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概要

小説「バトルロワイアル」に登場する架空の全体主義国家。

端的に言うと、「近代以降、別の道を辿ったパラレルワールドの日本」(『バトル・ロワイアル -執行者たち エンフォーサーズ-』より)。極めて厳粛な体制を持つ全体主義体制の軍事国家。東洋に浮かぶ島国で実在の日本に非常に似ており、実際香川県などの日本の地名が出てくるが、一方で南樺太に強制収容所を持つなど、領土自体は戦前の大日本帝国に近いところもある。

アメリカを敵性国家として認定している反米主義国家でもあり、準鎖国体制を敷いて海外旅行や輸入品の入手制限といった施策を行っており、政府による言論統制や人権蹂躙などは日常的に行われている。常備軍として専守防衛軍」という志願制軍隊を保有しているが、民衆への弾圧を行う政府の走狗として悪名が高い上、国立孤児院は専守防衛軍兵士の養成所と化している噂がある。なお、その軍隊の名称の割には大東亜共和国自体は領土拡大主義を取っており、朝鮮半島中国の併合を主張していたりしている。

その厳しい政治体制から一部の国民からの反発も大きく、本作主要人物の一人・三村信史の叔父も反政府活動の果てに命を落としている。

政治の頂点に立つのは「総統」と呼ばれる役職の人間であり、表向きには主人公たちの時代で325代目と言われているが、実際には12代目で、それ以前は政府によって捏造された偽りの歴史である。「総統」自体はテレビ放送などで一般市民も姿を見ることができるが、そもそも「総統」という人物さえ存在しないとも言われている。

一方で高い技術力と産業基盤によって生産された高品質の工業製品を輸出することによって、自国陣営やアメリカの陣営に与しない第三国を経済に取り込むことによって近代的工業国として成功を収めており、国民一人当たりのGNPは世界一であるなど経済大国にもなっている。そのためか、国民の経済水準も現代日本と大して変わらない。

準鎖国体制を取ってはいるものの、外来語・外国文化についても国家体制維持に問題が無く「敵性」「退廃的」とされたもの以外なら認められており、国民のガス抜きという側面で自由な部分を多少残してはいる。

全体主義体制を取りつつ近代工業国として成功しているが、これは国民自体が全体主義体制に依存する国民性を持っているため、国家体制が非常に合っているためとも評される。そのため、作中では「成功したファシズム」「とてもよくできている狂った国」と皮肉られていた。

「プログラム」について

本作で主人公たちが巻き込まれる殺人ゲーム「プログラム」(詳しくはバトルロワイアルを参照)は、大東亜共和国が行っている国民統制政策の一つ。プログラムの会場となる場所は毎回異なり、開催中は国民に一切知らされない。

作中では香川県の孤島「沖中島」が舞台となり、住民らは強制的に退去させられている。ライフラインは止まっているが、車やパソコンなどはほとんどそのまま残っていることが多い。ただし、逃亡を防ぐために船は撤去されている。

対象となった生徒たちの家族は、生徒たちがスタート地点へ拉致された時点で、政府関係者からそのことを知らされる。

多くの者は嘆き悲しみながらも受け入れるが、中には反抗の意志を示す家族もおり、そういった場合は逮捕、最悪の場合はその場で殺されてしまう。川田の父がその例である。また、主人公が暮らす孤児院の女性職員が反発の意志を示したため、担当官に乱暴された。

このプログラム自体は、表向き「陸軍が行う戦闘シミュレーションで、所要時間などの各種統計を重ねることによる防衛上の理由から」とされているが(そのためか、プログラムの正式名称は「戦闘実験第六十八番プログラム」とされている)、真の目的は国民に相互不信を植え付け、反政府活動のための結託を阻害することである。

映画版

実写映画版では架空の国ではなく、現代日本が舞台となっており、登場する軍人の所属も自衛隊になっている(さすがに映画の内容から、現実の自衛隊の協力を得ることはできなかったが)。

原作の「プログラム」に相当する「新世紀教育改革法(通称「BR法」)」の目的も、校内暴力・少年犯罪の激化をきっかけに、「死」を利用して、大人の威厳を取り戻すことである。

さらに、ゲーム開始前と終了後にはマスコミが現場に押し寄せ、これから殺し合いをする40人と、その中から生き残った一人をモザイクなしで報道することが慣習化している。

また原作の「プログラム」では対象クラスがランダムで年間50クラスが選ばれるが、映画版では年間1クラスで、作中では教師キタノの推薦によって城岩学園中学校3年B組が選ばれたという違いがある。

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