概要
亜熱帯と冷帯の中間に位置する気候帯。本来は広義の温帯(北極圏・南極圏と南北回帰線の間の地域)を冷温帯・暖温帯に二分したときの呼称である。亜熱帯と異なり冬の最低気温は氷点下に下がることがあるものの、冷帯と違い冬の最高気温が一日中0℃以下となる真冬日となることはなく、一年を通じて降水はほとんど雨で、雪が降っても根雪にはならない。
日本ではよく用いられる気候区分だが、ケッペンの気候区分では暖帯という区分は設けられておらず、温帯の温暖湿潤気候や西岸海洋性気候、地中海性気候のそれぞれ一部に相当する。
この気候に当たる地域は、中国大陸の主要部、朝鮮半島南部、アメリカ南部、西ヨーロッパ、アメリカ西海岸など。人口密度が高く都市化が進んでいる地域が多い。日本の東京・京阪神・中京の三大都市圏を含む太平洋ベルトはこの暖帯に属する。
暖帯の特徴
四季がはっきりしているが、冬は冷帯ほど寒くならず過ごしやすい。日本の暖帯に分布するシイ・カシ類、タブノキ・クスノキなどの常緑広葉樹林を暖帯林と呼んでいるが、こういった樹木は氷河期に氷河の影響を受けたヨーロッパには存在しない。
一般に農業には有利な地域。日本や中国大陸、アメリカ南部のように夏は熱帯並みに暑くなる地域は、夏に熱帯性の作物の栽培が可能である。また、冬も耐寒性の強い作物の作付けが可能で二毛作もできる。冬に低温に弱い病原体や昆虫が死滅するため疫病や害虫は熱帯ほど多くなく、一年を通じて土壌の肥料成分が激しい溶脱・分解を受ける熱帯よりも農業生産力が高い。