概要
携帯電話の通信は電波を介して行うが、携帯電話端末との電波のやりとりを行うための設備が基地局である。
都市部であればビルの屋上やベランダに設置され、郊外であれば地上設備として鉄塔を建てて設置されることが多い。また他社の鉄塔や敷地内に間借りしたり、電力会社の高圧鉄塔に間借りすることもある。自社の敷地内に設置する場合以外は、当然のことながら賃貸料を払うことになる。
参考までに、携帯電話以前に普及していたPHSのうち、NTTドコモと日商岩井が出資していたNTTパーソナルはNTTの電信柱に、電力会社とKDD、日本テレコムが出資していたアステルは電力会社の電力柱に、それぞれ基地局を設置していた。
基地局には、アンテナや無線設備の他にも、音声通話やデータ通信の通信内容をキャリア設備とやりとりするための回線や、設備の遠隔設定のための回線、電力供給のための電気設備もある。
通信速度が高速化され続けている現在、基地局から先の通信回線はNTTやPNJの光ファイバーを用いることが普通である。もちろんこれはフレッツ光やauひかりのような個人向けの共有回線ではなく、基地局ごとに光ケーブルの芯線を占有する専用回線である。
もちろん、後述する移動基地局などでは、固定回線ではなく無線アクセスを用いることもある。
ちなみに固定基地局は停電、さらにいうと災害で電力供給が止まった場合は非常電源に切り替わる事があるが、それだと基地の規模にもよるが24時間程しかもたないとされている。
移動基地局
コミックマーケットや花火大会など「特定の時期に多くの人間が集まるイベント」において活躍するのが移動基地局である。
普段から多くの人間が集まることを想定した設備を設置することは非効率的なことから、これらのイベントにおいて各キャリアが自動車(小型~中型トラック)に携帯電話の設備を一式積載した自走可能な移動基地局が使われる。
中でもコミックマーケットでは各社が何らかの作品やキャラクターとコラボレーションした移動基地局車両をお披露目することがある。多くの人が集まるイベントではそれでも回線が混雑する事も多々あり、コミックマーケットでは特に起きやすい。
また、(あってほしくないが)災害等の非常時において、基地局が故障等で使用できない場合に避難所に移動基地局を設置することがある。もっとも、自治体等では緊急性や重要性のある通信手段を確保するため、地上設備を使わない衛星携帯を使うことも増えている。
屋内基地局
ビルの中や地下など、携帯電話の電波が届かない場所に設置されるのが、屋内基地局である。
窓際や屋外のベランダ等に他の基地局の電波を受信するアンテナ(ドナーアンテナ)を設置し、同軸ケーブルで室内アンテナまで伸ばして電波を届けたり、ブロードバンド回線に接続する専用装置を用いることがある。
ショッピングモールや地下街では、無線LANとともに集客のために設置していることが多い。
よくある話
「端末のアンテナピクトでは電波を強く受信できているけど、通信自体ができなかったり遅かったりする」ということがある。これは「端末から基地局までの電波は強いけど、その先のキャリア側設備にボトルネックや障害があって、通信が不安定だったりできなかったりする」というものである。
「電波が弱いと通信が安定しない(→端末と基地局間の電波が不安定)」は大抵の場合合っているけど、「電波が強ければ通信は安定する」とは限らないのである。