻あるいは娘)に米を炊かさせてみろ。そうすれば自分はお前の使いとして、やってくる不吉を先触れする神になってやる」といった。
果たして吉備津彦命がその言葉の通りに釜炊きを行うと、その音によって地に訪れる吉凶を知る事が出来るようになったという。
それから神事が始まったという。
余談
曽我兄弟の仇討のさいに神主が殺害されているという。
また、社家は絶家したり滅ぼされるなどしているもよう。
関連タグ
雨月物語:『吉備津の釜』という話がある。
栄西:日本臨済宗の宗祖であり「喫茶養生記」を著して日本に茶(緑茶)を伝えた茶祖のひとり。吉備津神社の権禰宜の子であったため、吉備津神社が実家となる。