解説
2008年4月にリリースされた、アーケード向け対戦格闘ゲーム。
開発は、ギルティギアシリーズ、ブレイブルーのアークシステムワークス。
キャッチコピーは『果たし合え!燃え尽きるまで!』。
プレイアブルキャラクター
の10人。
家庭用PS2版追加キャラは
の2名。
北斗の拳と同じく、格ゲーとしては少なくもないが、多いとも言えない人数である。
システム
おおよそAC北斗の拳と近いが、空中から敵を叩き落とす「エアリアルスパイク」、
「スタイリッシュポイント」、「パーフェクトガード」というシステムが独自にある。
また、本作の駆け引きの中核をなすものとして、「援軍」システムがある。
援軍ゲージが溜まっているときに呼び出す事ができ、援護攻撃をしてくれるというシステムで
所謂ストライカーのような扱い。
原作でそのキャラと最も関係が深いキャラクターが選ばれている。
スタイリッシュポイントが100%溜まっているときに一撃発動準備を行い、
その後コマンド入力によって発動する「一撃BASARA技」はその名の通り
敵を一撃で倒す即死技で、テーレッテーならぬオーモーイーガーとして知られている。
バランス・問題点
北斗の拳と同じくバランスはほぼ無いも同然だが、本作の場合は
とにもかくにも群を抜いてオクラこと毛利元就が一強すぎ、
伊達政宗はぶっちぎりの最弱キャラ。
あまりにも弱かったため、「バナナ」「田舎農民」などの蔑称が付けられたレベルである。
これ以外にも、キャラによる有利不利の相性が非常に極端。
また、システム面でも作りが粗い・練り込まれていない部分が多く見受けられ
・戦略的に考えるとanotherモードにしない理由のない援軍の操作体系
・キャラによっては援軍Lv100にすると逆にコンボしづらくなるため、しない方が良い
・援軍が使えなくなるデメリットに対し、メリットが薄すぎる手出し無用宣言(BRAVE)
・死体蹴りでスタイリッシュポイントがたまるので、死体蹴り大推奨
など、思わずなんでやねんと言いたくなるような仕様が多い。
評価
AC北斗の拳の件があっただけに、
・製作がアークシステムワークスである事
・キャラゲー(納期が極端に短くなりがちで、バランスに粗が出やすい)である事
・事前情報で複雑なシステムが搭載されているのが明らかになっていた事
などから、「北斗の再来」となるのではないかと囁かれていた。
戦国BASARAシリーズが女性人気の高い作品であった事から、
ロケテ会場が女性客でごった返すという格ゲーとしては珍しい一幕もあったものの、
北斗の拳のようなゲーム性を予想した修羅達も襲来しており、速攻で
そのゲームバランスの世紀末っぷりが暴かれる事となった。
また、ロケテ段階で聞かれた報告では「一目惚れ一発で5割減る」「ホンダムを選ぶとフリーズ」など、
未完成・バグ取りが全く間に合っていない面も明らかになっていた。
早々から凄まじいコンボ開発が行われ、「戦国陸上」と揶揄される
画面を左右に走り回るようなコンボが次々登場してしまった。
特に毛利元就のぶっ飛んだ性能が注目されており、
ゲーセンではオーモーイーガーに載せて相手を自分の部下ごとぶちのめす光景が多く見られたという。
キャラクターを動かすのに複雑なシステムがあるだけでなく、援軍システムもあるために
そちらの管理にも気を配らないといけず、元ゲー戦国BASARAシリーズの
誰にでも楽しめる単純明快なシステムや爽快感とは真逆の作風。
当然、初めて格ゲーをプレイするという原作ファンにとっては敷居が高く、
ロケテでも難しすぎてわからない、演出を見て楽しむしかないといった声が聞かれた。
更にキャラゲーとしても北斗の拳より原作ネタ、特殊演出などが少なく、
原作の雰囲気を楽しむゲームとしても評価はいまいち伸びなかった。
また、一周回ってぶっ飛んだ内容の北斗の拳と比べると本作は
・全体的に体力が減りづらく、更にパーフェクトガードで回復するため試合が長くなりがち
・コンボ補正が非常に長く、永久がゴロゴロしているがその永久で死なない
・永久を食らっている間にジュースを買いに行けると言われているぐらい1回のコンボが長い
・コンボの爽快感・達成感が無い
など、世紀末ゲーとしては爽快感やぶっ飛び加減が足りないなどと言われ、
北斗の拳を一周回った神ゲーとして遊んでいる層からも微妙な評価という
どっち付かずな内容となってしまっていた。
一応、援軍カウンターで永久を抜けられるが、援軍カウンターを使った場合
長時間援軍が出せなくなるため、どこで切るかという戦略的な判断があり、
更にそれを援軍ブロックで妨害する事で相手の援軍を弱体化させる事ができるため、
永久は相手を倒すというよりは援軍弱体の為のカードの1枚だったりと、
非常に高度な読みあい・戦術判断が存在するが、玄人どうしの対戦で初めて
生きてくる要素なのでこの駆け引きにまで到れる人はかなり少ないというのも問題点である。
このような理由から稼働直後から閑古鳥が鳴く「大人気過疎ゲー」と呼ばれ、
更に家庭用版も速攻でワゴン行きor中古市場に激安で流れる始末だった。
発売時期が近かった『Fate/Unlimited Codes』も似たような末路をたどったため、
「北斗は奇跡の作品」「(北斗は一子相伝だから)二匹目のドジョウにはならなかった」などと言われた。
クソル氏を筆頭に、本作を熱心に布教していたプレイヤーも少なからず存在しており
その活動が実を結び闘劇’10(カテゴリーB)の種目として選ばれた事もある。
しかし翌年は種目に選ばれず、更に度重なる不祥事により闘劇自体が潰れるという事態となったが、
クソル氏はなお諦めておらず2012年に行われたUMVC3アメリカ大会に乗り込んで
優勝したうえで本作の宣伝をするという超絶パフォーマンスを行った事もある。
なお余談として、原作ファンの間での噂話レベルではあるものの
「本作の出来の悪さがカプコンを激怒させた為にX2は絶望的」「黒歴史」などという話も当時あった。
しかし、BASARA3では本作のオリジナル技が一部逆輸入されている、
一応公式の作品紹介にも並んでいるなど、封印作品になったというわけではないようである。
主題歌
「crosswise」
作詞 - 井上秋緒 / 作曲・編曲 - 浅倉大介 / 歌 - T.M.Revolution(Epic Records)