概要
一部の文献ではただ単に“蝦蟇(orガマ)” という名前で紹介されているものもある。
その名の通り普通の蝦蟇(ヒキガエル)よりも遥かに巨大で、江戸時代に書かれた奇談集『絵本百物語』に記載される「周防の大蟆(蝦蟇)」は体長が約8尺(約2.4m)もあり、口から虹の様な気を吐き出してこれに触れた鳥や虫たちを口の中へと吸い込み、夏には天敵である筈の蛇までも喰らってしまう貪欲さを持つとされる。
また、「周防の大蟆」は槍を手にしている姿で描かれているが、一説によればこの槍で人を襲ったといわれているほか、10尺(約3m)のものは人を喰らい、小さくても立って歩くものは必ず害を成すとされている。
岩手県高田市に伝わる伝承では「蝦蟇付き」といって人に取り憑き様々な害をもたらすとされ、波郡煙山村では毎晩火柱を立てたといわれている。
南町奉行の根岸鎮衛が記した『耳嚢』では“女が礼をするときのように指先を後ろに向ける蝦蟇”は必ず害を成すとされ、とある古民家の縁の下に棲み付いた蝦蟇が、住人の精気を吸い取り病気がちにしていたという話が載っており、その傍らには夥しい毛髪や白骨死体が散乱していたという。
また、美女に化けて男を誑かす術を身に付けているものもおり、中には人間の生血を啜り、命を奪ってしまう恐ろしい蝦蟇も存在している(小泉八雲の怪談「忠五郎の話」など)。
ゲゲゲの鬼太郎
化けガマという名で登場。
千年を超えて生き続けてきた人間以上の知能を持つ巨大な蝦蟇の姿をした妖怪。
仲間の蝦蟇たちからは尊敬の念を抱かれており、「マラカニアン皇帝」と呼ばれ慕われている。
初出は原作「ガマ妖怪」(『水木しげるのふしぎ妖怪ばなし』では「妖怪ガマ先生」)で、現代人の横暴ぶりを見かねて人間の姿に化身し、漫画家の“ガマ野しげる”として活動し、漫画を通して諌めようとしていたが、小遣い稼ぎの為に編集担当者としてやって来たねずみ男が蝦蟇を馬鹿にする発言を繰り返したことに腹を立て人間を見限り、他の蝦蟇たちを引いて人間を滅ぼして地上に「ガマ王国」を建国しようと目論む。
まず手始めに近くの小学校へと侵入し実験室を占拠すると、偶々その場に居合わせた蝦蟇の解剖授業を行っていた教師を捉えて生徒たちの前で解剖を行おうとするが、ねずみ男から事態を聞いて駆けつけた鬼太郎とねこ娘と戦闘になる。
鬼太郎との激しい格闘戦を互角以上の戦いの末に、耳の後ろから分泌する毒液「妖気消し」で鬼太郎を痺れさせて丸呑みにしてしまい、続けてねこ娘も呑み込んでしまうが、2人を助ける為に砂糖と唐辛子を体にまぶしてお菓子に擬態した目玉おやじを食べ、そのあまりの辛さに鬼太郎たちを吐き出してしまい、さらに追い打ちで苦しんでいる所に髪の毛針を受けて敗北。
潔く自分の負けを認めた化けガマは引き下がる事を約束し、「百年待っても人間が他の生き物を苛めているようなら、今度こそ許さない」と警告を残して子分たちのガマたちと共に去って行った。